スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム ブルーレイ&DVDセット

2021年(日本公開は2022年)
時間 148分
監督 ジョン・ワッツ

スパイダーマンの正体がピーターだと知れ渡ってしまったのでさあ大変。あらぬ疑いもかけられてピーターの友人たちも巻き添えを食う羽目に。ピーターはドクター・ストレンジにスパイダーマンの正体を皆の記憶から消して欲しいと頼むが、その影響でマルチバースの扉が開いた!? 異なる平行世界から次々とヴィランが現れ、ピーターは彼らと戦わなければならなくなる。

「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の続編です。ミステリオの巻いた種が…。これも映画館で見たかったのに見られなかった作品。その代わりBDを購入して発売日に開封して見ましたーっ。これまでスパイダーマン映画を欠かさず見てきた者には思いがけないサプライズがあって大感動したんですが(頑張ってネタバレ回避してきた甲斐はあった!!)、アベンジャーズ~「ファー・フロム・ホーム」の流れの上に乗っている作品なので、アベンジャーズもスパイダーマンも見たことのない人にはちょっと話が分かりにくいかもしれません。

ただ、アベンジャーズの流れの上にあるとは言え、今作は完全にスパイダーマン作品となっており、アベンジャーズ関係者もドクター・ストレンジだけです。彼のことはピーターの知り合いの魔術師とでも思っておけば十分だし、アベンジャーズを知らなくても歴代スパイダーマンファンなら是非見ておきたい作品です。

今作の醍醐味はスパイダーマン歴代のヴィランが続々と再登場して暴れ回ってくれることですね。戦うピーターは大変だけど、見てる方は「あなたも!」「あなたも!お帰りなさい!」と上がってしまう(笑。マルチバースはアニメのスパイダーバースでも描かれましたが、今作には同じ役者の再来など実写ならではの楽しみがあります。

ヴィランが多いこともあって、ピーター周辺の関係者はメイおばさん、MJ、ネッド、フラッシュ辺りに絞られてる感じ。アベンジャーズのピーターには子どもっぽさが残っており、それお前のわがままのせいじゃんてな所もありましたが(^^;、今作ではスパイダーマンとして過去2作とは違う次元での成長を求められることになる。ある意味、ピーターにとってはこれからが本当のスパイダーマンの始まりになるのではという気がする。タイトルの「ノー・ウェイ・ホーム」も多分そういう意味。ピーターの成長も含めて、この作品がスパイダーマンの集大成になっているのは間違いないです。

<ネタバレ>

スパイダーマンは過去にシリーズが2回打ち切られており、実質マルチバース化してるのと同じ状態になってました。それが「ノー・ウェイ・ホーム」でマルチバース設定を取り入れたことで、過去のスパイダーマンシリーズからヴィランが登場という夢の共演が実現。ということで、今作のヴィラン一覧を以下に。

ドクター・オクトパス:サムライミ版スパイダーマン2作目より
グリーン・ゴブリン:サムライミ版スパイダーマン1作目より
リザード:アメイジングスパイダーマン1作目より
エレクトロ:アメイジングスパイダーマン2作目より
サンドマン:サムライミ版スパイダーマン3作目より
ヴェノム:ヴェノムより(エンドロールのみ)

ところが!! 今作で平行世界から来たのはヴィランだけではなかった! なんとっスパイダーマンまでもがっ!!

サムライミ版スパイダーマン(トビー・マグワイア)
アメイジングスパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)

アンドリュー・ガーフィールド登場でおおっ!?となり、トビー・マグワイア登場で涙腺ギャーン状態! まさかここで彼らに会えるなんて、今作最大の衝撃と言っても差し支えないだろうっ。私が一番好きなサム・ライミ版ピーターは3人の中でも一番年長なだけあって、すっかり立派な大人になっていてウルウル。個人的にはMJといい関係を保っていたのが嬉しかった。アメイジングピーターはあれから彼女いない歴が続いてたようですが、頑張ってスパイダーマンしていた様子。

今作は彼らにとっても過去の悔いへの救いをもたらす作品になりました。グリーン・ゴブリンを殴りつけるアベンジャーズピーターを止めに入ったサム・ライミ版ピーターの無言の演技が圧巻だった。今度こそオズボーンを死なせない──その願いを果たしたサム・ライミ版ピーター。ドクター・オクトパスもサンドマンも救えた。

そしてアメイジングピーターは今度こそ落下したMJを助けるのに成功。グウェンは戻ってこないけど、MJを救えたことが彼の救いにもなったでしょう。エレクトロへの後悔も拭えた。彼にとっては今作が打ち切られた幻の3作目にもなったと思いたい。そう、サム・ライミ版ピーターにはこれが4作目で、アメイジングピーターには3作目となり、それぞれが完結を果たしたとも言えるんじゃないかと思う。

そして今作主人公のアベンジャーズピーター。メイおばさんを失う代わりに「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉を得て、この時初めて伯父を亡くしたサム・ライミ版ピーター&アメイジングピーターと同じスタート位置に立ったのではないかと思える。これからが始まりなのだ。

アベンジャーズからの卒業

ピーターはピーター・パーカーを知る者を引き寄せる次元の暴走を止めるために、全ての人たちからピーター・パーカーを消す道を選ぶ。せっかく恋人になりかけていたMJ、親友のネッド、ストレンジや共に戦ったアベンジャーズの仲間たちの記憶からもピーター・パーカーが消えることを承知で。だがスパイダーマンが消えるわけではない。これからはアベンジャーズとは別に1人でスパイダーマンをやることになる。サム・ライミ版ピーターやアメイジングピーターと同じように。だがそれがスパイダーマンだ。

スパイダーマン(ソニー)とアベンジャーズ(マーベル)には大人の事情というやつがあり、ソニーからの貸し出し期間が終わったらスパイダーマンのアベンジャーズ登場も終わる。それを「アベンジャーズからピーターの記憶が消える」という形で物語に組み込み、スパイダーマン単独のシリーズとして続けることも可能な終わり方をすることで、上手くまとめ上げたなと思いました。今後スパイダーマンの世界がどう広がっていくのかは分からないけど、私はずっとスパイダーマンを応援しているよ!

エンドロール

途中でスパイダーマンに会えなかったヴェノムが顔見せ。エンドロール後にアベンジャーズ次作/ドクター・ストレンジのお知らせ。マルチバースはまだ終わっていない…?