ドクター・ストレンジ

年	2016年
時間	115分
監督	スコット・デリクソン

スティーブン・ストレンジは天才外科医だったが事故で両手の機能を失う。どんな手術でも治らず、ついにはカトマンズのカマー・タージに頼る。師エンシェント・ワンに傲慢だった自分に気付かされたストレンジは厳しい修行を受け魔術師となった。そこへエンシェント・ワンを裏切った元弟子のカエシリウスが現れる。彼は暗黒次元のドムマルゥを召喚して世界を破滅させようとしていた。ストレンジは魔術で世界を救えるのか！？

マーベル世界には魔法使いもいるようです。ドクター・ストレンジの魔法は西洋だけでなく東洋のイメージもミックスしてる感じですね。魔法円が曼荼羅っぽかったり、エンシェント・ワンは坊さん頭だし。カマー・タージはカトマンズの他に香港、ロンドン、ニューヨークの3つの拠点（サンクタムと呼ばれる）を持っていて、この3つがつながって世界を闇から守っているという設定。

まずは冒頭の戦いで目を引きつけられる。町や建物が折り畳まれて不思議な動きをする。インセプションで町が折り畳まれる映像がありましたが、それをもっとパワーアップして様々な折り畳みバリエーションを加えた感じで、今まで見たことのない映像を繰り広げてくれる。一見の価値あり。これは言葉で説明出来ないので、実際に見て下さい！としか言いようがないですね。この作品は映像の魅力が大きい。CG映像は見慣れたつもりだったけど、まだまだ描き方次第で新鮮な映像を作ることは出来るんだ！と感心しました。

アベンジャーズシリーズの1つではありますが、これまでの作品との関連はないので、単体作品として楽しめます。

人物関係の整理
スティーブン・ストレンジ：元外科医。カマー・タージで修行して魔術師に。ドクター・ストレンジ。
エンシェント・ワン：カマー・タージの指導者。
モルド：ストレンジの兄弟子。カマー・タージで共に修行。
ウォン：カマー・タージの図書館の番人。
クリスティーン・パーマー：ストレンジの元恋人。
ジョナサン・バングボーン：ストレンジにカマー・タージで下半身不随を克服したと教える。
カエシリウス：闇の魔術に魅せられた魔術師。エンシェント・ワンの元弟子。

＜ネタバレ＞

話はシンプルですが、魔術合戦の映像がとにかく面白くて楽しい。町が折り畳まれるのはミラー次元と呼ばれる鏡写しの世界で、この中での戦いは現実に影響を及ぼさないという設定。肉体から魂が抜きでたアストラル次元での幽体バトルも面白い。そして今作の要となるのが時間を操る「アガモットの目」と呼ばれるインフィニティストーン。これを使った時間を逆戻ししながらのバトルは斬新。普通なら崩れ落ちるビルや建物が逆に元通りになっていく状態でバトルするので、直ろうとする壁に飛ばされると直った壁に埋まっちゃうという。おかげで、結果的に誰にも何にも被害を出さずに済んでいるという希有なバトルを見せてくれます。さすがに魔術の世界にはソコヴィア協定も歯がたたなそう。

魔法のアイテムも色々出てきますが、個人的にはストレンジのマントがかわいくて、いい！　気まぐれな浮遊マントで、ストレンジが気に入って勝手にストレンジのマントになっちゃう。ストレンジに使えるアイテムを教えたり、ストレンジのために戦ったり、愛嬌ありすぎる。

最初は外科医復活に固執していたストレンジですが、「外科医でもなくても出来ることはある」ことに気付き、魔術師として世界の脅威と戦う決心をします。固執からの解放こそ、彼が得た本当に大切なものかも。