ターミネーターシリーズ 時系列のまとめとタイムパラドックス考察

ターミネーターシリーズはロボットとの追いかけっこが主題で、タイムトラベルネタは高性能ロボットを現代に登場させるための手段に過ぎないと思っています。実際T1~T4は主題を前面に押し出し、タイムトラベル部分は気にならない作りになっていました。しかし5作目のジェニシスがタイムマシン使いまくりで時系列大混乱、ニューフェイトまで説明のつかないパラドックス噴出状態でもはやカオスに。こうなるとタイムトラベルの矛盾がどうにも気になるようになってきて…。

ターミネーターでは過去に来た者は未来が消えても残ってますが、やっぱりそれはおかしいと思います。「未来が消える前に送られたから残ってる説」もあるようですが、未来はある時点から消えるのではなく、消えたら最初から全てなかったことになると思うのです。どうしても納得できないので、自分が納得できる形での時間解釈を勝手に考えて見ました(^^;。作品としてどうかではなく、あくまでもタイムパラドックスに説明をつけるという趣旨での考察です。ターミネーターシリーズ全作のネタバレを含みますのでご注意。

時系列の整理

まずは時系列の整理から。以下の表は映画本編内の情報に基づくものです。

  T1~T4 ニューフェイト ジェニシス
()内は消えた未来
1973年 サラ9歳、T-1000、守護者(T-800)が未来から来る。
1984年 T-800、カイルが未来から来る。 T-800、カイルが未来から来る。サラとカイルが2017年に飛ぶ。
1985年 ジョン・コナー誕生。父はカイル。
1994年
*1
T-1000、T-800が未来から来る。
1997年 「審判の日」回避。
「審判の日」回避。
この世界ではスカイネットは存在しない。
(審判の日発動)
サラ病死。
1998年 T-800出現、ジョン死亡。
2003年 マーカス検体に同意。 この間に存在しないスカイネットからターミネーターが送り続けられ、サラがターミネーター狩りを続ける。
2004年
*2
T-X、T-850が未来から来る。「審判の日」発動。
2014年 生まれていないジョンが未来から来る。
2017年 サラとカイルが1984年から来る。T-3000化したジョンを倒す。
「審判の日」回避。
ジェニシス再起動?
2018年 マーカス蘇生。ジョンがマーカスの心臓をもらう。 不明。
2020年 REV-9、グレースが未来から来る。
2029年 T-800、カイルを1984年に送る。
T-1000、T-800を1994年に送る。
年代は不明だがリージョンが人類を制圧。
(T-800、カイルを1984年に送る。この時ジョンがジェニシスに襲われる。
T-1000、守護者を1973年に送る)
2032年 ジョン暗殺。T-X、T-850を2004年に送る。 不明。
2042年 不明。 REV-9、グレースを2020年に送る。

*1)T2でジョンが1985年生まれ10歳と明示されるシーンがあるので、その計算に基づくと1995年になる。しかしT3でサラは3年闘病し97年に亡くなったことになっているので、その計算だと1994年になる(この場合ジョンの10歳表記は誤記ということになる)。なおT3のジョンはT-1000が来たのは13歳と言っているが、85年生まれが13歳になるのは1998年で1997年を過ぎているので、この13歳は間違いかもしくはジョンが使っていた通称年齢とか?
*2)作中でジョンがT2の10年後と言っているので、T2が1994年なら2004年になる。

こうやってまとめて見ると「T1>T2>T3>T4」「T1>T2>ニューフェイト」「ジェニシス」の3つの流れがあることになりますが、一応無理なくつながっているのは「T1~T4」だけで、ニューフェイトもジェニシスも矛盾を抱えてます。

[ジェニシスの問題点]
サラとカイルが1984年から2017年に飛んでしまうため、1985年生まれのジョンも存在しなくなり、生まれていないジョンが未来から来るという致命的なパラドックスが生じている。

[ニューフェイトの問題点]
スカイネットが存在しなくなったなら、スカイネットから生み出された存在も全て消えるはずだが、ジョンもT-800の別の個体も存在するという矛盾。更に存在しないスカイネットからターミネーターが送り続けられるという矛盾。しかもジョン死亡後も送り続けられるのは何のため?

これらの矛盾を解消し、全ての辻褄を合わせるために平行世界理論で考えて見ました。

平行世界による考察

アベンジャーズのような量子論による平行世界理論では過去に大きな変動があると別の時間軸が分枝します。元の世界はそのまま進み、過去も変わりません(つまり平行世界論では過去は変えられません)。なお、分枝した過去に行った未来人は別世界から来たことになるので(分枝世界の未来とは無関係な存在)、タイムパラドックスは生じません。カイルから生まれたジョンもスカイネットが消えても存続できることになります。

平行世界誕生のためにまずはジョンの父親がカイルではなかったオリジナルの世界があったと仮定します(世界A)。その元世界からT-800とカイルが過去に送られたことより、「カイルが来なかった世界」から「カイルが来た世界」が分枝したと考えます。それがT1。以下、図で示してみました。なお、平行世界の利点を生かして、どの話もなかったことにはせずに全てをつなげて説明をつけるという無茶ぶりにトライしてます。

世界A:
元のオリジナル世界。ジョンの父はカイルではなく、別の男性。T-800もカイルも未来から来ていない。1997年に「審判の日」発動。スカイネットはT1とは別の形で誕生。2029年にT-800とカイルを送るが、その後タイムマシンは破壊されたのでこの世界からT-1000は送られていないと考える。

世界B:
T-800とカイルが来たことで分枝した世界。T1に相当。ジョンの父がカイルになる。1997年に「審判の日」発動。ジョンはAのジョンとは別人だが、サラに鍛えられ未来を知っていたのでAのジョンと同じ役をこなせた。またT-800の残骸からスカイネットが誕生したことで、この世界のスカイネットも過去にT-800が送られたことを知っている。T-800によるサラ暗殺は失敗だったため、より強力なT-1000を送ることでジョンの暗殺を企む。それに合わせてジョンも改造T-800を過去に送る。この世界ではタイムマシンは破壊されず、ターミネーターを送り続けることが可能だったと考える。

世界C:
世界BにT-1000が来たことで分枝した世界(T2に相当)が、T2完結後にサラの生死で更に2つに分枝したと考える。これは「サラの生きている世界」。T-1000を葬りT-800も痕跡を残さなかったことでスカイネット誕生は阻止され「審判の日」は回避された。しかしターミネーターは送り続けられ、1998年にジョンが抹殺されニューフェイトへ続く。スカイネットが消えた代わりに別のAIが生まれ、リージョンに支配された未来からREV-9とグレースが2020年に来る。ニューフェイト時点ではリージョンの未来を大きく変える出来事は発生していないため世界Cのまま進行していると考えるが、今後の展開次第では別の世界線に分枝する可能性はある。

なお、世界BのタイムマシンはT-1000を送った時点から、そのタイムマシンが作った時間軸である分枝世界に飛ぶ設定になっていたと考える。世界Dには1998年にT-800は現れていないため、転送先が世界Cになったと考える。CにT-800が現れた時点で転送先もCにロックオンされ以降はCに飛ぶようになったと考える。Bのジョンは健在でスカイネットを追い詰めており、スカイネットBが必死に送り続けたターミネーターが全部世界C(ニューフェイト)に届いたとしたら、ニューフェイトでターミネーターが出現し続けている説明はつく。これを止めるためにはBのジョンに頑張ってスカイネットを倒してもらうしかないですね。

世界D:
世界BにT-1000が来たことで分枝した世界(T2に相当)が、T2完結後にサラの生死で更に2つに分枝したと考える。これは「サラの死んだ世界」。サラはT2完結後に発症し、1997年に病死。スカイネットがBとは違う形で誕生し2004年に「審判の日」発動。2032年にジョンが暗殺され、T-Xがジョンの部下暗殺目的で過去に送られる(副司令官ケイトも暗殺対象)。ケイトがジョンを暗殺したT-850を改造して過去に送る。2003年にマーカスが検体に同意したのはこの時間軸と思われる。

世界E:
世界Dの2004年にT-X、T-850が来ることで分枝した世界。T3に相当。世界Dでジョンの部下だった者たちが何人か抹殺される。世界Dと同日時刻に「審判の日」発動。この世界のスカイネットは3回に渡るジョン暗殺計画が全て失敗したことを知っているので、2018年にマーカスを侵入型プロトタイプに改造して人類抵抗軍に対抗することを試みる。ここからT4に相当。なお、この世界のジョンは2032年にT-850が暗殺に来ることを知っているので、暗殺の運命を回避できる可能性がある。

世界F:
世界Bのスカイネットがサラ暗殺を1984年から1973年に変更したことで分枝したと思われるもう1つのT1(どの時点で分枝したかは不明だが、人間のT-3000化実験を始めた頃と推測)。ジェニシスに相当。ジョンが2014年に送られた理由は不明だが、T-1000を1973年に送ったことで歴史がどう変わったか確認させて「2014年にスカイネット誕生済みならばOK、もしまだならお前が手伝って俺を誕生させろ」とでも命令したのかな? その後誰かがT-1000が1973年に送られたのに気付き、T-800を改造した守護者を1973年に送った…という流れでしょうか。

世界G:
1973年にT-1000と守護者が来たことで分枝した世界。ジェニシスに相当。そのためT1と根本的に歴史が変わる。世界Fのカイルとジョンが来たのはこの世界。なお、FのタイムマシンもBのタイムマシンと同様、(そのタイムマシンが作った時間軸である)世界Gに飛ぶ設定になっていたと考える。この場合Fでは先にT-1000が送られ、その後でT-800が送られたことになる。でないとT-800も守護者もカイルもジョンもGに行けないと思うから。この解釈ならGでは生まれていないジョンが現れたのも説明が付く。彼は別世界Fから来たのだから。

まとめ~後書き

かなり強引に解釈しているところもありますが(^^;、一応説明はついたし、全ての作品を平行して存在させることが出来たので取りあえず良しとします。やっぱり楽しんだ作品を「なかったこと」にされるのは悲しいので。もちろん平行世界の考え方も他に色々あると思うし、これは自分を納得させるための個人的な解釈の一例に過ぎませんのでご了承を(遊びだと思ってやって下さい)。

平行世界に問題点があるとすれば、スカイネットが過去は変えられないことに気付かずターミネーターを送り続けていることですかね(汗。それ、平行世界に送られているだけだからって、誰かスカイネットに教えてあげてー。ニューフェイトのサラも迷惑しています。

補足考察:ジョンの運命

これは平行世界では考えなくてもいいことですが、同じ時間軸なら大きな意味を持ちます。未来から来たカイルを父に持つジョンは人類の指導者になってスカイネットと戦う運命を避けられない。これを避けて仕切り直しを試みたのがジェニシスとニューフェイトですが、ジョンの運命を変えるとタイムパラドックスが生じて同じ時間軸では説明がつかなくなる。だから同じ時間軸の物語として成立させるなら、ターミネーターは「ジョンの物語」として描かざるを得なく、その意味では運命に従ったT3・T4が正統な続編になると思います。

同じ時間軸の場合、ジョンはカイルを過去に送ってスカイネットを倒して初めて運命から解放される。T4がそれをやろうとして頓挫したのは残念。T3の設定を引き継ぐなら、T4のジョンには2032年に自分を殺しに来るT-850との対決が待っていたはず。それを乗り越えてジョンが運命を克服するところも見てみたかったですね。そこまで描ければ平行世界に逃げなくても同じ時間軸で1本の物語として完結できたでしょうから。

*この考察はニューフェイト続編の内容によっては変わる可能性もあります。

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