デューン 砂の惑星 PART2
年 | 2024年 |
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時間 | 166分 |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
前作でハルコンネンの奇襲に遭い砂漠に逃れたポールと母ジェシカは、アラキスの先住民族フレーメンの仲間に入る。フレーメンとして鍛えられ砂漠で生きる術を学ぶポールは自身の取るべき道について悩む。ハルコンネン打倒はフレーメンの救世主になることなのか? 予知夢が告げる未来へポールが決断を下す道とは…。
砂の惑星PART2、見てきました。「DUNE / デューン 砂の惑星」の続編です。舞台設定や人物関係が複雑なので、1作目の復習は必須。1作目は映画館で見られなかったので、今回はIMAXの大画面で見られて大満足! 重厚壮大な舞台設定、オーニソプターの羽ばたき、迫力の砂虫、これでもかのアクション、ズンズン響く音響、映画館っていいものですねー(笑。原作ファンなので原作のあの場面、この場面が大画面で見られるだけでもう満足なのですが、映画独自の展開もあって、そうまとめてきたか…なところもありました。
PART2はフレーメンを味方につけたポールが打倒ハルコンネン!と反旗を翻す話なのですが、原作では数年後になっているところを数ヶ月後に変更しており、その影響が話の筋に多少なりとも出てきてます。反撃までの期間を縮めたことで割愛・整理された部分も多々あり、「えっあのシーン見たかったのに」なところもあり。その分テンポはよくなってたけどポールの覚醒はもう少しじっくりやってくれてもよかったんじゃないかなあ。ポールはむしろ前作の方が予知者っぽく見えるくらいで、今作では神秘より肉弾戦士の印象が強かった感じ。でも旧作のように、やり過ぎエンタメヒーローな方向にならなかったのは良し。終盤の展開は期待通りの方向で進んでくれました。
ところでこれ、PART3あるの? 一応原作のラストまでちゃんとやってるのですけど、反撃期間短縮の影響か、終わり方があれ?になってたので、これで終わられたら気持ちが落ち着かないような…。原作知らない人なら感じないかも知れないですけど。パンフ見ると監督が原作の第2部に当たる「砂漠の救世主」も映画化したい…なこと言ってたので、「砂漠の救世主」で今作の割愛部分を補足するつもりなのかな。もしそうなら、それも見てみたいですね。
*世界設定の補足は旧作のレビューや小説レビューを参照下さい。以下は原作のネタバレも含んでますのでご注意。
<ネタバレ>
反撃期間短縮のせいで、けっこう肝心なことが脱落。まずポールの妹がまだ生まれてない。ポールの妹は胎児の時に命の水の影響を受けたため、生まれながらにして教母という特殊な能力を身につけた少女でかなり印象的な活躍をするキャラです。今作ではポールの妹登場も、とっても楽しみにしてたんですよー、なのにお預けですか!? PART3を待てと!?
そしてもう1つ。実は原作ではこの数年間の間にポールとチャニは夫婦になり、2人の間には子どもも生まれてます。でも今作映画ではそこまで行ってないので、ラストのポールとチャニの関係が微妙な空気で終わっちゃう。原作のチャニは既にポールの妻ですから、イルーラン姫との婚姻は形だけのものであり、実質の妻は自分の方であることが分かっており、それ故にか側室の立場になることを割とあっさりと受け入れている。しかし映画のチャニはもっと現代的な性格になっているようで、そこまで到達するにはもっと時間が要る─と言うことなのかもと思いました。
あとこの改編は宗教がもたらす支配や恐怖への問いかけのためなのかとも。フレーメンたちがベネ・ゲセリットの敷いた救世主伝説に染まっていく中、チャニは疑問を持ち続けている。そこにこの映画の意味があるのかも知れない。
もしPART3があるとしても、割愛部分や今作で提起したテーマも入れ込むなら、原作の「砂漠の救世主」とはまた少し違う展開になるかも知れませんね。原作ではアラキスが緑の惑星になるのはポールの後の世代になってからですが、そこまでやるのかどうか。今後の動きも見守って行きたいと思います。