ゴジラxコング 新たなる帝国

2024年
時間 115分
監督 アダム・ウィンガード

ゴジラとコングの戦いから3年、ゴジラは地上、コングは地下空洞と棲み分けて過ごしていた。だが地下空洞から謎の信号が発せられ、休眠していたゴジラが動き始める。その一方でコングは地下空洞に未発見の領域を発見、未知の怪獣と遭遇。そして謎の信号を探るため地下空洞に向かったモナークのアイリーンたちが見たものとは─。ここにゴジラとコングが新たな敵に立ち向かう壮絶なバトルが始まる。

ゴジラxコング、見てきました。モンスター・ヴァースシリーズ5作目。冒頭からゴジラもコングもどんどん出てきてくれるのが嬉しいのですが、

ゴジラ、動き、速いじゃん! めっちゃ身軽じゃん!!

ゴジラとコングが一緒に走るとは聞いてたけど、その前から既にゴジラの身体能力があの巨体で凄いことになってる(^^;。でもそれはそれで昭和の子ども向けヒーローゴジラを思い出させてくれて悪くない。ヒャッホーゴジラー!!(笑。 日本のゴジラがシリアスに向かうのとは対照的に、ハリウッドゴジラがどんどん東宝チャンピオンまつり的になっていくのが面白いです。そう今回のゴジラはまさしく懐かしの東宝チャンピオンまつりそのもの。それを最新のハリウッド特撮CGレベルでやってくれるんだらたまらない。ゴジラが暴れ、コングが暴れ、新怪獣が暴れ、世界を舞台に繰り広げられる怪獣プロレスの醍醐味を堪能せよ! もちろん野暮な突っ込みは無用の作品であることは言うまでもありません。

作品世界は前作(ゴジラvsコング)から続いており、登場人物も前作に続いて出てくる人が多いので、事前に前作の復習をしておいた方がいいかもしれません。ただ今作では人間ドラマの扱いは小さくなり、怪獣主役の展開になっているので、怪獣プロレス目的で見るならいきなりでもたいいして支障はないかと。むしろ前作の復習で見るべきは人間ではなく世界観とゴジラとコングの関係性の方だと思いますから。ただしコングと話せる少女ジアは押さえておいて下さい。

怪獣たちのキャラ立ちが前作より更に進み、人間ドラマならぬ怪獣ドラマを楽しめるのも今作の楽しみポイントかと。怪獣島でゴジラたちが会話してたように、ゴジラとコングも表情豊かに会話する。うなり声だけでも態度と表情で何を話してるのか分かる(この辺は演技を細かく作れるCGの恩恵かも)。コングと新たな敵たちとの関係性も面白い。

新作怪獣も色々登場して画面を賑わしてくれます。メインの敵役怪獣の他に、ローマでは蟹タイプ(足がクモンガに見えてしかたない)のスキュラ、北極ではマンダみたいなティアマット、地下空洞でもウミヘビみたいなやつとか、獣タイプとか、コングと小競り合いしてくれるやつが豊富。ここは出来れば東宝怪獣たちで彩ってくれたら嬉しいところだけど、そこは大人の事情で仕方ないてことですね。どちらにしろ、こいつらのバトルだけでも映画館へ行く価値あります。是非IMAXで楽しんで下さい。アレの復活も胸熱ですよ~。

<ネタバレ>

ネタバレして困るような作品じゃないと思いますが、公開中なので一応。まず歯痛で苦しむコングがかわいい(笑。コングに虫歯作る必要性てあった?と思うも、獣医(ほぼ怪獣医)を同行させて後半のコングのパワーアップにつなげる伏線だったようですね。

そして地下空洞の未知領域にはコングの仲間がいた! だが彼らはリーダーのスカーキングの圧政に苦しんでいた。タイタン(怪獣)の骨で作った武器を鞭のように振り回し相手を苦しめる。と言うか、こんだけ立派に道具を使いこなしてるんだから、頭いいよね、コングたちって。コングvsスカーキングでは、周りに人間がいないためスケール感が麻痺して、一瞬、猿の惑星かと思っちゃったわー。

そのスカーキングが操っていたのが氷の怪獣シーモ。凍結波を吐き、あらゆるものを凍らせる。こいつが本気で暴れたら地球が氷河期になりかねないくらいのパワーを持ってる。ゴジラより少し大きい。さしものコングも苦戦。

地下空洞にはコングの仲間だけでなく、ジアの仲間たち(イーウィス族)もいた。謎の信号はジアを呼ぶためのもので、地下空洞の危機にモスラを蘇らせるためだった。そうです、モスラ!

モスラが復活~!!

これは嬉しい、今作で一番のサプライズ喜びだった(例によって事前情報一切なしで臨みましたから)。今作ではジアが小美人的役割に昇格。ここからは「三大怪獣 地球最大の決戦」まんまの展開(笑。ゴジラに協力を頼みにコングが地上に現れるが、ゴジラは「オレの縄張りに入るの許さんぞ~」な勢いでコングに突進。コング必死に訴えるも聞いてない。そこでモスラが説得に参上。モスラの一喝でゴジラとコングの再会バトルは瞬殺で終了。さすがモスラ。ジアに「そうだそうだと言ってます」をやってもらいたかったですよ(笑。

ここからはゴジラvsシーモ、コングvsスカーキングの四つ巴の決戦になっていくのですが、背中に氷の針があるシーモを見て、家族から「シーモがアンギラスだったらよかったのに」との感想が。そうか、シーモがアンギラスなら、「スカーキングに痛めつけられて言うことを聞かされてるアンギラスをゴジラが救う!」な胸熱展開になったかも。東宝さん、モンスター・ヴァースにアンギラスも貸してあげて下さい。

今作は地下空洞で仲間を見つけたコングが支配者スカーキングを倒して、彼らの新しい王になる話でもあります。彼らは人間の言葉は話さないけど、ラストのコングとシーモの姿からは「支配ではなく友情と信頼でつながろう」な気持ちが伝わってきましたよ。ドラマはコング側に寄っているのでゴジラは友情協力みたいな立ち位置でしたが、登場シーンはたっぷりあったし、私としては満足。今作もこれはこれで「見たかったゴジラ」に間違いはないです。