スターシップ・トゥルーパーズ

スターシップ・トゥルーパーズ BD

1997年
時間 129分
監督 ポール・バーホーベン

他惑星に行けるようになった未来、人類は昆虫型エイリアン「アラクニド」と交戦中だった。ジョニー・リコは高校卒業後、地球連邦軍に志願。クラスメイトらがパイロットや情報部に配属される中、ジョニーは一兵卒として歩兵隊に配属される。辛い訓練に挫折しそうになりながらも実戦を経て兵士として成長していくジョニー。人類はアラクニドに勝てるのか!?

地球連邦軍のPR放送で始まり、放送の中で状況説明。この時代、人々は「市民」と「一般人」の2階層に区分けされ、市民権を持てるのは市民だけとなっています。市民になるためには軍に入って兵役を経る必要がある。一般人でもけっこういい暮らしが出来てるようなので(私にはジョニーの家は十分豪邸に見える^^;)、それでも人々が市民に憧れるのは、市民には一般人に勝る恩恵があると言うことなのでしょうね。

ジョニーが軍に入ったのは好きな女の子カルメン・イバネスのためでもありました。しかしカルメンは優秀なのでパイロットに。超能力研究をしていた友人のカールは情報部へ。一緒に軍へ入った高校の友人3人組は別々の道へ進むことになりますが、彼らの物語を通して人類とアラクニドの戦いが描かれていきます。

アラクニドとの戦闘シーンはさすがバーホーベンと言うべきか、なかなかグロい。でも敵がアレではグロくてもしかたないよなと思わせてくれるところがバーホーベンの力量。アラクニドがわらわらと大量に出て来るととても勝てる気がしません。アラクニドにはいくつかのタイプがあるようで、飛ぶヤツもいます。超巨大で火も吹くし、ほとんど怪獣じゃん!なヤツもいます。こんなのと戦わないと市民になれないなんて、とんでもない時代だな。

状況説明にいちいち地球連邦軍のPR放送が使われるのはプロパガンダ映画への風刺にもなっているらしいですが、このおかげで独特な面白さが生まれてますね。ジョニーたちの命を削る戦いの合間にバカバカし過ぎる「軍に入ろう!」なPR放送が入るのは滑稽で笑える。

<ネタバレ>

今作のメインの見せ場は昆虫エイリアンとの戦いだろうけど、ジョニーが一人前の兵士になっていくドラマも面白かったです。ジョニーたちは最初は世間知らずの高校生で、アラクニドとの戦いも遠い世界の他人事感覚。軍に入ると言うことがどういうことか分かってない。アカデミーへの憧れや彼女にいいとこ見せたいみたいな軽い気持ちで入隊している。しかも歩兵部隊にはジョニーに片思いしてるディジー、戦艦のパイロットにはカルメンを好きなザンダーが加わり、戦いの背後で4角関係みたいな青春ドラマも展開してたり。

だが訓練中に自分のミスで仲間を死なせたことでジョニーは変わっていく。さらにアラクニドが地球に攻撃をかけて両親を失ったことでジョニーは身も心も本物の兵士になっていく。カルメンも戦いの現場で甘い世界ではないことを知っていく。カールは終盤になるまでしばらく姿を見せませんでしたが、再び現れた時には大佐になってましたね。そこは彼も色々あったのだろうと脳内補完。

カールの提案で頭脳アラクニド(知性を持つアラクニドで攻撃指揮を行っているらしい)を捕獲する作戦が展開。ここでカールの超能力ごっこが伏線になっていたとは思わなかったわ…。カールは超能力を訓練して、テレパシーでジョニーにカルメンの居場所を伝えたようです。ジョニーがカルメンを救っている間に頭脳アラクニドが捕獲され、対アラクニド戦は新たな展開に入る…と言うところで幕。デイジーとザンダーがリタイアしたことでジョニーとカルメンにも新たな展開はあるのかな? ラストではジョニーたちも昇進、ラストでジョニーは隊長、カルメンは船長になってました。

アラクニドたちの生態はよく分からないままでしたが、プロパガンダへの風刺作品として機能できればその辺は問題ではなかったのでしょうね。アラクニドは昆虫エイリアンの形になぞらえた仮想敵なのだから。