ゴジラ(1954年)

1954年
時間 97分
監督 本多猪四郎

水爆実験の行われた海域で海難事故が相次ぎ、大戸島が謎の巨大生物に襲われる。山根博士は大戸島の伝説に基づき、この生物をゴジラと命名した。ついにゴジラは東京に上陸し破壊の限りを尽くす。水爆実験を生き延びたゴジラには戦車も高圧電流も効かない。どうすればゴジラを倒せるのか。このまま為す術もなく日本はゴジラに破壊されるしかないのか? 昭和29年に公開されたゴジラ第1作。

昭和29年。さすがの私でもまだ生まれていません。当然、映画館で見ることは出来なかったわけで、後年リバイバル上映で見たと言っても、公開時に映画館で見た人の気持ちには叶わないと思う。今回感想ページを作るに当たり、手持ちのBDを見返してみたのですが、本当にシリアスな大人の怪獣映画なのね。昭和29年という時代を考えると、よくこんな発想が出来たなと驚きます。

白黒映画なのですが、今見ると色が付いてないところがかえって臨場感を醸し出している気がする。モノクロ画像に元のフィルムの味わいと昭和29年の風俗が加わって、まるで記録映画のようなリアルさを感じさせる。本当に昭和29年にゴジラが出現してその記録フィルムを見てるんじゃないかという錯覚を覚えるくらい。でもそう感じさせるのも作品がしっかり作られているからかもしれません。

特撮も当時では最先端を行く一大スペクタルだったのではないでしょうか。車が回転して吹っ飛んで行くところなんてハリウッドを思わせる。モノクロのおかげでビルや家の崩れるシーンは今でも迫力を感じられる。昭和30年以前にこんな映像を見られた人たちにはどれほど衝撃だったろう…と思います。

<ネタバレ>

本作のテーマは原水爆への警鐘。ゴジラを怖く絶望感しかない描き方をすることで、原水爆の恐ろしさを訴えている。そして科学者たちの葛藤と苦悩も。水爆を生き延びたゴジラを殺したくない山根博士。自分が開発したオキシジェンデストロイヤーの悪用を恐れて使うのをためらう芹沢博士。

ゴジラを葬れたのは芹沢の切ない決心あればこそですね。山根博士の娘婿にという話もあったのに、恵美子(山根博士の娘)が好きなのは南洋サルベージの尾形。それに気付いたから2人のために身を引いてオキシジェンデストロイヤーの秘密と共にゴジラと海に沈んだのですね…芹沢視点で見ると泣けるー(被災のニュース映像にも心動かされたろうけど、恵美子と尾形の件がなければあそこまで思い切れなかったと思う)。

私は子ども向けのゴジラで育ったけど、これがゴジラの出発点なのだということは忘れないようにしたいです。