クローバーフィールド/HAKAISHA
年 | 2008年 |
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時間 | 85分 |
監督 | マット・リーヴス |
これは暗号名 "クローバーフィールド事件" の複数の目撃例の一つ。かつてN.Y.と呼ばれていた場所で回収されたビデオに収録された映像である。(パンフレットより)
公開当時は「ネタバレ禁止」にすごい力が入れられていました。パンフレットを買ったら、シールで封がしてあり、「絶対に本編ご鑑賞前にはシールを剥がさないで下さい」と注意書きまであり、その厳重さに驚いたものです。私もネタバレは嫌なので、事前情報は仕入れず映画館に臨みました。…つもりでした。後から知ったのですが、実は私は一番まずいネタバレをくらっていたのですが、そうとは知らずに「無事ネタバレを回避して映画を見ることが出来た!」と喜んでいました。アホですね(笑。
パンフの注意書きページにあった通り、これは個人がハンドビデオで録画した(という設定の)映像が延々と流されるだけの映画です。それも素人が撮ったという設定なので、画像がブレブレで揺れまくります。映画館へ入る時、「通常とは違う手法で撮っているので体調の悪い人はご注意下さい」という注意書きがあって、チケット買う時もしつこく確認されたので、「ネタバレ」ってそういうことだったのか…と勘違いしてました。ということで、以下は本当のネタバレです。
<ネタバレ>
テープは送別会の会場から始まります。友だちに頼まれて素人の撮影者が頑張ってカメラを向けてます。で、しばらくこの送別会のシーンがダラダラと続きます。これが長いので、「いつになったら怪獣が出てくるのかなー?」と待ちわびていました。…そう、これは怪獣映画だったのです。そして、それこそが厳重に禁止されていた「ネタバレ」だったのです。確かに怪獣映画だと知って見るのと、ラストでパニックの原因が怪獣と分かって驚くのでは、受ける衝撃は違ったでしょうねぇ。それでも、素人ビデオでつづられるドキュメンタリータッチの作品とは知らなかったので、すごく新鮮な気持ちで楽しませてもらいました。
個人が撮ったビデオの映像のみで話が進んでいくので、何かが起きるけど何が起きたのか分からない。素人撮影ならではの下手さ加減が逆に臨場感を出してくれて、エイリアン以来の恐怖感がありました。ともかく徹底してこの惨事に遭遇した人の視点からしか話が見えないので、観客も登場人物と一緒になって何が起こってるのかよく分からないまま事態の進行を見ていくしかない。これは怖いです。「状況がよく分からない」のって一番の恐怖ではないかと思いました。「市民の視点」から描く、という点では「宇宙戦争」もそうでしたが、こっちの方がずっと身に迫って怖かったです。
話としては謎の怪獣がニューヨークを暴れ回っているだけなのですが、見せ方のアイデアの勝利ですね。ドラマの盛り込みも上手く出来てたと思います。映画本編は回収されたビデオテープがただ回ってるだけなので、パンフレット等から情報を補足しないと分かりにくいのが難点でしょうか。日本の怪獣から発想を得て作られただけあって、エンディングテーマがゴジラっぽいのは日本人には嬉しいところです。