ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS [東宝Blu-ray名作セレクション]

2003年
時間 91分
監督 手塚昌明

機龍戦から1年。ゴジラ再来に備えて機龍の修復・整備が行われている中、モスラが飛来して小美人が機龍を海へ帰すよう警告する。ついにゴジラが現れ、モスラが応戦。だがモスラだけでゴジラに勝てるのか──? 政府は機龍の出陣を決意し、ここに東京を舞台にゴジラ・モスラ・メカゴジラ(機龍)の一大決戦が繰り広げられる。

ミレニアムシリーズには珍しく、前作「ゴジラ×メカゴジラ」から世界観は変えずにそのまま続編になっています。前作と合わせて実質「機龍物語前後編」になってますよな、これは。東京SOSの副題の通り、バトルの舞台は東京中心。東京タワー、国会議事堂など54年版ゴジラのオマージュみたいな場所も多し。メイン怪獣はタイトルの方々ですが、他にゲスト出演みたいな方もおります。

そしてモスラ! 前作でも触れられていましたが、今作は1961年の「モスラ」とも世界がつながっているようです。つまり初代ゴジラと初代モスラへのリスペクトも込められてると言うことですね。パンフレットによるとモスラのデザインも敢えて61年モスラと同じものにしたとか。設定も61年モスラと同じく南太平洋インファント島の守り神で、小美人もちゃんと登場します。61年モスラの流れが今作の物語にも関係しているため(61年モスラの続編ではないかと思えてしまえるくらいに)、可能なら事前に61年モスラを見ておくと一層楽しめると思います。

人間側は前作の茜が「アメリカへ研修」と言う形で引退し、代わって機龍整備士の中條義人が主人公に。しかも義人の伯父が61年モスラで小美人を助けた中條博士で、演じているのも同じ人なのが昭和ファンには嬉しいところ。なお、前作は「茜と沙羅の成長物語」な側面もありましたが、今作の人間は怪獣たちのドラマのサポート役に準じてくれているようです。

カメーバ

死体で漂着。ゴジラにやられたのか…?

モスラ

1961年に飛来したモスラの子孫らしい。成虫・幼虫どちらも登場。61年から43年経ってるので、小美人も代替わりしているようす。

3式機龍(メカゴジラ)

作中では呼び名は「機龍」に統一され、メカゴジラと呼ばれるシーンはない。胸の武器が変更されている。

ゴジラ

前作で機龍と戦った個体(胸にその時の傷がある)。

<ネタバレ>

機龍にはちょっとロボコップに似てるところがある。機龍の元になったゴジラの骨に記憶が残っており、それが時折目を覚ます。ゴジラを倒すマシンとして動いていても、何かの弾みで自分がゴジラだったことを思い出してしまう。ロボコップにされたマーフィが最後には自分を取り戻しマーフィと名乗るように、機龍もゴジラに戻るのが本当はいいのだろうと思う。だから機龍が人間のコントロールから解放されてよかったと思う。

解放された機龍が望んだのは骨に戻って永遠に眠ることだった。ただ、機龍にはコンピューターも入っており、ゴジラだった時にはなかった情報・データも入っていると思う。それが義人を逃がし、ゴジラと共に海溝に沈む道を選ぶことになったのではないかと。ゴジラと機龍の目線になってみると、彼らにもドラマがあることに気付く。機龍よ、安らかに。

モスラは成虫が寿命が近い設定・幼虫が双子ってところは「モスラ対ゴジラ」をオマージュしてますね。成虫モスラ、自分がゴジラを倒せなかった時のことを見越して日本に近い島に卵を用意しておくとはさすがですなー。実はモスラは幼虫が意外に強い。対怪獣では幼虫の吐く糸が効力を発揮することがしばしば。

今作では終盤で人間たちが生命を扱うことについて蘊蓄たれながら反省してますが、一番インパクトあったのはエンドロール後の一幕。特生自衛隊の研究室にゴジラのDNA残ってるじゃん! いくら口先で反省してみせても人間って結局は…ってところが下手な台詞より説得力ありました。今作も短い尺ながらよくまとまっており、テンポよく楽しめました。ゴジラは永遠です!