新感染半島 ファイナル・ステージ

新感染半島 ファイナル・ステージ BD

2020年
時間 116分
監督 ヨン・サンホ

韓国がゾンビに浸食され、封鎖されてから4年後。難民として香港に逃れたジョンソクは惨めな生活を送っていたが、半島に残された2000万ドルを回収する仕事を受けてゾンビの闊歩する半島へ戻る。だがそこにいたのはゾンビだけではなかった──。襲い来る大量のゾンビに加えて、暴徒化した生き残った連中の襲撃、ジョンソクは無事2000万ドルを回収して脱出できるのか!?

「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編です。ただし登場人物は前作とは関連はありません。あの後、釜山も安泰の地ではなかったようで、ゾンビは半島中に広がって韓国は封鎖されることに。何とかゾンビから他国に逃れられた人たちも差別や貧しい暮らしに苦しんでいた。そんな時、半島に眠る大金を回収できたら分け前をもらえる話が舞い込んできたわけですよ。回収仲間はジョンソクを入れて4人。分け前は2000万ドルの半分、それを4人で分けると1人250万ドル。それだけあればこの貧しい暮らしから抜けられる!…のだけど、向かう先には大量のゾンビが待ち構えている。ゾンビにやられたら人生終わり、生きて帰れたら25万ドル。まさに命をかけた戦いに。

前作は高速列車の中という閉じられた空間でのゾンビ攻防戦が新鮮で面白かったのですが、今作は荒廃した終末世界でサバイバルがメイン、マッドマックスにゾンビを足したような雰囲気になってます。他国に逃げる機会がないままに4年間ゾンビの中で生き抜いてきた方たちはサバイバル根性を鍛えられてて、タフで強いっ。銃アクションもありますが、サバイバルカーアクションが凄いっ。と言うか、ほぼそれメインじゃん!と言いたくなるほどカーアクションの連続で手に汗握ります。

今回はパニック要素はなく(皆さん強者なのでゾンビの真っ只中でも冷静だし^^;)、ジョンソクも元軍人なので冷静にゾンビや暴徒に立ち向かえるため、ゾンビ怖いと言うよりはどうやってミッションを果たすかの方に比重が寄ってる感じ。だけど限界状況下でも大切にしたいものも描かれており、ラストの扱いなどは前作よりエンターテインメント寄りになってるなと思いました。

<ネタバレ>

4年前、ジョンソクは姉一家を脱出船に送る途中、助けを求める家族を見捨てていた。だが船の中で感染者が発生し、ジョンソクは姉と甥も失う。2000万ドルの話が来た時、姉の夫チョルミン(ジョンソクの義兄)が参加を表明し、ジョンソクも同行することになる。ミッションはソウルで連絡を絶った2000万ドルを積んだトラックを見つけ出し、港へ運ぶこと。ゾンビさえ避けられたら簡単な仕事だと思われたが、半島に残っていたのはゾンビだけではなく、そいつらがゾンビより大変だった。連中は631部隊と名乗っており、元は救助部隊だったらしいが、今や好き勝手する暴徒と成り果てており、トラックは連中に奪われる。

その時ジョンソクを助けてくれたのが、4年前彼が見捨てた家族だったのですね。ジョンソクは彼らに謝り、半島から脱出できる方法があることを告げる。しかしゾンビ世界で鍛えられたジュニの超絶運転テクニックには驚愕したわー。お母さんのミンジョンも凄腕運転だった。ゾンビの性質も知り尽くしていて、暗闇では目が見えない、音に反応する、光に集まる等を上手く利用して、ゾンビを意図的に集めたり散らしたりして見事に切り抜けていく。もはや「そういう性質の野生動物」化してるゾンビたち(笑。そう、本当にやっかいな敵は「人間」ですよ──。

自分の欲望だけに生きるファン軍曹、自分だけが助かろうとするソ大尉、彼らに阻まれながらトラックを取り戻すが、ジョンソクはもう捕まったチョルミンを見捨てることはしなかった。助けられなかったけど努力した。最後は娘たちのために残ろうとしたミンジョンをジョンソクが自分を犠牲にして助けるのかと思ったら、ジョンソクもしっかり助かっちゃってハリウッドエンタメみたいなハッピーラストに(^^;。でもこれ見てる人99%ジョンソク死ぬと予想するだろうから、敢えて逆を行ってみたとか?

メッセージ性は前作より弱かったけど、カーアクションは見応えあったので、エンタメとしては十分楽しませていただきました。もうちょっと前作やアニメみたいな風刺性があってもよかったなと思ったけど、これはこれで面白かったのでまあいいか。