TIME/タイム

2011年
時間 109分
監督 アンドリュー・ニコル

人類が25歳で歳を取らなくなった代わりに、25歳以上の余命を"時間"で取引するようになった世界。"時間"が"通貨"になり、給料も買い物も家賃もローンも全て時間で支払われる。持ち時間の多い富裕層は永遠にでも生きられるが、時間の少ない貧困層はいつ"時間切れ"で死ぬか分からない日々を送らなくてはならない。貧困層のウィルは富裕層の娘シルビアと出会い、2人は"時間"と"命"の意味を世界に問うことになるのだった──。

この作品、大好きです! 映画館で見たのにパンフレットが売り切れで手に入らなかったのが残念。『Time is money(時は金なり)』と言いますが、本当に"時間"を"お金"にしてしまった発想が素晴らしい。これって、誰もが一度はやってみたい!と思いつつも安直すぎる気がして手を出さなかったアイデアなんですよね(私はそう思っている)。それを見事にシリアスな作品として成立させてくれたのが今作。もうこの設定だけでお代わり何倍でもいけますよお~~面白すぎてたまらん~~!!

この世界では「時は金なり」を地で行くので、コーヒー1杯4分とか、バス料金が2時間とか、"時間"を"お金"に読み替えればそのまんま。人々の腕には持ち時間の残りが映し出されていて、残り時間=寿命なんですね。だから手持ちの時間を使い切ったら残高が0になって、命も尽きる。時間の切れ目が命の切れ目なんです。死なないためには日々"時間"を稼ぎ続けなければいけない。しかし働いても働いても物価は日々値上がりし、お金もとい時間は貯まらず、貧乏人はいつまでたっても貧乏人。一方で貧乏人から搾取した"時間"で富裕層は100年、200年の長寿を享受。外観は25歳のままだから事故などに気を付ければほとんど不老不死。あまりに分かりやすい格差社会にそりゃ腹も立ってきますよね。

ただ富裕層の中にも疑問や不満を持つ者もいるようです。ウィルとシルビアが行動を起こした時、こんな世界でも単純な行動だけでは世界はそう簡単には変わらない複雑さを持つことが示される。監督が「ガタカ」のアンドリュー・ニコルなので、単にアイデアを楽しむだけではなく、金を時間に置き換えることで金融社会に切り込みを入れていることは分かります。作品そのものが強烈な皮肉になっているんですよね。

<ネタバレ>

アイデアに強烈な魅力があるおかげでSFとしてどうかは気にせず楽しめる作品。一応、遺伝子操作で人類は25歳から歳を取らない体になった──という説明はつけてますが、時間で余命が云々に至ってはもはやファンタジーなので、ここは素直に設定を受け止めて楽しむが吉です。今作が一番問題にしてるのは「時は金なり」にかこつけた金融の格差ですからね。

貧しくてもそれなりに生きていたウィルを動かしたのは自殺志願者の金持ち(時間持ちと言うべきか)から聞いた世界の真実と母親の死。富裕層に生まれたシルビアは何不自由ない暮らしながらも刺激のない退屈な日々に"生"を感じられないでいた。母の復讐のために富裕層に乗りこんだウィルが人質にとったのがシルビアだったが、"生"を求めていた彼女はウィルと行動を共にすることになる。シルビアが父の銀行を襲うようになったのは自分を縛り付けていた父への反抗の表れでもあったろう。不老不死を得ても"生"の躍動がない生活は生きていると言えるのか。

一握りの富裕層を不老不死にするために日々大量の人々の命が奪い取られていく世界。今作の人類改造はその目的で行われたものだった。ウィルとシルビアはそのシステムを崩すために搾取された"時間"を人々に戻す活動を行う。「金は天下の回りもの」とも言います。金持ちが金を貯め込んで社会全体に回すことをしないと経済が偏ると思います。この映画はその極端な状態を描いていると思われます。経済の偏りをなくすまでウィルとシルビアの戦いは続く!のだろうな。

でもテーマはテーマとして、個人的には今作一番の楽しみどころはやっぱりこの作品でしか見られない唯一無二の設定・世界観が大きい。腕の残り時間がしょっちゅう時間切れになりかけるのは今作ならではのハラハラポイント。祖母・母・娘み~んな同じ25歳とか細かい面白ポイントも多い。設定の魅力が抜きん出ているために少々の突っ込みどころは許せてしまう。設定好きとしては屈指の作品だと思っております。

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