ウォーターワールド
年 | 1995年 |
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時間 | 136分 |
監督 | ケヴィン・レイノルズ |
地球の氷が溶けて世界が海だけになった未来。船や人工の浮島で暮らす人々の間では何処かにあると言う陸地「ドライランド」の伝説が広がっていた。海を1人で旅する男が浮島の1つにやってきた時、スモーカーと呼ばれる海賊集団が襲ってくる。男は女性と少女を助け出すが、海賊の目的は「ドライランド」を示すと噂される少女の背中の入れ墨だった。少女を巡り海の男と海賊の攻防が始まる──果たして「ドライランド」は見つかるのか?
公開時に見た記憶があるのだけど、忙しかった時期だからレンタルビデオだったかも知れない。ムービープラスで流してくれたので録画して久しぶりの鑑賞です。当時の記憶ではたいしたことなかった気がしてたのですが、改めて見直して見たらそうでもなかったですね。最近の気候を思うと温暖化への意識も高まる感じで、見た当時よりずっと切実さを感じました。
まだCGがなかった時代の大がかりなセットやアクションは今見ると逆に新鮮。主人公の男の船や浮島の描写は汚れや錆の浮いた歯車・滑車の世界で服もボロボロ系、いかにも世紀末な感じ。水上バイクでカッ飛ぶ海賊の兄ちゃんたちは暴走族のイメージ。北斗の拳の世界(マッドマックスみたいな?)を海の上でやってるような、そんな世界観です。
ケビン・コスナー演じる主人公の男の名前は不明。作中ではマリナー(海の男)と呼ばれていたので、この記事内でも彼のことはマリナーと書くことにします。マリナーは手に入れた貴重品を食料と交換するために浮島を訪れたのですが、そこには背中に「ドライランド」への地図が彫られた少女がいて、海賊スモーカー一味もその情報を入手していた。スモーカーは少女を拉致するため浮島を襲うが、そのどさくさでマリナーは問題の少女エノーラと、彼女と一緒にいた女性ヘレンを助けてしまう。
なかなか息の合わないマリナー・ヘレン・エノーラの3人ですが、スモーカーはしつこく追ってくる。アクション映画なので、ここは何も考えずに生の海上ドンパチと海上(海中)アクションを素直に楽しむが吉。
<ネタバレ>
実はマリナーは耳の後ろにエラがあり海中で呼吸が出来る。海ばかりの世界に適応した新しい人類ということでしょうか。でも旧来の人類には海上生活は辛い。陸を求めて「ドライランド」の伝説にすがる。ついにエノーラをさらうスモーカーだけど、その時マリナーを動かしたのは「ドライランド」ではなく自分の中に芽生えた「エノーラを大切に思う気持ち」だった。最初はまるで息の合わなかったマリナー・ヘレン・エノーラたちの心が少しずつ開きつながっていくのはやっぱり良い。なお、ラストバトルの舞台になるのはスモーカーが基地にしていた石油タンカー「エクソン・ヴァルディーズ」です(作中ではディーズと呼ばれていた)。
スモーカーをやっつけてエノーラを助け出した後、浮島の生き残りたちが入れ墨の謎を解く。「ドライランド」は本当にあった。そこはエノーラが生まれた陸地で、エノーラの親はいつかエノーラが帰ってこられるように入れ墨を残したのかな。浮島の生き残りたちは「ドライランド」に住むことにしたようです。しかし海に適応してしまったマリナーには陸地は向いていなかった。マリナーとヘレンは情を交わすようになっていたけど、お互いの棲める世界が違うため別れることになってしまう。ヘレンを陸に残して海に去るマリナー。でもヘレンとエノーラとの出会いはきっとマリナーの心に大切なものを残したと思うよ。
基本はアクションがメインなので、SF部分の設定には突っ込みどころは多々あります。それでも異常気象が日常になってしまった昨今では環境問題を描いたSFとしても通るところがあり、作られた当時ではない、今だからこそ見てみてもいいんじゃないと思わせてくれる作品です。