未知との遭遇
年 | 1977年 |
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時間 | 135分(劇場公開版) 137分(ファイナル・カット版) |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
行方不明になった飛行機や船が砂漠に忽然と現れ、世界各地で不思議な現象が頻発し多数の人々がUFOを目撃。ロイもUFO目撃以来おかしくなり、家の中に頂上が平らな山の模型を作り始める。息子がUFOにさらわれたジリアンもロイと同じく山の幻影を見るようになる。それがデビルズタワーだと気付いた2人は山を目指す途中で合流するが、デビルズタワーの周囲では軍が不審な動きをしていた…。
有名な映画なので何となく見たことがあるような気になっていましたが、CSのザ・シネマでやっていたのを見てみたら全編覚えのないシーンばかりで、実は見たことのない映画だったことが判明しました(^^;。ポスターか何かのイメージで見た気にさせられていたみたい(笑。てことで、令和の今になって初めての鑑賞です。なお今回見たのは劇場公開版ではなく「ファイナル・カット版」というバージョンのようです。
話は軍や政府視点から始まり、群像劇みたいに多数の人々が描かれるのですが、一般市民側の主人公はロイ、ということでいいのかな? 軍が謎現象の情報を集めて解析したり対策を練る様子と、ロイやジリアンが不思議な現象に遭遇する様子とが平行して描かれます。軍側の描写は全体視点で分かりやすいのですが、ロイの言動がだんだんおかしくなっていくのは説明もなく「???」が渦巻く。ロイの奇行とその後の行動と、それがだんだん意味を持つことが明らかになっていくという見せ方は面白いと思った。こんな話だとは思ってなかったので見てみてよかったです。
<ネタバレ>
見る前から宇宙人とコミュニケーションを取る映画だというのは知っていたし、音楽を使うのもあの音程も既に聞いて知っていたので(こういう情報が無意識に根付いてたのも見たことある気になっていた原因ですね)、公開時に映画館で見ていたら今とは違う感想を持てたかもしれないと思うと、そこは惜しかったな…。
でもあの有名な音程で交わした内容って何だったんだろう? 軍はあれで宇宙人とコミュニケーション出来たつもりになってただけの気も…。実際には宇宙人と直接交信していたのはロイを初めとするUFO目撃一般人だったのでは? ロイたちは何かを感じた。UFO目撃組は皆同じ幻覚を見た。頂上が平らになった山、デビルズタワーを。山の幻覚を見た者たちは自分でも理由が分からず山を目指す。多くの者がUFOからの"招待"を受信したが、UFOとの接触を秘密にしたい軍や学者チームに阻まれ、UFOへ乗るところへまで辿り着けたのはロイだけだった(ジリアンもロイと一緒に辿り着いたがUFOから戻ってきた息子のために地球に残ることにしたようだ)。ロイのその後は分からないけど、宇宙人の呼びかけに応えて彼らと共にこの先へ行こう…と言うのが本作のメッセージですよね(その具体例がロイ)。
ところで今作は当時のSFとして名作というのは分かるけど、アメリカの宇宙人信仰(宇宙人への夢というべきか)を形にした作品にもなってると思いました。宇宙人の容姿もアメリカの宇宙人伝説が伝える典型的な「グレイ」タイプですし。スピルバーグは「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」でロズウェル事件に触れていましたが、「政府は宇宙人との接触を隠蔽している」と思いたい人たちはけっこういるようです。今作には「政府隠蔽」も「宇宙人に誘拐」も盛り込まれ、もしそれらが本当ならば…を描いてみた、というアメリカの夢の具象化も果たしてる気がします。