スピーシーズ / 種の起源

1995年
時間 108分
監督 ロジャー・ドナルドソン

宇宙へ向けて人類のメッセージを送ったところ、未知の存在から返事が届いた。それにはメタン生成に働く触媒の構造式の他、新しいDNAの配列も入っていた。そのDNA配列を卵子に注入して実験してみたところ、3週間で12才くらいの少女に急成長。あまりの成長の速さに恐れをなした研究所は彼女の処分を試みるが逃げられてしまう。追跡チームが結成され彼女を追うが、彼女は驚異的な能力で繁殖を試みようとしていた…。

実は今作、けっこう好きなのです。宇宙人から送られた情報を人間に入れたら怪物になっちゃったよ~という話なのですが、その怪物が可愛い&美しい女性ってところがミソ。実験のコード名が「シル」なので、この記事でも彼女のことはシルと呼ばせていただきますね。シルの正体部分のデザインは「エイリアン」のH.R.ギーガーなので、「エイリアン」の女性バージョンみたいにも思える。もし「エイリアン」が美しい女性の姿で地球に来たら…をやってみた感じです。全体にB級っぽいですが、こういう面白さってB級ならではのところもあるしね。

繁殖目的のために次々と男を襲うシルを野放しに出来ないのは分かりますが、人間側もなかなか自分勝手であります。生命を創っておきながら、成長速度にビビって殺そうとするって、何。シルにしてみれば信頼してた親に裏切られたようなものだから、そりゃ怒るし逃げるわ。研究所長のフィッチは融通のきかないお人のようで、本心より規則を優先するところあり。

この手の作品では有事には研究者が招集されるパターンが多いですが、今作でもシル処分のために特徴あるメンバーが集められます。殺し屋(本人曰く問題解決屋)のプレス、霊能者のダン、人類学者のアーデン、分子生物学者のローラの4人がフィッチに率いられてシル抹殺のために動く。シルもなかなか頭がよくて、彼らを出し抜きながら目的を達そうとする。この辺の互いの動きはサスペンス感あって面白い。シルが女性形なので、ついシル側から見てしまうこともあり、シル逃げろー、シルやるなーになっちゃうことも(笑。

でもシルはやっぱりエイリアン。そこは清々しいくらい自分のためのみに生きてる。このままシルに人類を乗っ取られてしまっては困るのは分かるので、最後はプレスたちを応援することになるのですが、それでもやっぱりどこか憎めないシルなのでした。

<ネタバレ>

研究所から逃げ出した少女は列車に乗って個室で蛹になり成人女性に変化。ロサンゼルスに来たシルは社会に慣れてないので最初は少しズレた行動になるところが、「スプラッシュ」を思わせて面白い。テレビを見て世の中を知り、妊婦や赤ちゃんを見て繁殖の本能に目覚める。男女の愛の交わし方もテレビやビデオで学習し、男を求めて社交クラブへ。しかし奪ったカードを使ったことで足がついて、プレスたちが追いすがってきます。

シルが求めるのは健康で病気の因子のない男性。1人目の男性はそれで不合格になりますが、シルの行動原理が女として分かりすぎて、頷いてしまう自分がいます(笑。しかしシルはいい男ばかり引っかけてるなあ。1人目も2人目もプールのある豪邸に住んでて、羨ましいわ…。だがプレスたちに邪魔されて、シルの望みはなかなか果たせないのでした。

フィッチたちに追われてることに気付いたシルは一計を案じる。行きずりの女性を身代わりにして自分が死んだと思わせる。この辺はなかなか計画的でシルの「知」を伺わせます。髪を染め金髪から茶髪になって別人を装い、プレスに狙いを定めるが、プレスはローラといい仲になっちゃって割り込めない。様子をうかがっている時にアーデンが来て、まあ健康で悪い因子がなけりゃ誰でもいいかーと速攻アーデンに乗り換え。この辺の割り切りの良さは強烈(笑。

アーデンが犠牲になったことで、シルとシンクロしがちだったダンも打倒シルに決意を新たに。ここはシルに気持ちが入りかけてた観客もプレス側に引き戻してくれる効果がある。ここから先はシルもエイリアンの本性を表し、ギーガーデザインで迫るので、観客もこりゃやっつけねばあかんやつや!心境になれます。

フィッチのやったことは浅はかでしたが(だからあの末路も分かる)、未知の知的生命体の策略にまんまと乗せられた感じでもある。シルと彼女の子どもは葬られましたが、シルと同じDNA配列を持つ実験卵子はまだ数個冷凍保存で残ってましたっけね…。