エイリアン: コヴェナント

エイリアン:コヴェナント BD

2017年
時間 122分
監督 リドリー・スコット

惑星オリガエ6に向かって航行中の宇宙移民船コヴェナント号が事故に遭遇。修理中に受信した信号から近くに生存可能な惑星が見つかり、新しく船長になったオラムは7年かけてオリエガに行くより近くの惑星に降りることを提案。捜査隊を惑星に下ろすが、調査中に2人が倒れ、2人の体から飛び出した謎の生物に襲われる。母船に戻ろうにも着陸艇は壊れ、嵐で連絡も取れない。その時彼らの前に現れた者とは…?

「プロメテウス」の続編で10年後の設定です。しかし「プロメテウス」は最初から創造主に会うのが目的だったからまだいいけど、さすがに今作のオラムの提案には突っ込みを入れたくなりました。何年もかけてシミュレーションを繰り返し周到な用意をしてきたオリガエに行くのをやめて、発見したばっかりの未知の惑星にいきなり降りるって考えられんぞ(汗。惑星に降りる時もスムーズに行かずさっそく事故ってるし、まともに着陸出来ない時点で住むのに適してるようには見えないのに引き返さず降りられた皆さんご苦労様です。

でもそのおかげ?でエイリアンの皆さんも早くからババッとお出ましになられて、「プロメテウス」のエイリアン不足は補ってくれております。エリザベスとデヴィッドがその後どうなったかも、この惑星に降りなければ分からなかったですしね。てことで、今作の主人公は前船長の妻ダニエルズですが、

デヴィッドの物語

にもなっちゃってましたね。なお、エイリアンシリーズのお約束で、今作にもアンドロイドのウォルターが同乗してます。ウォルターとデヴィッドのやり取りにも注目。

<ネタバレ>

母船と連絡が取れず困っていたダニエルズたちの前に現れたのがデヴィッド。彼はダニエルズたちを自分の住み家へ連れて行く。コヴェナントが受信した信号はエリザベスの歌だったんですが、これ多分デヴィッドの罠ね。エリザベスは既にデヴィッドの実験の犠牲になってて、彼女の歌を流すことで引っかかってくれる人間を待ってたんだろうなと思う…。

今作を見ると、やっぱりデヴィッドがホロウェイに黒い液体を飲ませたのは好奇心だったのだなと思う。彼は「プロメテウス」の時から"創造"に関心を示していた。自分を創ったのは人間、では人間を創ったのは誰? デヴィッドがそこに興味を持つようになったのは、彼の創造主たるウェイランド社の社長が「人間を創造したのは誰か」に執着していたのもあるだろう。主人がいなくなったデヴィッドは「自由」になり、自分の探究心を満たすべく、自ら"命の創造"を始め、実験を繰り返して様々なエイリアンを生み出していく。そのためにはエンジニアを滅ぼすことも厭わない。かくしてデヴィッドは「神の狂気」に取り憑かれたアンドロイドになっていく。

デヴィッドと比べるとウォルターがすごく「まとも」に見えます。デヴィッドはプログラムに忠実であろうとするウォルターに失望しますが、人間でもデヴィッド状態になったら「まとも」とは言えないよ…。デヴィッドとウォルターが同じ外観なのがミソで、ラストはこれウォルターなのか?とハラハラしましたが、やっぱりデヴィッドが成り代わってましたね;;。ウォルター、いいやつだったのに…。

ところで。今作を見るとリプリーが遭遇したのはデヴィッドが創ったエイリアンだったのかな。「プロメテウス」では卵なかったしね。ということは、デヴィッドはこれからコヴェナント号の乗員を実験台にしてエイリアンの女王を完成させ、その女王がスペース・ジョッキーのいる宇宙船に卵を産み付ける流れ…? それなら前日譚になりますね、確かに。

前作でエンジニアが人間を創っておきながら滅ぼそうとしたのは何故か知りたいと言っていたエリザベス。デヴィッドのやっていることにその答はあるのかもしれない。「プロメテウス」から始まった「種の起源」とは、人類の起源だけでなくエイリアンの起源をも意味してたようですが、「創造」についての問いかけも行っていた気がする。神の真似事をしているデヴィッドの行き着く先も見てみたいけど、続きはないのかな。