ハンガー・ゲーム
年 | 2012年 |
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時間 | 142分 |
監督 | ゲイリー・ロス |
パネム国では過去の戦争を忘れないために年に1回12の区域から各2名を選出し、死のサバイバル「ハンガー・ゲーム」を行っていた。プレイヤーは12~18才の少年少女。カットニスは今年のプレイヤーに選ばれてしまった妹の代わりに志願、ハンガー・ゲームに参加することになる。24人のプレイヤーのうち生き残れるのはただ1人。人々がゲームの行方を見守る中、カットニスは生き延びることが出来るのか──。
ティーン向けの小説が映画化されて人気になった「ヤングアダルト」と呼ばれるジャンルがあります。「ハンガー・ゲーム」もその1つ。このジャンルに共通するのは、主人公は子どもから大人になる年齢の少年少女、扱う内容はいわゆる「反抗期」をSF・ファンタジー・アクションなどで表現することが多い。子どもは思春期を迎える頃に自分の居場所の再確認を行う。これまで自分を守り育ててくれたもの=自分を支配するもの=社会であることに気付き、それを突き破る、乗り越えることで大人になっていく。だからこのジャンルではそれを「体制への反抗」という形で描いてることが多いです。
このジャンルの作品も多くて、「ダイバージェント」や「メイズランナー」もそうですが、映画ではこの「ハンガー・ゲーム」シリーズが一番の代表格かなと思います。理由は数ある作品の中で最も完成度が高いから。物語が尻切れトンボにならず最後までちゃんと描き切っていること、中途半端にSFを入れずファンタジー(架空の国)に振り切ったことで、社会を単純化・誇張したモデルを作り上げることができ、無用な突っ込みを回避できていることも。
パネム国はスノー大統領の独裁国家。彼は人民を支配するために「過去の戦争を忘れない」という名目で、子どもどうしを戦わせている。スノー曰く、各地区から無作為に選んだ24人を処刑して恐怖支配する方法もあるが、生き残った1人にだけは栄華を与えるようにすれば希望も持たせられるので反乱されにくいのだそうな。バランスのとれた飴と鞭で人民を支配するというやり方ですね。実際この政策に乗っかってプレイヤー専門の人材を育成・英才教育してる区域もある。が、カットニスのいる12区は貧しくてそんな余裕はない。だから誰だって嫌なのです、プレイヤーになるのは。
ハンガー・ゲームはサバイバルゲームなので、敵は人間とは限らない。毒バチや毒の実、猛獣、管理側の仕掛ける罠でも命を落とす。ゲームは生中継で全国に放映されるので、プレイヤーは上手くすれば人気やファンを獲得することが可能。ファンが付けばゲーム中に差し入れを受け取ることも出来ます。スタイリストのシナや教育係のヘイミッチの助言を受けて同じ12区のピータと共にゲームに臨むカットニスですが…。
このシリーズは4作あり、今作はハンガー・ゲームの紹介編みたいなところ。まずは1作目で世界設定やハンガー・ゲームがどういうものか知って、それから2作目以降の話へ展開していくことになります。
<ネタバレ>
プレイヤーたちにはゲーム開始までは束の間の贅沢な暮らしが与えられるのですね。首都チャピトルヘ着いてもすぐゲーム開始ではなく、4日間の訓練期間があります。カットニスは弓が得意。プレイヤーたちはアイドルスターのように華やかに紹介される。シナ演出の炎のドレスはきれい。チャピトルの富裕層にとっては年1回のイベントであり、気に入ったプレイヤーを応援したり、誰が勝つか賭けをしたりしている。でも楽しんでるのは都市の支配層だけですよね、都市の支配下にある各地区の貧しい人たちには苦々しい行事だろう。
ゲームのステージは運営側でコントロールしてるようですが、実物に見えるけどプログラムの猛獣が実体化したりして、どういう仕組みなのかは謎。でもこの辺は架空の国だから架空の科学があるんだろーと割り切って楽しむ。チャピトルの人々のファッションは派手で変なセンスですが、いかにも架空の国らしい毒々しさも見てるうちに慣れてきちゃうのが怖い…(^^;。
カットニスは11区のルーと親しくなり一緒に行動するが、ルーは脱落してしまう。ルーの死で11区に暴動が起こりかけ、運営側はカットニスに片思いしているピータの気持ちを利用して「悲恋の恋人」を演出し、観衆の気持ちを暴動からそらす。そのおかげでカットニスにはゲイルという恋人がいたのに、ピータと恋愛してるふりをする羽目になる。運営側を出し抜いてピータと2人で勝者になれて故郷の12区に戻ることが出来たカットニスだけど、ゲイルの目にはどう映ったか…。
まずはパネム国とその政治事情、ハンガー・ゲームをする目的、ハンガー・ゲームの内容など、この世界の基本情報を知るのが今作の役割ですね。今作だけでも1つの話としてまとまってはいますが、このシリーズの本当のメインはハンガー・ゲームではなく、これから先の展開にあるのです。
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