メイズ・ランナー 3部作

メイズ・ランナー BD

  メイズ・ランナー 砂漠の迷宮 最期の迷宮
14~18年 2014年 2015年 2018年
時間 113分 129分 142分
監督 ウェス・ボール

最初のメイズ・ランナーが面白かったので続けて見ることに。BDでの追いかけなので劇場公開よりはワンテンポ遅れですが、3作目が出て完結したのでまとめてレビュー(ちなみに3の前にスカパーで1と2を復習)。未見の人は以下全てネタバレになりますのでご注意下さい。

<以下ネタバレ>

メイズ・ランナー

トーマスは気がついたら高い壁に囲まれた謎の場所にいた。そこには数十人の少年たちがいて皆トーマス同様気がついたらここに送られていたのだ。トーマスも皆も名前以外何も思い出せない。ここは何処なのか、何故自分たちはここにいるのか──。壁の外は巨大な迷路になっており、メイズランナーと呼ばれる少年たちが迷路の探索を行っていた。トーマスもメイズランナーに加わり、壁の外へ行こうとするのだが…。

こういう始まりってワクワクしますよね。ここは何処か、何故ここにいるのか…それだけでも訳を知りたくてウズウズするのに、それに巨大迷路が加わって更にワクワクさせてくれる。迷路は毎晩組み替えられるので、突破は容易ではありません。調査隊がランナーと呼ばれるのは時間制限のある中で調べ上げなければいけないため速い足が必要だからです。

けど、迷路はメイズランナーたちの努力で既に攻略が完了しており、攻略メインの展開かと思ったのにそうではなかったのはちょっと残念でした。そこは端折るなよー。それでも巨大迷路の中を冒険するのはやっぱり面白いですね。迷路の形には色々な工夫や罠があって、視覚的な面白さも手伝って、迷路の中のシーンをもっと見たいと思うほど。

1作目はまさに迷路が主役で、迷路の中のモンスターをどう攻略するかもポイントで、迷路を突破して外に出るまでが物語の柱となっているわけですが、迷路を出ても話はこれで終わりではなく、更に謎は深まっていくわけです。

メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮

迷路はWCKDという組織の実験施設だった。世界は謎のウイルス「フレア」に侵されていて、フレアに耐性を持つ少年たちを集めて実験をしていたのだという。トーマスたちが連れていかれた施設には他の迷路をクリアした少年少女たちも多数収容されていた。しかし自分たちは実験体だと知ったトーマスたちは施設を逃げ出す。

2作目からは迷路はなくなりゾンビものへ!? フレアに感染するとゾンビみたいになるらしい。感染患者はクランケと呼ばれ、クランケに噛まれるとクランケになるそうな。まんまゾンビ設定ですよね…。WCKDの目的はフレアに効く血清を作ることみたいですけど、それと迷路に少年を閉じ込める実験がどうつながるのかもよく分からないままに話は砂漠逃避行へ。

逃避行中に出会った女の子がクランケに噛まれますが、トーマスの血から血清を作ることで助かります。トーマスたちは山の中でWCKD以外の人たちと出会い彼らと合流してこれで助かったと思ったら、またWCKDが襲ってきた。トーマスと行動を共にしていたテレサが裏切ったせいですが、その騒ぎでトーマスの仲間の1人、ミンホがWCKDに連れ去られてしまう。

結局謎は謎のままですが、少年たちのドラマをここまで見てきて、彼らの行く末も気になるので3作目を待つことに。気になることはあるけど、まだ中盤なのでこの時点では言及は控える。

メイズ・ランナー 最期の迷宮

ミンホを助けるためにWCKDの本部がある最後の都市に向かうトーマスたち。都市の周りにはフレアウイルスに感染した人たちの反乱組織があった。トーマスは彼らのリーダーに都市へ入る抜け道を教えてもらい、テレサに協力させて仲間と共に研究施設に潜入。ミンホを救出するが、反乱者たちが壁を壊して都市に押し入り、都市はウイルスに侵される。

ん? フレアウイルスって感染したら即クランケになるわけじゃないの? なってた人もいたと思うけど、進行が遅い人もいるってことですか? テレサの言い分は分からなくもない。感染患者を助けたい。感染してもクランケになる前に助けたい。そのためにはどうしても血清を作る研究が必要で、多くの人の命を助けるためには耐性のある者たちを研究するのはしかたない…。

でもちょっと待って。その考え方は視野が狭くないか。ウイルスに耐性を持った人間が自然に産まれてくるなら、もう問題は解決しているではないか。耐性のない人間は滅ぶかもしれないが、耐性のある人間の子孫が増えていけば人類は自然にウイルスを克服できるはずだ。生命とはそうやって進化していくものだ。WCKDが耐性のある人間を守ろうとするならともかく、逆に実験の犠牲にして数を減らしていく意味が分からない。それでもWCKDがそこに気付いて実験をやめるならともかく、ただウイルスで滅ぶだけなので、これまでの話に対して何も解がないまま作品は終わってしまっている。

結局これは少年たちのドラマであり、迷宮もフレアもドラマを描くための手段にすぎなかったということか。しかしWCKDの考え方がテレサの信念に関わっている以上、それへの解が何らかの形で示されないと、見ている者は割り切れない。手段ならこれは手段だと割り切れるような描き方をしてくれないと、手段への疑問が邪魔をしてドラマに没頭しにくくなるからだ。

1作目の迷宮が面白かっただけにちょっと残念です。世界設定の部分が甘かったかな。迷宮の意味も不明なままだったし。もちろん少年たちのドラマが面白くなかったとは言わない。3年かけて3作続けて追いかければ気になるキャラも出てくる。ミンホかっこいいとか、ニュートかわいいとか、ギャリーそう来るかよ!とか、楽しませてもらったのも事実。だからこそ尚のこと、彼らを取り巻く世界にもしっかりした説得力のある設定がほしかったと思うのです。