フィフス・ウェイブ

フィフス・ウェイブ BD

2016年
時間 112分
監督 J・ブレイクソン

地球に謎の飛行体が訪れ、アザースと呼ばれる異星人に人類は侵略攻撃を受ける。攻撃は第一波、第二波、第三波…と段階的に行われ、人類は今や絶滅寸前にあった。高校生だったキャシーは生き別れになった弟を探しに軍の基地へ向かうが、アザースの最後の攻撃、第五波(フィフス・ウェイブ)が今や人類の息の根を止めようとしていた…。

ヤングアダルト系(ハイティーン向けの作品群)の映画で、原作は小説のようです。この系列の作品らしく、少年少女が自分たちを支配しようとする敵に立ち向かうというパターンですが、ミステリーっぽい捻りもあり、それなりのまとまりはあります。ただ、キャシーの弟サムが連れていかれた軍基地の中では、サムよりもベンやリンガーの方が目立っていて話の視点が分散した感があり、「話の流れは分かるけど誰の物語?」なところがあったのは惜しかったかな。

第一波から第三波までは異星人の攻撃らしいスケール感があって、地殻変動シーンなどはなかなか見応えがありました。が、本筋はスペクタクルではなくミステリー展開の方ですね。序盤のスペクタクルに比べればスケールダウン感は否めないし、展開も先が読めちゃうところがあるかもしれないけど、こういうのは嫌いじゃない。

全体に薄め(浅め?)でドラマや展開に物足りなさはありますが、ティーン向け少年少女ものだと思えば、こんなものかなとも思える。設定に斬新さがあるわけではないけど、答の出ない謎を出して収集がつかなくなるよりは分かりやすいです。

<ネタバレ>

第一波は電子機器の破壊で文明の利器を奪われる。第二波は地震・津波の大スペクタクルで世界の大都市壊滅。第三波は強毒性鳥インフルエンザで残りの人類もほぼ一掃。それでも生き残った人たちを排除するためアザースは人間に寄生(第四波)。で、第五波ですが…。これが今まで壮大なスケールで人類を駆逐してきた異星人にしてはちょっといじましい。

軍が実はアザースに寄生されてた件については分かりやすい伏線があったので(キャシーが台詞で疑問を言うまでもなく、電子機器が動かないはずなのに車を動かしている時点であれ?と思う)、ああやっぱりと思うのですが、アザースがあんな手間暇かけて子どもを訓練して兵士にして人間同士で戦わせる理由って何だろ。余力で遊んでるだけに見えたりするんですが、少年少女を活躍させるための設定ということでいいのかな(^^;。

キャシーが途中で出会ったエヴァンも実はアザースでした!だったけど、愛に目覚めて「愛は地球を救う」な方向へ行ってしまったのもティーン向けらしい展開。アザースの実態がよく分からないのですが(軍がベンたちに見せてた映像は嘘の情報だったし)、子どもたちが乗り越えるべき壁を具象化した仮想敵と考えればよろしいでしょうかね。ラストでキャシーたちはこれから軍(の形をした敵)と戦う決心をしたようだし。第五波(フィフス・ウェイブ)は洗脳教育された子どもたち自身だった、というところに今作のポイントがあるのかもしれません。

少年少女たちに「希望」を伝えるのはティーン向けとしてまっとうなメッセージだと思います。構成にやや難はあったけど素直な展開で、自分の中の少女がワクワク出来たので良しとします。すごくはないけど、それなりに楽しめた作品でした。