ダイバージェント | ダイバージェントNEO | ダイバージェントFINAL
ダイバージェント | NEO | FINAL | |
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年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 |
時間 | 139分 | 119分 | 120分 |
監督 | ニール・バーガー | ロベルト・シュヴェンケ |
シリーズ3作見終わったのでまとめて感想の覚え書き。NEOとFINALは前作のネタバレを含んでいるのでご注意下さい。
ダイバージェント
最終戦争から150年後。100年前に5つの共同体が作られ、人々は5つのどれかに所属して生活していた。若者は適性テストを受け儀式で所属する共同体を選ぶ。[無欲]で育ったベアトリスは適正テストで複数の共同体に適性がある[異端者(ダイバージェント)]と判明。だがダイバージェントは脅威とみなされるため、ベアトリスはテストの結果を隠して[勇敢]へ入る。[勇敢]で訓練を受けるベアトリスだが…。
SF好きなのでこの手の話には取りあえず飛びつく。原作はアメリカのティーン向け小説らしい。日本ならアニメでやりそうな話を実写でやるところがあちら流ですかね。5つの共同体という発想が目新しくて興味をひきました。ゾーン分けされた未来社会にどういう意味を持たせているのかも気になるところ。5つの共同体は以下の通り。
[高潔]:司法を担い、嘘がつけない性質を持つ。
[博学]:教育・研究を担う。
[勇敢]:軍事・警察を担う。保安担当。
[無欲]:人のために尽くす性質を持つ。政権担当。
[平和]:農業担当。
ベアトリスは名前をトリスに変え、ちょっと憧れていた[勇敢]に転向してみる。候補生は厳しい訓練とテストに合格して正式に[勇敢]メンバーとなるのですが、[無欲]出身だからまずは体力作りから始めないと勝負にならず、なかなか大変なのです。しかもダイバージェントであることを隠しながら[勇敢]に溶け込まないといけないミッション付き。
人間の適性が単純に1つだけになる方が無理あるような気がするけど、この世界ではほとんどの人はそうらしい。だから複数の適正があるのは少数派になるわけで、マイノリティーはいつの時代でも大変なのですね。トリスは教官のフォーにアドバイスを受けて何とか合格に辿り着くも…?
<ネタバレ>
これって政権が欲しい[博学]がクーデターを起こして[無欲]を襲撃したってことですよね。[博学]は軍力を掌握するため、[勇敢]に命令を伝える薬を打って自分たちの軍隊にする。が、ダイバージェントにはその薬が効かない。[博学]のジェニーンがダイバージェント狩りをやっていた本心は、ダイバージェントは自分の意のままに動かせず野望の妨げになるからかなと思いました。
[博学]のクーデターのせいでダイバージェントだとバレてしまうトリス。[勇敢]たちを[博学]から解放するのは成功したが、トリスはフォーらと共に追われる身になって町の外へ。以下、続く!なので、これからどうなるのかは次作で。
ダイバージェントNEO
[無欲]襲撃の罪を着せられたトリスたちは[平和]に身を潜め、[勇敢]の仲間を探して[高潔]へ行く。一方でジェニーンは[無欲]が保管していた"先祖の箱"を入手し、箱を開けるためにダイバージェント探しを始める。[高潔]で無実を表明したトリスたちは無派閥も取り込んでジェニーン打倒を目指すが、ジェニーンは汚い手を使ってトリスを手中にしようとするのだった。
どう考えても諸悪の根源はジェニーンですな(^^;。どんだけ政権欲しかったんだ。これまで続いてきた5つの共同体の体制を崩しかけてるのもあんたじゃん。だからご先祖様は野心を持つ恐れがある[博学]に政権は任せられん、だから[無欲]に政権を預けたんだと妙に納得。しかしジェニーン、[無欲]から"先祖の箱"を奪ったはいいが、その箱はダイバージェントでないと開けられないらしい。ダイバージェントを葬ってきたジェニーンは今度は生きたまま捕らえることに方針転換。肝心なところでいつも詰めが甘いジェニーン姐さん。
"先祖の箱"の試練は見どころ。仮想空間で5つの試練をクリアしないといけないのですが、やっぱりアクション主体の[勇敢]が一番迫力あるかな。CGのスケールがでかい。考えないと抜け出せない[博学]は自分の頭も試される感じ。
<ネタバレ>
ジェニーンは"先祖の箱"にはダイバージェントが脅威である証拠が入っていると考えていたようです。だがそうではなかった。"先祖の箱"を開けられる者、つまり5つの要素を全て持つ者の出現こそが箱の目的だった。それがトリスだったのですね。人間を5つに分けたのは、そこから5つの要素を全て持つ理想の人間を生みだすための試み。柵に囲まれたシカゴそれ自体が人類の希望=ダイバージェントを生み出すための実験場だった。
ダイバージェントは脅威ではなく希望というメッセージが町全体に流され、ジェニーンの野望は潰える。[無欲]の役目は完全なダイバージェントが生まれるまで箱を守ることだったのだろう。今作までをふり返ってみれば、ダイバージェントを敵視してたのは[博学]と[博学]に取り込まれた一部の[勇敢]だけだった気がします。真実を重んじる[高潔]はトリス側になったし、[平和]は分け隔てなく匿ってくれたし。やっぱり全てはジェニーンの野望だったか…。
ジェニーンは倒され、柵の外にも希望があることが分かり、トリスもフォーと結ばれて大団円。これで完結…でも問題なさそうな終わり方だったけど、続きがあるの?
ダイバージェントFINAL
ジェニーンの代わりに無派閥のイブリン(フォーの母)がリーダーになり市民を制圧。だがトリスとフォーたち5人は希望を求めて町の外へ出る。外には長年シカゴを監視していた遺伝子繁栄推進局が存在していた。トリスは純粋者と判明し、局長と評議会へ出席。だが派閥制度が崩壊したシカゴでは内戦が起ころうとしていた。フォーは内戦を止めるためにシカゴに戻り、トリスも後を追うが…。
無派閥とはどの共同体にも属せなかった、いわば落伍者。今まで虐げられてきた分恨みが強く、ジェニーン側だった者たちを次々に処刑し、市民の間に軋轢を生む。これではリーダーが変わっただけでジェニーンとやってることは同じ。簡単に大団円とはいかなかったようです。そこでトリスたちは箱のメッセージに従って外の世界へ行くのですが、人間を分類して差別したがるのはどこでも同じなのか…?
5つの共同体設立の理由が判明。ゲノム編集で人の遺伝子が傷つき、損傷遺伝子保持者が起こした戦争で世界は滅びた。そこで遺伝子操作を受けてない者(修正・改変されていない元の遺伝子のままの者=純粋者)たちが設立したのが遺伝子繁栄推進局。そこでは損傷遺伝子を元(無修正)の状態に戻すための実験を行っていた。その実験場が柵で囲まれた町シカゴ。
人の適性が1つだけのはずがないと疑問だったけど、シカゴの人たちは適性が1つしかないくらいに遺伝子が損傷していたということだったようです。それで人を適性別に分けることで全体のバランスを保つようにしていたのですね。フォーもダイバージェントだが、適正が5つ揃わないと純粋者とは認められず、4以下では損傷者にカテゴライズされてしまうらしい。
CGは相変わらず見応えあり。遺伝子繁栄推進局にも軍隊があるのですが、彼らが使うドローンシステムは面白かったです。ケイレブとピーターが配属された監視システムも。
<ネタバレ>
結局、純粋者も損傷者を見下しているだけだった。トリスは局長に騙されていたと気付き、自分の育ったシカゴを救うために動く。ピーターはやっぱりあかんやつ…。前作でちょっと見直したのにー。前作で揺れたケイレブは仲間に戻ってきました。ピーターの持ち込んだ記憶消去セラムを撃退した後、イブリンとジョアンナの緊張は解けたようです。
トリスが派閥も損傷者も純粋者も関係なく1つになろうと呼びかけ、外の世界へ自分たちは実験台じゃないと布告して幕。外の世界との決着がついてませんが、続きがあるかどうかは不明。シカゴが分類差別から解放されて1つになる物語、としてならここで終了でもいいけどね。
遺伝子操作でこういう影響が出てくるかもしれない…という着眼点はよかったと思います。遺伝子操作に焦点を合わせれば、人工的に生み出してしまった「違い」に対してどう向き合うのかという問題提起にはなり得る。原作からストーリーを変えるのであれば、そういう面にももっと切り込んでもらえたらよかったのにと思いました。