カオス・ウォーキング

2021年
時間 109分
監督 ダグ・リーマン

2257年の未来。植民地惑星「新世界」は心の声がノイズとして周りに漏れてしまう世界だった。しかも原住民との抗争で女性が全員死んでしまい、入植者最年少のトッドは自分がこの惑星最後の1人になるだろうと思っていた。そんなある日宇宙船が墜落し、ただ1人の生存者が女性だと分かる。赤ん坊の時母に死に別れ、女性を見たことのないトッドは戸惑うが、彼女を助けて守ろうと思うようになる。

まずは心の声が周りにダダ漏れという設定が面白いと思いました。彼らは周囲に漏れる思考のことを「ノイズ」と言ってます。ノイズは体の周りに光のエフェクトが出ることで表現されていて、ノイズが漏れてるかどうか視覚的に分かるようになってる。ノイズは時にはっきりした映像になることもあります。今誰かのことを考えていたら、その誰かが映像化されて周りの人にも見えちゃう。寝てる時は夢が具象化されて漂うこともあって、うっかり変な夢も見られないですね。これはけっこう生きにくい世界だな…。中にはノイズを抑えるのが上手い人もいますが、主人公のトッドは油断するとすぐノイズが漏れちゃうようで、終始余計なことを考えないように努力しながら生活してます。

そこへ女の子が現れた! 男性しかいない町に唯1人の女性降臨! しかも女性はノイズが漏れないらしい!? 彼女が何考えてるのか分からない、でもトッドの思考は彼女にダダ漏れ状態。初めて見る女の子に狼狽えるところもバッチリ丸わかり! おお~これはなかなか面白い組み合わせ。このままだとちょっと変わったボーイミーツガールになりそうと期待するも、町の首長デヴィッドの反応が私の想像とは違う方向へ。おかげでトッドは彼女ヴァイオラを守って大冒険せざるを得ないことに。

話が進むにつれてトッドも知らなかった「新世界」の謎が明らかになっていくのですが、思考ダダ漏れ設定はもっと積極的に生かしてもよかったんじゃないかなあ。首長の言葉じゃないけど、使い方によっては作品をエンタメとしてより面白くする"武器"になったと思うので、その辺はもっと思い切りが欲しかった気も。

<ネタバレ>

男しかいなくてこのままでは人類は滅ぶだろう世界に女性が現れたら、しかもヴァイオラが乗ってたのは偵察機で、上空に待機してる母船には他の女性も大勢いると分かれば喜びますよね、ふつう!? なのに何故「奴らに侵略される・母船を呼ばせないようヴァイオラを始末する」になるんですか、首長!? ここでトッドの育て親が地図を広げて「ファーブランチ」へ逃げろと指示。ファーブランチって何? ともかくも旅立つトッドとヴァイオラ。

ところが「ファーブランチ」に着いたら、そこは別の町があり女性も子どももいっぱいいた! 人類の町は1つだけじゃなかった! トッドは自分の育った町プレンティスタウンで教えらたことは嘘だったと知る。しかもプレンティスタウンの女性がいなくなったのは原住民のせいではなく、首長たちと牧師アーロンに殺されたからだと知る。アーロンは初っぱなから宗教がかかったことを何かブツブツ言ってましたが、ノイズを出さない女性は魂がないという考えに取り憑かれ、首長も同じ考えの狂信者になっていたようす。首長はノイズのコントロールが上手く、町民たちを信者にして自分に従わせていたようです。

敵は他でもない、自分の町プレンティスタウンだった。トッドの育て親もノイズのコントロールが上手かったらしく、これまでずっとトッドに真相を知られないようにしていたが、ついにトッドを守るため首長に逆らって立ち上がる。ここで思考ダダ漏れ設定が真価を発揮し始める。これ、わざと思考を具象化させて、相手を幻で惑わすことが出来るんですね! てことは「分身の術」「幻覚の術」とか使えるじゃん!! トッドもついには幻覚の術をマスター!?して首長を倒すのに貢献しますが、それだけで終わるのもったいないですよ! ノイズをコントロール出来る術を極めた戦士たちが幻覚を繰り広げてバトルとか、術をマスターするために修行するトッドとか見たかったような(笑。

ヴァイオラは母船と連絡を取るのに成功、新しい移民団が「新世界」に到着。今度は恐怖や狂信に惑わされず、思考ダダ漏れをいい方向へ活用できる世界にしていって欲しいなと思います。