イノセンス
年 | 2004年 |
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時間 | 100分 |
監督 | 押井守 |
草薙素子が失踪してから3年。ロクス・ソルス社のガイノイド(愛玩用少女型アンドロイド)が暴走する事件が立て続けに起きる。テロの可能性も考えて公安九課も事件に関わることになり、バトーはトグサと組んで捜査に当たる。2人は事件の核心を追ってロクス・ソルス本社のある択捉経済特区へ向かうが…。ハッカー・キムの仕掛ける罠、素子との再開、そしてガイノイドの裏に隠された真実とは…。
「GHOST IN THE SHELL」の続編、と言うよりは同じ世界での3年後のワンエピソード、という感じですか。素子はネットの海に消えて失踪扱いなので、物語の進行役はバトーに。素子に会えるかも?という期待から映画館で鑑賞。
しかしまあ凄い世界観。前作も絵の凄さに痺れたけど、今作はイメージ・美術方面を更に推し進めて、押井守にしか分からないような完全に行っちゃってるような魑魅魍魎世界に浸りきってると言うか…。取りあえずこの世界観と美術を楽しむだけでも成立してしまう作品。ただし癖が強いので楽しめるかどうかは人を選ぶ気もしますけど(汗。
パンフを見ると「人形を描きたかった」そうで、問題を起こすガイノイド・ハダリは球体関節人形の形態をしています。そういえばハッカーのキムの義体も人形っぽいなあ(口の辺りとか)。私はこの手の人形にはそれほど関心はないので「素子の体が良かったよぉ」な気持ちになるけど、人形好きな人が見たらまた違う感想を持つのかな。犬とか択捉経済特区の変なパレードとか、これ要る?なシーンも全部含めて押井守の世界になっているのでしょうね。
物語は「ロクス・ソルス社の陰謀を暴け!」な刑事サスペンスの形になってますが、それに「人形と人間についての考察」みたいなのが被さってくるので、電脳やネットはもう背景になってる感じ。押井流「人間とは何か」を問うために攻殻機動隊のキャラを使ってると言った方が合ってるのかもしれません。
<ネタバレ>
択捉経済特区とキムの屋敷が国籍不明の異世界感を出していて、ここはもうこういう世界なんだと吹っ切れて見られてしまう。キムの屋敷でハッキングの罠に落ち仮想現実のループに嵌まるトグサたちだが、"素子"の介入で脱出。ロクス・ソルス社と組んでいたキムを押さえ、ロクス・ソルスのプラント船に乗り込むバトー。そこはガイノイドの工場になっていたが、ガイノイドが人気商品になった秘密も隠されていた。
ガイノイドには拉致された少女たちのゴーストがコピーされていたのだ。それでガイノイドはゴーストのないロボットとは一味違うアンドロイドになっていたのだった。バトーがロクス・ソルス社員の部屋から見つけた立体写真の少女もそこに囚われていた。ガイノイドの暴走はゴーストをコピーされた少女の助けを呼ぶ叫びだったのだ。
バトーがプラント船に乗り込むところで、やっと素子が"降りて"来ます。でもプラント船の中にはガイノイドしかないから、素子もガイノイドの1体に入ることに。素子と再会できたのは嬉しいけど、やっぱり素子の体で会いたかったですよー。でも声だけで素子!になってくれる田中敦子さんはさすがですね。ガイノイドどうしのバトルアクションは見どころではありました。
癖の強い(作家個性が強いと言うべきか)作品なので、好きになれるかどうかはともかく、クリエイターにとっては多くの刺激を与えてくれる作品なのは確かです。