天気の子

天気の子 BD

2019年
時間 110分
監督 新海誠

16歳の帆高は家出して東京へ来るが手持ちのお金はすぐ底をつき困窮。そんな時ハンバーガーをくれたのが陽菜だった。オカルト雑誌のライター・須賀に住み込みで雇われ何とか東京で暮らしていけるようになる帆高だが、陽菜と再会して彼女に晴れを呼ぶ力があることを知る。帆高は陽菜と組んで雨続きの東京を晴らす仕事を始め、次第に惹かれ合っていく2人だが…。

公開からかなり時間が経ってしまいましたが、やっと映画館へ行くことが出来ました。事前情報は一切仕入れずに見たので、何が天気の子かもよく知らない状態でしたが、ヒロインの女の子に雨を上がらせて晴れを呼ぶ能力があるということだったのですね。作中の東京は連日ひたすら雨続きで、一瞬の晴れ間でも喜ばれる状況。陽菜の能力は東京全体ではなく限られた狭い範囲にしか効かないけど、運動会を晴れにしたり結婚式を晴れにしたりといったピンポイント的な晴れなら十分効果がある。ハンバーガー屋をクビになって困っていた陽菜にも晴れ屋家業はありがたいバイトになるのですが…。

何だかんだあってもボーイミーツガール直球ストライクなお話なのですが、それにしても帆高の陽菜を想うピュアで純粋で恥ずかしいくらいの若さパワーには負ける(^^;。私は大人なのでやっぱり須賀や刑事たちと同じように考えて動くと思うんですよね。帆高には理不尽かもしれないけど大人たちも間違ってないから。そこで帆高が陽菜のためにどうしたか…がポイントなのですが、その辺はパンフレットで監督自身が詳しく解説されているので、下手な考察よりもパンフ読んだ方が早いです。

陽菜の弟の凪くんが個人的にツボ(笑。イケメンでモテモテで女の扱いに長けた小学生。女の子と付き合ったことのない帆高に「先輩」と呼ばれて頼りにされるくらいですし。君がついてれば大丈夫よ。純粋過ぎる帆高くんとお姉さんをしっかりサポートしてあげてねと思ってしまいます。

<ネタバレ>

陽菜は廃ビルの屋上で病気の母のために祈った時に天とつながり、天気を回復させるための人柱「天気の巫女」になってしまった。100%晴れ女の能力はそれで得たもの。陽菜が犠牲(天へ消える)になることで雨は上がり天気は回復するけど、帆高には陽菜が何よりも大切。陽菜を取り戻すためにあの無茶逃走をやるわけですが、帆高が「天気より陽菜」を選んだために世界がとんでもないことに。

これはずいぶん思い切った展開を持ってきたなと思いました。いくら「世界より彼女」だったとしても、東京を沈めるところまでやるとは…。でも「世界を変えてしまった」と思っているのは帆高と陽菜の2人だけで、他の人たちは誰もそんなこと思っていない。大人の常識で受け容れられるのはせいぜい晴れ女まで。いくら伝説があったとしても、巫女の人柱で天気回復まで行くと実際には信じられるようなことではない。ましてや東京が沈んだのが子どものせいだなんて誰が思うだろう。私でも須賀と同じ反応を返すと思う。だから帆高の決断は陽菜と2人だけの秘め事になる。

大人になったら出来なくなることをやれるのは少年ならでは。妥協も計算も大人の常識も入らない素のままの純粋さで突き進んでしまうことを、もうそこまでの純粋さを持てなくなった私には羨ましくも感じたのも正直なところ。登場人物に須賀がいてくれてよかったです。帆高に入るのは難しくても、須賀を通して帆高を見ることが出来たから。大人でも帆高にとって陽菜がいかに大切かくらいは分かるからね、陽菜がいる世界でよかったと思うよ。どのみち大人にとっては天気なんて人間がどうこう出来るものじゃないし、沈んだなら沈んだなりにやっていくだけだから。浸かった地域は大変だったろうとは思いますが(汗。

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