メトロポリス

2001年
時間 107分
監督 りんたろう

ロボットのいる生活が当たり前になった未来都市、メトロポリス。探偵の伴俊作は甥のケンイチと共に国際指名手配犯ロートン博士を追ってメトロポリスにやってくる。だがロートン博士の研究所が火事になり、ケンイチはそこで謎の少女、ティマと出会う。だが何故かマルドゥク党のロックに狙われ、ティマと共に逃げることになる。ティマにはどんな秘密が…?

手塚治虫の漫画「メトロポリス」が原作のアニメ作品。脚本が大友克洋で、画の緻密さには気合い入ってます。キャラクターデザインは手塚キャラに準拠し、お馴染みのヒゲオヤジ、ロック、ランプなどが洗練された世界で動くのはなかなかの見もの。都市やロボットのデザインは狙ってレトロフィーチャー寄りにしてるのかな? 手塚キャラたちにもよく合ってます。

家に原作の「メトロポリス」があったので読んでみましたが、大枠だけ抜き出して細かい展開はアニメオリジナルですね。原作にロックは登場していませんが、今作ではレッド公の養子という設定で登場。手塚キャラをきちんとブラッシュアップした上で見事にロックの容姿を再現しているのには恐れ入る。手塚漫画を知ってる人なら、自分の知ってるキャラがどれだけ出ているか探してみるのも面白いのでは。

話の方は状況設定が単純ではないので、レッド公がメトロポリスの有力者でブーン大統領と対立していること、レッド公とロックの関係、ロボットに反発する市民もおり都市の内情はけっこう複雑な状態にあること、などは予め知っておいた方がいいかもしれません。ティマは原作のミッチイに相当するキャラですが、キャラデザも設定もオリジナル色が強いので、アニメ独自の展開を楽しめると思います。

<ネタバレ>

レッド公がロートン博士にティマの製作を頼んだところは原作準拠。しかし今作ではそこにドラマを内包する作りになってますね。ティマはレッド公の亡き娘がモデル。レッド公にとっては野心と同時に娘の復活でもあるから、固執するのは分かる。だからロックはティマを妬むことになる。ロックの本音はティマに義父を取られるのが嫌、ですよね。例えそれが作り物であっても、父親が実の娘を思う気持ちには勝てないから。それであーゆー屈折した行動に出てたんだろうな。

レッド公とブーン大統領の対立はクーデターという形になって表れるが、負けたのはブーン大統領の方。レッド公の方が一枚上手だったようです。しかしレッド公の野望もティマを制御できなくなって崩れる。この辺は原作の「発達し過ぎた科学は自らを滅ぼしてしまうのではないか」を表現しているのだと思いますが、状況設定を複雑にし過ぎたため、何がテーマなのか分かりづらくなっている感あり。もっとストレートにティマに焦点合わせてもよかったかなと思いました。クーデターとブーン大統領の一件がティマとは関係のない部分で動いているのも、物語が噛み合ってない印象につながっている気が。

しかし話はともかく絵が凄いのは認める。手塚キャラをこんなふうに動かして見せるのも新鮮だし、群衆1人1人の動きにも手を抜かずに描いてるのには脱帽。ジグラットの崩壊シーンも凄い迫力です。3Dも上手く使いこなしてて、画面全体の情報量の濃さが半端ない状態でぐりぐり動く。アニメーションを堪能できるという点では優れた作品の1つ。

総じて絵は凄いが話は印象が薄いという感想になりました。それでも絵に力を入れたのは正解かな。アニメは「動き」で魅力が決まるから、話が今一つでも、絵に話を凌駕するものがあればアニメ作品として成立できるからです。当時としては意欲作であったことは間違いないし、ジブリ系ともリアル系とも違う独特な作風はアニメ好きには新鮮に感じられて楽しめました。

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