トータル・リコール(2012年)

2012年
時間 118分
監督 レン・ワイズマン

近未来、世界大戦後の地球は富裕層(UFB)と貧困層(コロニー)に分断され、コロニーはUFBの労働力として酷使されていた。コロニーで平凡な毎日を送るダグラスは夢を売るリコール社に興味を持って訪れるが、スパイ体験をしようとした矢先に警官に襲撃され、自分の記憶は書き換えられた偽物だったことを知る。ダグラスは以前の自分が残したビデオに従って、UFB代表コーヘイゲンの陰謀を阻止するために動き始めるが──。

1990年の「トータル・リコール」のリメイク作品。実は公開時、映画館に行く前に「旧版を見て予習してから行きたい」との子どものリクエストに応えてシュワちゃんの旧版を堪能してから見に行ったのです。だから「火星、出てこないじゃん!」と親子共々口あんぐり。火星やミュータントたちを今のCG技術で見るのを楽しみにしてたのにー。火星の代わりに地球を二分する設定になってましたが、ちょっと無理あるような…。

それでもスタイリッシュでスマートになってくれたのは期待通りで楽しめました。地球の中心を通る巨大エレベーター「フォール」はすごい。コアの前後で重力反転し、コアでは無重力になるのは面白い。手の中に埋め込まれた携帯とか、ガラスさえあればどこでもモニターとか、この辺のスマートさはかっこいい。カーアクションもスピーディで立体的な立ち回り。全編に漂うスタイリッシュな近未来感を存分に味わえる作品になってました。

ただ、コロニーの描写がブレードランナーそのまんまなのはどうなのか…。しとしと雨に中華風背景、漢字やカタカナが目立つ看板。確かに原作者は同じだけど、あれは原作の描写ではなくリドリー・スコットのオリジナル。ここではレン・ワイズマンのオリジナルを見せて欲しかったところです。シンセティック(警察ロボット)もあれではスタイリッシュなストームトルーパーだしなあ…。過去のSF映画をスタイリッシュにブラッシュアップしただけみたいな映像も多くて、今作ならではのオリジナリティがもっと欲しかったですね。

*以下は旧作のネタバレも含んでいるのでご注意。

<ネタバレ>

話の基本は旧版と同じですが、ミュータント設定がなくなってレジスタンスのリーダーが普通の人間になってしまったため、サスペンスとしての面白みは弱まった感あり。旧作は反乱分子のリーダーが超能力者だったため記憶を消す必然性があったが、今作の設定ならハウザーはわざわざ記憶を消さなくても「寝返ったふり」だけでリーダーに近づけたはず。今作で記憶を消す必要が生じるとなれば、それはハウザーが「寝返ったふり」ではなくて「本当に寝返ってしまった」場合。しかしそれだと旧作のような展開に持っていけないので、旧作を知っている者には物足りなさはあります。自分自身に騙されていたダグラスというのが秀逸だったのにねえ…。

サスペンスが弱まった分はアクションで押してきた本作。シンセティックを止めるコードがコーヘイゲンの罠だと分かった後はフォールを舞台にした攻防アクションに。今作ではリクターが出ない代わりにローリーがリクターの役も兼ねてラストまで絡んできます。その執拗さたるや、やっつけても必ず切り抜けて攻撃してくる姿はターミネーターみたいな怖さ。まさに鬼嫁(^^;。これはこれで一見の価値あり!? しかしこの設定なら偽妻を作ったりダグラスを襲わせる必要あったのかしら…。旧作は偽妻たちの役割はダグラスをハウザーのビデオに誘導するためだと分かりますが、ハウザーの寝返りが本物ならハウザーのビデオの存在自体知らないはずだよねえ?

最後は火星のテラフォーミングならぬ格差の象徴だったフォール爆破で幕。旧作ではハウザーとダグラスは別人なので、ハウザーに戻るかダグラスでいるかはテーマに関わるポイントだったと思うけど、今作のハウザーはレジスタンス側に寝返って改心済みなので、その辺はうやむやになった感あり。その分格差社会という方向にテーマをシフトさせたということなのかな。

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