ミッション: 8ミニッツ
年 | 2011年 |
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時間 | 93分 |
監督 | ダンカン・ジョーンズ |
気がつくとシカゴ行きの列車に乗っていた男。向かいの席には見知らぬ女性が。「ショーン」と呼ばれるが自分の名前ではない。鏡に映る姿も自分とは別人。何が起こったのだ? 8分後に列車はシカゴに到着し爆発。目が覚めたら狭い暗所におり、モニターに映る人物に爆発犯を探せと指示される。列車の中で爆発までの8分間を繰り返し、犯人を探すミッション。主人公は爆発犯を見つけ出して人々を救うことが出来るのか!?
これ、面白い! 同じ8分間を繰り返し、その間に犯人を探すというお話。主人公は陸軍のスティーブンス大尉だけど、軍が作ったらしいプログラムとやらで、シカゴ行き列車の乗客ショーンの体に転送されます。転送される時間は爆発8分前なので、いつも同じところからスタート。ゲームオーバーになったらセーブポイントに戻る感じで、一種のタイムループものみたいな趣き。ループはプログラムで行っているので、ループの合間に指示を出している人間と会話もします。
プログラムを作ったラトリッジ博士によると、時間移動ではなく、爆発事故で死んだショーンの最後の8分間の記憶に同期しているだけとのこと。列車の爆破事故はもう起こったことなので変えられないが、爆破犯人がシカゴで更なるテロを起こす計画を立てているため、犯人を見つけることでこれから起こるシカゴのテロを未然に防ぐのがミッションの目的。
同じ状況を繰り返すので、主人公も最初はあたふたするも、回を重ねる毎に前回の経験が生きて動きもスムーズに。そのうち向かいの席のショーンの知り合いらしい女性に好感を抱き始めるも、ラトリッジ博士には「これは脳内だけの体験で、実際の彼女は事故でもう亡くなっているので助けるのは無理」と言われるのですが…。
<ネタバレ>
スティーブンスは実は既に戦場で死亡していて、生命維持装置でかろうじて脳だけ生きてる状態だった。ループから戻った時に居た狭い暗所はスティーブンスの意識が作り出したものだった。つまりグッドウィン大尉やラトリッジ博士からの呼びかけをあのような形で認識していたということです。現実を知ったスティーブンスは任務が完了したら安楽死を望むことに。
爆発犯を見つけて逮捕させ任務を全うしたスティーブンスは、最後に記憶の中だけでもクリスティーナ(向かいの席の女性)を助けたいと願う。列車に戻ったスティーブンスは犯人を確保し、ショーンの名で父に電話し、乗客を楽しませ、クリスティーナに告白し、思い残すことなく8分間を過ごす。8分後にグッドウィン大尉がスティーブンスの生命維持装置を切るが、爆発を逃れた列車の中では8分を過ぎてもスティーブンスの意識は消えなかった──。
ラトリッジ博士はあのプログラムは平行世界へアクセスするものだと言っていた。だが平行世界へ行けない博士から見れば8分間のミッションはスティーブンスの脳内体験でしかない。しかし平行世界のショーンの体に入ってるスティーブンスから見れば…? 列車が8分後の爆発を免れたことで新たな時間軸が生まれ、その世界ではスティーブンスはショーンの体で生き続けることが出来た。スティーブンスは新しい世界のグッドウィン大尉に自分の経験をメールで送り、この世界の自分に励ましを伝える。
こういうお話大好き。SFらしい夢がある。死の直前の8分間の記憶が残像となって残るという考え方も面白い。ショーンの8分間なのに列車から降りたり出来てたので、記憶の残像というより「時間の残像」と捉えた方がいいかな? 時間の残像に誰かが介入したら、それは残像ではなく生きた時間(平行世界)になるという解釈でいいですかね。
[個人的解釈による平行世界の説明]
世界A:
元の世界。8分のミッションが終わる度にスティーブンスが戻っていた世界。列車爆発は防げてないが、スティーブンスが爆破犯を見つけてシカゴのテロは未然に防がれた世界。グッドウィン大尉が生命維持装置を切ったことで、スティーブンスの体は死亡。この世界のグッドウィン大尉にはスティーブンスからのメールは届いていない。
世界B:
8分間の繰り返しミッションで生じた複数の世界だが、列車爆破以降は同じ世界に収束していると思われる。犯人が見つかっていないのでシカゴテロは防がれなかったと思われる。
世界B-2:
8分間の繰り返しミッションで生じたクリスティーナが生き残る世界。列車爆破は起きているので、爆破以降は世界Bと類似していると思われる。
世界C:
列車爆破が防げたことにより生じた新たな世界。シカゴでスティーブンスとクリスティーナが2人でクラウド・ゲートの前に立つ世界。スティーブンスはショーンの体の中で生きている。グッドウィン大尉がスティーブンスのメールを受け取ったのはこの世界。
ただ、「セルフレス」みたいにそのうちショーンの記憶が戻ってきたりするのでは?と考えたりもするけど、お父さんに電話できて互いの気持ちを伝えられて、スティーブンスとしてはもう心残りはないと思うので、この後は自分が誰になろうと問題ではないのかもしれない。クリスティーナを助けられたのが一番だったと思いますから。それはショーンにとっても、きっと同じなのではと。