ブレードランナー2049

ブレードランナー 2049 BD

2017年
時間 163分
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ

前作から30年後。危険とされる旧型レプリカント(ネクサス8型)を解体するのがブレードランナー"K"の仕事。Kは人間に従順な新型(ネクサス9型)レプリカント。ある日解体した旧型レプリカントのケースから女性の骨が発見されたことでKの日常は一変する。骨の身元を調べ関連するもの全ての始末を命令されたKだが、捜査を重ねるうちに自らのアイデンティティーを覆すかもしれない問題と向き合うことになる。

映画館で鑑賞。たまたま東京で見る機会に恵まれ、生まれて初めてIMAXを体験する。凄かったー(地方住みなので^^;。前作の続きということで、あれからタイレル社は寿命制限のないネクサス8型を開発したようですが、色々あって倒産。その後を遺伝子組み換え食品で成功したウォレス社が引き継ぎ、人間に従順な新型(ネクサス9型)を開発したという経緯。それで今は旧型の生き残りを一掃中、ということのようです。

ホログラフで登場する家庭用AIのジョイがいい。Kの癒やしと支えになってるし、自分が消える危険もかえりみずにKに尽くすところは泣ける。体の実体がないにも関わらず、下手すると今作の登場人物の中で一番人間らしく見えてしまうほど。AIなのに愛を知ってて人間の女になりたかったジョイ、もうこれジョイの物語でもいいよと思うくらいです(笑。近い将来実現しそうなところも現実味を感じさせてくれたのかな。

サスペンス色が強いのでネタバレなしで感想を書くのが難しいのですが、Kが調べているうちに前作で行方不明になったデッカードとレイチェルのその後にも関わってくるんですね。ウォレス社の企みも絡まってきて、ウォレスの代理人を務める9型レプリカントのラヴは華麗なアクションも披露してくれます。

<ネタバレ>

女性の骨はレプリカントと判明。しかも出産していることも。レプリカントが子どもを産むというのは人間には脅威な出来事なので、Kの上司はこの件に関する全ての抹殺を指示。それでKは出産したレプリカントがレイチェルであることを突き止め、彼女の産んだ子どもを探すのですが、その過程で移植記憶だと思っていた自分の記憶が本物であることを知る。記憶の木馬を実際に見つけ出し、木馬に刻まれた数字とレイチェルの子どもの誕生日と思われる数字が一致したことで、自分がその子どもではないか…と疑いだす。

だが違った。デッカードとレイチェルの子どもは女の子だった。Kの記憶はその女の子の記憶だったのだ。それでもKは一時でも自分の父親ではないかと思ったデッカードを助け、娘と会わせるのだが…。デッカードにとっては生き別れの娘に会えて良かったね!になるのだが、何かスッキリしないのはKにとっては結局いいことが何もなかった(デッカードお父さんじゃなかったしジョイも失ってしまうし)まま終わるからなのかな。

Kは人間になりたかったのだろうか。いや、違う。特別な存在でありたかった、かな。夢は破れたけど、最後にレプリカントではなく"自分"として生きられたんだと思えばいいのかもしれない。そう思うことにします。でないとKが哀し過ぎるよー。

デッカードはやっぱり人間でしたね。ネクサス6型の寿命は4年なので、デッカードが30年生き続けてる(&歳とってる)時点で人間なのは明白。なお今作ではレイチェルは当時のプロトタイプで寿命制限がないとなってますが、仮にデッカードが同タイプだったとしても、当時プロトタイプならその何年も前からブレードランナーをしているのは辻褄が合いません。ウォレスはデッカードを疑うような発言をしてましたが、あれは(人間だと分かった上での)デッカードを籠絡するための揺さぶりではないかと。もしデッカードが繁殖能力を持った男性レプリカントなら探している子どもと同等の価値があるはずなのに、そんな扱いではなかったですし。

ただ、今作ではもう人間かレプリカントかは問題じゃなくなってる気がする。欲なく淡々と暮らしバーチャル彼女が恋人のKはまるで現代の人間の比喩。そう思えば旧型は抵抗勢力をレプリカントの形で表現してるとも取れるし、これはもうレプリカントの名を借りた今の私たちの風刺劇かも。Kの心の動きがもう少し分かりやすかったらよかったかな。9型の「従順」という設定のせいもあるとは思うけど。映像は楽しめました(IMAX 3Dだったし)。

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