デッド・シティ2055

2015年
時間 96分
監督 ブライアン・A・ミラー

近未来。人造人間(レプリカント)が相手をするリゾート施設「ヴァイス」がオープン。だがヴァイスでレプリカント相手に凶行を楽しむことが人々の感覚を麻痺させ都市には犯罪が増えていた。刑事のロイは「ヴァイス」は潰されるべきだと考える。そんな時、消されたはずの記憶を思い出したレプリカントのケリーはヴァイスから逃げようとしてしていた…。

スカパーの番組表チェックでロボットものらしい?てことで見てみた作品。そんな気はしてたんですが、ウエストワールドの2015年版という感じでしたね。ヴァイスの設定はもうウエストワールドそのまんま。相手はレプリカントなので何をやっても法には触れないてことで、客たちは好き勝手やりたい放題。レプリカントは毎日記憶を消されて同じ1日を繰り返すが、消された記憶の断片が蘇る…てところはテレビドラマ版ウエストワールドを彷彿とさせる。が、残念ながら今作はウエストワールドほどには深くはないですね。設定はいいのに、その設定からどう話を転がしていくかの部分が雑で薄っぺらい。結局、単なるドンパチアクション映画になってしまったような。

しかも今作、せっかくレプリカントを扱っているのに、それがテーマになってないという妙な作風。ロイの考え方も「過ぎた快楽は人間によくない」であって、レプリカントの存在については別に気にしてないふう。たまたまロイが標的にした所がレプリカントを扱ってただけという感じ。レプリカントについてもSF的な言及は特になく、この展開ならレプリカントでやる必要あったのかな…。

扱った題材をこなし切れてなくて(SFとしてもドンパチアクションとしても)、ウエストワールドの二番煎じにすらなれなかった微妙な出来の本作でしたが、テレビ版ウエストワールド(2016年)に先駆けて、同じ1日を繰り返すレプリカントの悲哀をちょっとだけでもやってくれたことは評価します。私が傑作と評するテレビ版ウエストワールドと同じことがやれていたんだから(それも1年前に)、本当に目の付け所は悪くなかったのにねえ。

<ネタバレ>

記憶のフラッシュバックを起こしてヴァイスから逃げ出したケリーが辿り着いた先が、ケリーのデザインを行ったデザイナー(エヴァン)の住み家だった。実はケリーはエヴァンの亡くなった妻がモデルだった。記憶を取り戻したケリーはエヴァンが何度も自分を訪ねて来てくれていたことを知る。この辺の下りは好きです。妻に似せたレプリカントに繰り返し訪れる夫。だが彼女は自分のモデルが彼の妻だとは知らない。彼女は毎日記憶を消されるので、何回彼女を訪ねても来る度に彼女は彼のことを忘れている。それでも彼は会いに来る。毎回自分を忘れる彼女を訪ねて何回でも。ここを話の軸にしてくれたら切なくて素敵なお話になったろうに、このシーン、一瞬流されてそれっきりなのが惜し過ぎる。いい所を突いておきながら、それを生かせずに終わってしまうことが多いんですよね、この作品…。

ヴァイスを潰したいロイとヴァイスに追われるケリーは互いの目的のために協力することに。そしてヴァイスは潰されレプリカントたちは解放されるのだけど、「やった!」感より「この後どうするのよ、これ」感の方が強くなっちゃうのは、ロイがヴァイスを潰したい理由が今一つしっくり来なかったこと(レプリカントのためじゃないし)や、ケリーが自発的に反乱を思いついたわけではない(ロイに言われなかったら行動してないよね?)とかが心に引っかかってるせいかしら。

レプリカントを扱うからにはやっぱりレプリカントで生じるであろう問題を取り扱って欲しかったというのがロボットもの好きの感想です。そこをきちんと描ければチープでも見られる作品になるんですけどね。いい発想はあったので、色々と惜しかった作品でした。

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