ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ BD

2018年
時間 119分
監督 石田祐康

小学4年生のアオヤマくんは町に突然ペンギンが現れた謎を調べ始める。アオヤマくんの通う歯医者のお姉さんが何故かペンギンを出現させるのが分かり、お姉さんの謎も調べることに。そんな時、クラスメイトのハマモトさんが森の奥の草原で謎の球体を調べていることを知り、友だちのウチダくんと3人で球体の研究を始めた。その球体とお姉さんの出すペンギンに何か関係があるらしいと分かった時、球体に異変が起きて…!?

SFらしいという情報だけで鑑賞。原作は読んでません。理科好きで研究や実験が好きで将来はすごい研究者になると思っているアオヤマくんのキャラがなかなかよかったです。子どもたちも理系女子のハマモトさん、気弱だけど研究友だちのウチダくん、ガキ大将のスズキくんと取り巻きたち、と役者も揃っていて、子ども目線で話が進むところがいい。大人だったら常識にとらわれて相手にしないものでも素直に受け容れて研究対象にできるのが子ども目線のいいところ。

ただ、最終的に何が言いたかったのかがよく分からなくて戸惑ったところはありました…。脈絡なくペンギンが出現したり(ペンギンはかわいかった)、謎の球体が宙に浮いてたり、ハマモトさんが「海」と呼んでた球体の中のひっくり返った世界とか、そういうアニメならではのシュールな描写は好きだし楽しめたんですけどね…。

これって結局、男の子の物語、なのかな。お姉さんとおっぱいへの思いが分かる人には共感できる物語が見えるのかもしれないけど、私は女なので少年がお姉さんの胸に寄せる思いはなかなか想像できないし理解も難しい。これが単なるキャラの性格付けの1つに過ぎないのなら無視できるけど、多分そうではなくて、今作が男の子を描く上での本質的な部分に関わってる気がするので、おっぱいが分からない人間は置いてけぼりになる。…気がする。

<ネタバレ>

アオヤマくんが球体とペンギンとお姉さんの関係を解いて、大きくなった球体(次元の裂け目と思われる)をお姉さんの出すペンギンで繕う(それがお姉さんの役目)という話の流れはあります。でもその結果、アオヤマくんの物語がどう帰結したのかがよく分からないんですよね。好きだったお姉さんとの別れを乗り越えた? お姉さんは結局何だったの? 少年のお姉さんへの気持ちがカギになっていると思われるので(その象徴が胸の2つのふくらみ?)、その辺の感覚が分かったら私にもアオヤマくんの物語の本質が見えるようになるのかもしれないけど、無理でしょうね、多分…(^^;。

お姉さんの正体が不明なままだったり、物語が大人も巻き込むため子どもの世界の話になりきれてなかったり、SFとしてもファンタジーとしてもちょっと中途半端な感じはありましたが、アオヤマくんの物語の本質が見えた人にはそれは多分問題じゃないのだろうと思います。そこまで行けない人は難しいことは考えずにただ単純に不思議な世界を楽しむしかないですかね。原作も読んでみようかな。

*原作読んでみました。→感想はこちら