ルパン三世 THE FIRST
年 | 2019年 |
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時間 | 93分 |
監督 | 山崎貴 |
第二次世界大戦から十数年後。博物館に展示中の「ブレッソン・ダイアリー」にルパン三世から盗みの予告状が届く。それはルパン一世も盗めなかったと言われる日記で鍵で厳重に封印されていた。その日記の謎を解き明かした者には莫大な財宝が手に入ると言う──。ナチスの残党も日記を狙っており、ルパンとの争奪戦に。その経緯で知り合ったレティシアと共にルパンは日記の謎解きに挑戦する。
ルパン初の3DCGアニメ劇場作品。映画館では見てなかったのですが、金曜ロードSHOW!で流していたので期待せずに観賞。ところが意外にも(失礼)面白かったので感想を書いてみることにしました。実は当サイトでは地上波テレビでの観賞は見た映画にカウントしてません(一部カットされている可能性があるため)。しかし今回は本編はノーカットらしいので見た映画としてカウントすることに。いずれスカパーなどで放送されたら録画してEDも含めて見直したいです。
で、今作の最大の売りは3DCGだと思うのですが、3DCGを意識して見てたのは最初だけで、気が付いたら3Dとか2Dとかどうでもよくなってひたすら話を楽しんでいる自分がいました。つまりルパンものとして成功していたと言うことでしょうね。内容はいつものルパン。いつものルパン過ぎて3DCGを忘れるほどにいつものルパンでした(笑。
ただし。盗み・謎解き・冒険に関してはいつものルパンでしたが、「第二次世界大戦から十数年後」と年代を明確にしているところがいつものルパンとはちょっと違う。ルパン三世と言えば年齢・年代不詳なパターンがほとんどだと思うけど(それ故年代に関係なく活躍を続けてこられたのだと思うけど)、今回は年代を明確にしたことで、今作の舞台は1960年代と確定してしまった。が、この1960年代というのがミソで、よく考えてみればルパン三世であるためにはこの年代が一番妥当なのも確か。モーリス・ルブランのアルセーヌ・ルパンは1874年生まれの設定なので、その孫が30代くらいと言うとこの年代になるのです。そう言えば原作漫画の連載が始まったのも1967年でしたね。その意味では確かに原点に帰ったとも言えるわけです。
今回のヒロインはレティシア。彼女もブレッソン・ダイアリーを狙っており、その背景には色々事情があるようです。もちろん次元、五右衛門、不二子、銭形警部のいつもの面々も登場して活躍しますのでご安心を。レティシアが少女タイプなので大人向けの要素は少なく健全な冒険活劇になってますが、ルパンらしさは健在。1960年代は今から見ればまだロマンの残る時代。レトロでアナログな時代背景はルパンにもよく似合う。かと言って懐古主義にも陥っておらず、3DCGならではの見せ場もあります。
<ネタバレ>
日記を盗みに入ったルパンを出し抜いたのがレティシア。そこからルパンとレティシアの追いかけっこになりますが、日記は不二子にかっさらわれてしまう。不二子の依頼者がナチスの残党だった。レティシアに日記を盗ませたランベールもナチス残党の一員だったが、レティシアがランベールの指示に従ったのは考古学を学ぶために大学進学の許可をもらうためであり(ランベールはレティシアの育ての親)、レティシア自身はナチスとは無関係だった。
後半でレティシアはブレッソンの孫だったことが明らかになります。考古学者だったブレッソンは超古代文明の遺跡「エクリプス」の秘密を日記に封印していた。実はブレッソンには協力者がおり、それがルパン一世だったことも判明。だからもう1つの鍵はルパンが持っていたのね。時代を超えてルパン三世とブレッソン三世が協力し合う展開がいい。
ランベールがレティシアを引き取って育てたのは彼女が日記の秘密を握る鍵だと思ったからですが、彼にはブレッソンへのコンプレックスがあり、それがレティシアの進学を阻ませていたと思われます。ブレッソンの血を引く者に追い越されたくない、しかし育てれば情が移ることもある、その心理の中で揺れ動いていたようなキャラでした。
エクリプスは重力を操る超古代文明の兵器で、オーパーツぶりを遺憾なく発揮。この辺は3DCGの見どころでしょうか。エクリプス以外は1960年代の機器ばかりなので、2019年に公開する映画としてエクリプスで未来感を出してバランスを取った感じ。ルパン一世の残した手がかりを元にエクリプスに立ち向かうルパンはかっこいい。ラストのヒットラーはルパンの変装だろうとすぐ分かりましたが、こういう設定が可能なのも1960年代ならではですね。
いかにもルパンらしい展開で予定調和と言えばそうだけど、そこがルパンのいいところでもあると思う。5年後にレティシアとルパンは再会できたのでしょうか。想像を膨らませてくれる終わり方もよかったです。