マトリックス レボリューションズ
年 | 2003年 |
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時間 | 129分 |
監督 | ラリー・ウォシャウスキー アンディ・ウォシャウスキー |
ザイオンに残された時間はあと12時間に迫っていた。ザイオンを守るホバークラフトも残り2艇に。生き残った乗員たちはハンマー号に結集し、ネオはロゴス号でマシン・シティーを目指し、モーフィアスたちはハンマー号でザイオンを目指す。センチネルがザイオンに到達し総決戦が行われる中、ネオは人類の存亡をかけて宿敵と化したスミスと対決するのだった──。
マトリックス3部作3作目、完結編。2作目「リローデッド」ラストの続きから始まっているので、今作を単体で見ると完全に置いてきぼりを食らいます。1作目、2作目を見てからご鑑賞下さい。以下は「リローデッド」のネタバレも含んでますのでご注意。
「リローデッド」ラストで現実世界でも超能力が使えるようになった?ように見えたネオですが、ネオの変化は予言者オラクルにも及んでいた──。実は1・2作で予言者を演じた役者さんが亡くなってしまったために役者を変えざるを得なかったわけですが、上手い具合に理由付けしたなと感心しました。確かに仮想世界でなら何らかの変化に応じて見かけの姿が変わってもおかしくはないですものね。
今作は3部作完結編ということで、人類VSコンピューターも最終決戦に。ザイオンもホバークラフトのほとんどを失い、大ピンチ。ネブカドネザル号も前作で失われてしまいましたしね…。ザイオンを襲うセンチネルの大群はえげつないです。おかげでセンチネルの気持ち悪さも倍増。ただザイオンの最終決戦も、ミフネ船長の大奮闘も、ロゴス号でザイオンを目指すモーフィアスたちの奮戦も、ネオがマシンのボスとの決着をつけるまでの時間稼ぎでしかない。全てはネオにかかっている。
ネオとスミスのラストバトルはまさにクライマックスで本作の見どころ。「ドラゴンボールを実写でやったらこうなるのか?」てな感じで、圧巻。漫画でしか無理だろてな世界を実写でやっちゃえるところがさすがであります。ワイヤーアクションには見慣れたつもりだったけど、まだまだ驚きの映像体験をさせてくれるマトリックスはやっぱりすごいです。できれば大画面で見るのをお勧め。
<ネタバレ>
前作ラストで意識不明になったネオが迷い込んだのはマトリックスとコンピューターの世界の間にある空間。つまり仮想空間の1つ。マトリックスではないので、船のモニターからは"見えない空間"になっているわけです。だけどネオは接続していない。接続せずに、つまり無線で電子空間にアクセス出来るようになっちゃったのですね。前作ラストでセンチネルを破壊したのも超能力ではなくて、無線でセンチネルにアクセスしてハッキングした結果と解釈すれば説明がつきます。だから目をやられた時、トリニティーは見えなくてもスミスは見えた。あれはベインが見えていたのではなく、ベインの中にいるスミスにアクセスしていたと考えればいいと思います。
システムから離れたスミスはもうほとんどウイルス状態。自己増殖を繰り返し、マシン(コンピューター)の世界を浸食していく。これはマシンにとってもよろしくない。またスミスはこれまでの因縁からかネオに執着しており、ザイオンのホバークラフトを全滅させたのもベインに入ったスミスだった。今やスミスは人類にとってもマシンにとっても脅威なのだ。予言者からヒントを得たネオの選択は「マシンを倒すこと」ではなくて「マシンと取引すること」だった。
ネオのおかげでスミスは滅び、マトリックスは新しいステージに入る。過去5回繰り返されたループは終わった。マシンがザイオンを滅ぼす理由もなくなった。ネオはマシンのために設定された救世主だったかも知れないが、ザイオンを救ったことでネオは人間にとっても救世主になった。それはオラクルが敷いたレールだったとしても、「救世主」にもう1つの意味と理由を持たせたのはネオが自分でやったことであり、それこそがネオが存在する本当の理由、ネオが救世主になった本当の理由、人間の持つ可能性と希望ではないかと思う。オラクルはそれに賭けたのですね。
難しい言葉が多いので惑わされそうになりますが、もっと単純に捉えていいと思います。まずは素直に救世主伝説として楽しみ、そこから人とAIの関係について、AIの未来とどう向き合えばいいのかを考えてみる。それでいいんじゃないですかね。