13F

1999年
時間 100分
監督 ジョセフ・ラスナック

仮想世界の開発研究をしていたダグラスの会社の社長が殺害される。だがダグラスには犯行時刻の記憶がなく何故か彼のシャツは血に染まっていた。社長殺害の容疑をかけられたダグラスは手がかりを求めて社長が残したメッセージに従って仮想世界にアクセスする。だがそこでダグラスは思いがけない事実を知ることになる!? 社長の娘を名乗って接近してくる謎の美女の正体とは、ダグラスが辿り着いた真相とは、果たして──?

アニメ映画「HELLO WORLD」も参考にしたという仮想世界がテーマの作品。今作で出てくる仮想世界は1937年のロサンゼルスです。まだ研究中で本格的な実験はこれからという段階だったはずなのですが、社長が社員に先駆けてこっそり仮想の1937年に何回もダイブしていたことが判明。しかも社長は謎のメッセージを残して殺されてしまう。それによると1937年の仮想世界に事件を解く手がかりがあるようなのですが…?

ビルの13階(The Thirteenth Floor=タイトル)にあるダイブ装置は大がかりなものではありませんが(この辺、低予算?)、1937年のロサンゼルスの雰囲気はなかなかに再現されてます。ダイブする時は自分をモデルにした仮想個体に入るらしい。こっそり社長を手伝っていた同僚に手伝わせて初ダイブするダグラス。やっぱり初めて仮想世界を味わうワクワク感はたまりませんね~。

しかしそうこうするうちに事件は連続殺人事件に発展。しかもダグラスの容疑は濃くなるばかり。仮想世界がテーマだけど、敵か味方か分からない謎の美女が登場したり、犯人探しも絡んできたりして、ミステリーSFの趣きもあり。SFだからこそ成立する推理の絡繰りがいい。見た目の道具立ては地味ですが(やっぱり低予算?^^;)、SF設定は本格派なので、SF脳をばっちり満足させてくれる面白さがあって好きな作品の1つ。

<ネタバレ>

実は1937年の仮想世界がメインの舞台というわけではなく、中盤で明かされる真実の衝撃の方がメイン。仮想世界の住人の1人が自分はデータだと知って衝撃を受けるわけですが、ダグラスも同じ衝撃に襲われることになる。そこからメインの仮想舞台は実は「ダグラスの現実世界」の方だったと分かる。謎の美女の正体はダグラスの世界より1つ上の世界に住んでいるユーザー。彼女らから見たらダグラスもユーザーに操られるデータに過ぎなかった。ダグラスが1937年の仮想世界で個体を操っていたのと同じように。

私たちが現実だと思っているこの世界は実は仮想世界だったのでは? 私たちは実はデータやプログラムに過ぎなかったとしたら? これを1999年にやってくれたのがこの作品です。設定がもうたまらない、SF脳汁が絞られるよ、絞られるよ(笑。ダグラスの世界が仮想世界だったなら、社長殺人事件も意味が違ってくる。真犯人はダグラスのユーザーだった。ユーザーにしてみれば世界の真実に気付いてしまったプログラムデータをデリートしたってところでしょうね。でも自分がダグラスの立場だったら…? 考えのひっくり返しをさせてくれるところが面白いのです。

多層世界への誘い

今作では3つの層が出てきます。現実の下に仮想世界があり、仮想世界の下に更に仮想世界があるという多層構造です。

第一層:2024年。ダグラスの世界より1つ上の層。
第二層:ダグラスの世界。第一層の人間が構築した仮想世界。1999年設定。
第三層:ダグラスの世界が構築した仮想世界。1937年設定。

ただし第一層に行くことが出来たダグラスのハッピーエンドが電源を切るようにブチッと終わるところが、第一層の上にも更に層があるのでは…?と思わせてくれていいです。

ダグラスが第一層に行けた理由?

これは作中のルールで納得するしかないですが、同僚のホイットニーがダイブ中に死亡した時、ホイットニーの肉体には仮想個体の意識がダウンロードされましたよね。ダイブ装置を介して意識のアップロード・ダウンロードをする仕組みのようなので、仮想個体からユーザーの意識を引き上げられなかった場合は装置に一時保存されていた仮想個体の意識がユーザーの体に入るのではないでしょうか。ジェイン(謎の美女)は多分その仕組みを知っていて、夫(犯人)がダグラスに入った時に合わせて刑事が来るようにしたのでは。

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