大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン BD

1966年
時間 101分
監督 田中重雄

前作で宇宙に打ち上げられたロケットが隕石と衝突しガメラが復活。一方でニューギニア奥地から日本に持ち帰られた大きなオパールからバルゴンが誕生する。バルゴンは冷凍液を噴射し町を凍らせて大暴れ。ニューギニアから生還した平田圭介はバルゴンの言い伝えを知る美女カレンと共に日本に戻り、バルゴンを退治しようとするが…。平田の作戦は効くのか、そしてガメラvsバルゴンの戦いの行方はいかに…!?

昭和ガメラ2作目。今作からカラーになります。これもWOWOWプラスで鑑賞、見るのもたぶん初めて。新しい怪獣バルゴンが登場し、今作からVSものになるのですが、どちらかと言うとバルゴン主体でガメラの出番は少なかった感じ。とは言え、もちろん大映の看板怪獣だから、一番いいところで登場してしっかりハイライトを持って行くんですが。

バルゴンの造形はあまり印象は強くはない。形も質感もかっこよさもガメラの方が上なんですが、目が蒲田くんに似てる気がする…。ガメラは三白眼よりだけど、バルゴンの目は黒目が真ん中にあって動かないので、その表情のなさがチャームポイント!? 傷つくと紫の血をドクドクと流し、痛そう、痛い、痛い~。ガメラの痛いシリーズはバルゴンから始まったようです。

そして今作には子どもが出てこない! 大人のドラマが中心で、これは大人の視聴者を意識したのだろうか。ニューギニア奥地にオパールを取りに行くのが発端で、仲間内のあれこれが物語を引っぱるのですが、それがけっこう面白い。怪獣そっちのけで人間どうしのバトルアクションシーンになることも多く、むしろ本格的に大人向けのサスペンスとして構成されているのではと思わせるくらい。なるほど、昭和ガメラの中では毛色の違う作品と言われるのも納得。怪獣退治作戦は子どもレベルですが、ドラマがきちんと成立してるところを見ればなかなかの作品です。

<ネタバレ>

今作の立役者は何と言っても小野寺兄貴でしょう~。こいつの強欲さが徹底しており、それが物語を面白くしている。平田の兄は戦時中にニューギニアでオパールを隠した。それを取りに行くために足の悪い兄に代わり平田と兄の友人の小野寺と川尻が同行するのだけど、川尻がオパールを見つけた時から早くも小野寺は非道な悪役ぶりを発揮。川尻の足にサソリが登っていくのに気付きながらそのまま見逃し川尻はサソリに刺されて絶命。この辺の小野寺の絶妙な演技、子どもには分かりにくいのでは。大人だからこそ気付けるポイントですね。その後小野寺は平田も葬ってオパールを独り占めしようとする。カレンに救われて九死に一生を得た平田は小野寺を追うが、小野寺の非道さは輪をかけて増し、平田の兄夫婦も犠牲に。ここで小野寺に女がいたことにびっくり。奥さんか!?と思ったがWikipediaによると愛人らしい。もうこれ完全に大人の世界じゃん…。

小野寺は自分の不注意(赤外線の切り忘れ)でオパール(本当はオパールではなくバルゴンの卵)からバルゴンを誕生させてしまい、オパールが駄目ならカレンの持ってきたダイヤじゃ!とダイヤ強奪作戦に切り替え、恐るべき執念でダイヤまで奪ってしまう。でもそのダイヤ、バルゴンをおびき寄せるための餌だから、バルゴンの餌を持ってたらそりゃ餌ごとバルゴンに喰われるだろう…。欲張りはいけないと身をもって教えてくれた小野寺兄貴に合掌。

強烈な悪役がいてくれたおかげで平田とカレンのドラマも生きる。怪獣映画で人間パートがここまで面白かったのも初めてな気がします。その分怪獣バトルは削らざるを得なかったのか、ガメラは最初のバルゴン戦でひっくり返った後、終盤まで物語から遠ざかっていました。対バルゴン作戦が全滅して打つ手がなくなったところで満を持して登場。リベンジ戦は水に強い亀の特性を生かし、水に弱いバルゴンを見事に琵琶湖に引きずり込む。バルゴンの弱点設定が出来すぎではありましたが、ガメラが出てきてくれたことで何も言うまい。

ガメラシリーズとしては異色の意欲作ですが、ガメラにはこういう作品もあったんだと知ることが出来てよかった。子どもの時見たらどう思ったかは分からないけど、大人になってから見たことで楽しめた部分もあったんだろうなと思うと、ガメラシリーズの奥の深さを感じます。