大怪獣ガメラ

大怪獣ガメラ BD

1965年
時間 78分
監督 湯浅憲明

北極で国籍不明の戦闘機が墜落し核爆発を起こす。その影響で氷の下で眠っていたエスキモーの伝説「悪魔の使者ガメラ」が覚醒。体長60mの巨大な亀の怪獣は観測船ちどり丸を襲い、北海道に上陸。空を飛び世界各地に現れるガメラの脅威に立ち向かうため、動物学者の日高教授は古生物学者の村瀬教授の協力を得て対策を練るが…。シリアスに登場したガメラ第1作。モノクロ作品。

WOWOWプラスでガメラ1作目を流してくれたのでこの機会に見てみました。私にとってガメラシリーズはゴジラと共に懐かしの怪獣映画なのですが、ガメラの1作目は見る機会がないまま年月を経てしまい、まさか今になってCSで見られるとは感激ひとしおです。念願叶って初めてガメラ1作目を見た感想は、まずは「想像していたよりちゃんと作ってあった」ですね。

記憶にあるガメラはギャオス以降なので、「子どもの味方&友だち」な印象が強かったけれど、今作は記憶のガメラよりシリアスで気合いが入っていました。初っぱなからアメリカ空軍が出てくるし、エスキモーとの会話も字幕だし、日高博士はニューヨークでインタビュー受けてるし、世界各地の映像や新聞が写り、けっこうグローバルな世界観を醸し出してる。実際にガメラが暴れるのは北極と日本だけなのですが、グローバルな演出が上手くいってるのか世界の狭さは感じさせず、地球規模でガメラが暴れてるような錯覚を味わえる。白黒マジックで画面も臨場感がある。ただし、白黒マジックをしても船や飛行機のオモチャ感は拭えないところはありましたが、その辺は目を瞑って浸ってあげるべし。

日高教授が主人公ぽいのでそのまま大人だけの話になるのかなと思ったら、ガメラシリーズお馴染みの少年も出てきましたね。記憶にあるガメラほどには物語に食い込んでこないけど、亀が大好きでガメラを慕う姿は後のシリーズで少年が柱になっていく予感みたいなものを感じさせる。

話は分かりやすくサクサクと進み、深みもないけど、娯楽目的の怪獣映画としては十分頑張っていたのではと思います。ガメラのいいところは、ガメラそのものの造形や動きに魅力があること。手足引っ込めて火を吹きながらクルクル回りながら飛ぶって、よくあんなの考えついたなと思う。ガメラさえそこに居てくれれば少々のチープさなんて吹っ飛ぶ。ガメラをこの世に生み出してくれてありがとうと言いたいです。

<ネタバレ>

今作では何故かアトランティス大陸は北極にあったと言うことになってるようです。エスキモーがアトランティスの子孫? 今作のエスキモーには亀の怪獣の伝説があり、それがガメラ。日高教授はエスキモーから「古代から伝わる石版」をもらい、石版の絵がガメラの回転飛行を表していることに気付くのだけど、見てる者には既に分かってることを作中の人物が真剣に解き明かしていくのを見るのは逆に新鮮でしたね。

俊夫少年は母を亡くしてから亀一筋になっていて、飼っていた亀もガメラになるのだろうかと思う。ガメラに感情移入しガメラを追いかける俊夫の熱意が通じたか、ガメラは俊夫を助ける。私が公開当時に見ていたら、やっぱり俊夫くん目線でこの映画を見ただろうと思う。ガメラは大人から見れば恐ろしい存在、だが子どもにはもっと近い存在。この辺は1作目ならではのいいバランスに作られていたように思います。

作戦を練っては破れていく日高教授はついにZ計画に着手。これは伊豆大島で開発されていたロケットで、火星に向けて飛ばす予定だった。その先端カプセルにガメラを閉じ込めてロケットと一緒に火星へ打ち上げてしまおうという作戦。これはちょっと他では見られないアイデアで、こういう退治方法があったのか!と思わせてくれました。俊夫はガメラを案じて大島まで密航してしまい大人の邪魔になったりしていたが、Z作戦がロケット(ガメラを殺すわけではない)と知って落ち着いたようです。俊夫の成長の描き方はちょっと(かなり?)雑でしたが、ガメラと日高教授との出会いが彼の閉じた心を解放し母の死から立ち直らせてくれたんだと思うことにしましょう~。

思っていたより面白く楽しく見られたガメラ1作目。そりゃ今から比べれば色々チープで雑だったり突っ込みどころも多いけど、制作者の熱意は伝わってきました。見られてよかったです。