インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド]

2023年
時間 154分
監督 ジェームズ・マンゴールド

1969年、定年退職を迎えたインディの元へ旧友の考古学者の娘ヘレナが現れる。ヘレナの父はかつてインディと一緒に手に入れた「アンティキティラのダイヤル」の研究に夢中になっていた。そのダイヤルは半欠けで、欠けた片割れを見つけて完全体になれば恐ろしい力を得られると言う。だがダイヤルを探しているのはインディだけではなかった。25年前にインディとダイヤルを争った旧敵との戦いが再び幕を開ける──。

「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」見てきました! いつも通り事前情報など一切入れない状態で映画館へ行ったので、第二次世界大戦のナチス陣営から話が始まりハリソン・フォードが若い!のに驚く。しかも若いままアクションが続く!? えっこれこう言う話だったの?今のお歳のハリソンは出て来ないの?と一瞬焦ったけど、やっぱりプロローグでした(笑。けど今の技術凄い、このままでインディの若い時のお話を1本作ってもいけるんじゃないか…と思いましたね。プロローグとは言えけっこう尺とってあるので、若いインディの新しい冒険も見られて二重に得した気分になりました。

今回のお題は「アンティキティラのダイヤル」。古代ギリシャの機械装置で、今作ではそのダイヤルに秘めたる力があると言う設定。ナチスの収集品の中にそれがあり、ナチスの科学者(専門は数学)ユルゲン・フォラーがダイヤルの力に気付く。だがダイヤルはプロローグ編でインディと争奪戦になりインディたちの手に。しかしフォラーはダイヤルを諦めておらず、25年後にヘレナを追って再びインディと相まみえることに。今作の宿敵ですね。フォラーの部下たちの冷徹ぶりがなかなかに怖かった…。

ダイヤルの片割れを巡って舞台はモロッコ、エーゲ海、ギリシャ(ロケ地にはイタリアも)と世界を駆け巡り、観光気分にも浸れます。監督はスピルバーグじゃないけど、インディの世界観は頑張っていたんだじゃないかな。設定の一部に不満はあったけど(そのせいでユーモアより哀愁な方向になった?)、インディシリーズを1作目からリアルタイムで追いかけてきた世代には感慨があるのも否定できない。またインディを見られたのはよかったです。

<ネタバレ>

今作の不満。マリオンと不仲になるのはいい。仲直りすれば済むことだし(実際仲直りしたし)。でも息子をリタイアさせてしまったのは残念です。何か事情があったのかもしれないけど、「生きているけど登場しないだけ」にしてもよかったのに。だって、そうじゃないと「クリスタル・スカルの王国」を見るのが辛くなるじゃないですか! これまで時代を取り入れてきたインディシリーズだから、ベトナム戦争をインディの背景に入れたのかもしれないけど、クリスタル・スカルを今までと同じ気持ちで見られなくなってしまったのはしんどい。こういう設定は作中の物語だけでなく、視聴スタイルにも影響を及ぼすことを考えて欲しかったです。

実を言うと、ダイヤルの力がタイムトラベルだと知った時、ラストで息子くん復活しないかなあと密かに期待したのですよね。今回だけはパラドックスになってもいい、死んだ過去はなかったことにしていいから、クリスタル・スカルをしんどい気持ちで見返すくらいなら、その方がずっといいから。でもそうはなりませんでしたね…。

それでもダイヤル設定のミス(ミスったのはインディではなくてフォラーですが)から一気にアルキメデスの時代へ飛んだのは、インディの講義の内容と上手くリンクしていて、その辺の構成は悪くなかったです。インディにとっては生きているアルキメデスと会えたのは考古学者ならではの感慨があったろうな。飛行機がドラゴン扱いされたのには笑いましたが。そうか、あの時代に飛ぶとドラゴンなのね(^^;。

作中ちょっと弱気なところも見せたインディでしたが、ちゃんと戻ってこれてよかった。ラストで登場したマリオン。インディとマリオンの歳の重ねに、それは私も同じだよね…と思う。作品と同じ年月を過ごしてきたからこそ得られる感動は大切にしたい。

哀愁インディも悪くなかったけど、今作の個人的押しはやっぱりプロローグ編の若きインディの体を張った肉体アクション。昔のフィルムも活用して再現したのだそうです。映画館で1作目に喝采した者にとってはこれが"見たかったインディ"なんですから。これだけでも映画館へ行った甲斐はありました。40年に渡って楽しい冒険をありがとう、インディ・ジョーンズ。