エスパイ

エスパイ [東宝DVD名作セレクション]

1974年
時間 94分
監督 福田純

超能力エージェントで組織されるエスパイ国際機構は世界の平和を守るために活動している。東欧バルトニア首相暗殺を阻止すべく、イスタンブール、スイス、パリ、日本と世界を駆け巡るエスパイの田村、マリア、三木たち。暗殺を狙う敵も超能力者集団で、念動力、精神攻撃、サイキックアクションが画面を駆け巡る。田村たちは暗殺を阻止して敵を倒すことが出来るのか!?

子どもの時、親に連れられて見た懐かしの映画。いつかもう一度見たいなと思いつつもレンタルになく諦めていたところ、Amazonプライムビデオに出ていたのに気付き、再会を果たすことが出来ました。小松左京原作で、エスパイとはエスパーとスパイを掛け合わせたもので、超能力を持ったスパイという意味です。と言うことで、超能力バトルものなんですが、CGなんかない時代なので超能力表現には今のような派手さはなくほぼ刑事アクション。それでも当時の親たちはけっこう興奮して熱中して見てたようです!? 

出演は藤岡弘、由美かおる、草刈正雄などなかなか豪華。若い由美かおるのセクシー下着ダンスが楽しめますです。そんなシーンのある映画によく子ども連れていったな、親。当時はボーッと見てたので、登場人物の心理などよく分かってなかったのですが、大人になって見直すとああそうだよなーとマリアの気持ちが分かる。敵ボス・ウルロフの存在感はさすが若山富三郎、当時の技術不足を補う迫力があり引き込まれる。舞台が国際色豊かだったのも見直してみて初めて気付きました。当時は全部日本でやってると思ってたからなあ。今の若い人が見たら子ども向けだと思うかもしれないけど、子どもには過ぎた作品だったなと思います。でも面白かったのは分かったよ!

アクションバトルだけでなく、超能力の悪用などにも触れ、人間の本質を問うウルロフ、新人三木の成長や能力を使うことの意味など、筋のある構成になってます。今のCG技術でリメイクしてもらえたら面白いんじゃないかなーと思うのですが…。

<ネタバレ>

田村と三木の念動力、マリアの透視、連絡用途のテレパシーなど、超能力にも色々ありますが、テレポーテーション(瞬間移動)だけは伝説の能力という設定。エスパイと敵の攻防は何回も危機を呼び、日本での会場警備の時、三木がおびき出され、三木を追った田村は時限爆弾が仕掛けられた車に閉じ込められてしまう。一方会場では敵の狙撃手によりマリアたちが危機に! その時爆発寸前で田村が会場に出現! 「あっテレポートしたっ!!」と叫んだ父の興奮した嬉しそうな声が今も忘れられない。当時はなぜ父がそんなに興奮したのか分からなかったが、大人になって見直して、テレポートが伝説の技だったという伏線が成就した瞬間のカタルシスだったんだなと今になって分かった。親、心底作品に入り込んで楽しんでましたね…。

正直、由美かおるの下着ダンスと父の「テレポートしたっ!」しか記憶に残ってなかった作品ですが、見直してみたらアクションと特撮だけでなく、田村の超能力が一時的になくなるなど、ストーリー面の工夫もあったことが分かりました。三木が初めての仕事で受けたショックとそこからの立ち直り、大切な人を想う心が新しい力を生み出すなど、"愛が全て"の言い回しは直球過ぎですが、愛が生むものと憎しみが生むものの対比などそれなりに考えられていたんだなと思いました。

個人的には親たちの楽しみぶりが追体験出来たのはよかった。よく考えてみれば当時エスパーものの映像化は珍しかったのでは? それを思えば親たちが喜んで見ていたのも分かる。今の時代に冷静に鑑賞したら物足りないところだらけかも知れないけど、当時見た人たちにとって面白かったのならそれで十分ではないでしょうか。

私の今作の評価はやっぱり、父が嬉しそうに発した一言「テレポートしたっ!」が全て、かな。

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