ALWAYS 三丁目の夕日

ALWAYS 三丁目の夕日 BD

2005年
時間 133分
監督 山崎貴

東京タワー建設中の昭和33年。舞台は東京の下町、夕日丁三丁目。集団就職で東京に来た六子(ロクちゃん)を迎える鈴木オート一家と、身寄りの無い少年淳之介を預かることになった駄菓子屋の茶川を中心に、昭和の下町の人々の暮らしと暖かさを描いた作品。

西岸良平の漫画を原作にした映画。夫がこの漫画を集め出し、映画のDVDも購入したので私も一緒に鑑賞。

その時の第一印象。

背景がすごい。。

室内や狭い画角内でセットを作り込むだけならテレビドラマでもよくありますけど、引いた角度から俯瞰して、街並み全体が遠くまで見渡すように広がり、路面電車が行き交う昭和33年の街並みが映画らしい臨場感を伴って迫ってくる。今はもうない風景をCGを上手く使ってスケール感大きく再現してくれているのが嬉しい。そのおかげでドラマにもより一層"らしさ"が出て来ている気がします。

原作は1話12頁くらいの短編で構成されている群像劇で、一応鈴木オートを中心に展開してはいるのですけど、三丁目の住人が色々なエピソードで語られる形式のため、全体を通したストーリーがあるわけではありません。映画ではここから鈴木オートの一家と駄菓子屋の茶川のエピソードを選んで話を構成しています。

ちなみに原作ではロクちゃんは男性ですが、映画では女の子になっています。鈴木オートと茶川の駄菓子屋は向かい合わせになっている設定。この設定のおかげで鈴木オートと駄菓子屋が無理なく行ったり来たりできる関係になっており、両家を中心にした話作りが上手く回るようになってますね。

<ちょっとネタバレ?>

物語は春から開始。鈴木オートにロクちゃんが、茶川の所に淳之介が来るところから始まります。東京タワーはまだ途中までしか出来ていない。ロクちゃんと淳之介が三丁目に馴染んでいく様子を描きつつ季節も春から夏へ、秋へ、そしてクリスマスへ…と移っていく。それに伴い東京タワーも少しずつ成長していく描写が心憎い。まるでロクちゃんと鈴木オート、淳之介と茶川の"家族の成長"と呼応するかのように。

クリスマス~年末にロクちゃんと淳之介にクライマックスが訪れます。夕日丁三丁目の住人となった2人の心の決済。じんわりと涙する。そして大晦日の夕刻、全員が見上げる夕日の向こうに完成した東京タワー。それはロクちゃんが鈴木オートと、淳之介が茶川と完全に家族になったことを意味する。東京タワーの使い方、上手すぎるだろ…。心にしみるいい作品でした。

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