カンパニー・マン
年 | 2003年 |
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時間 | 95分 |
監督 | ヴィンチェンゾ・ナタリ |
真面目で平凡な男、モーガン・サリバンは刺激のある仕事を求めてデジコープ社に産業スパイとして採用される。彼はジャック・サースビーという偽の名前とIDをもらい、指示通りに仕事をしていたが、謎の女性と知り合うことでデジコープ社とライバル企業サンウェイズ社の争いに巻き込まれていくことになる。その先には衝撃の真実が待っていた…。
スカパーの雑誌にお勧めSFとして載っていたので見てみました。スパイものにSFの味付けをしたのかなあ、くらいの認識だったけど、このモーガンくん、スパイがやれるような人に見えないのね…。自信なさげでどこかオドオドしてるようで、こんな人をスパイとして雇って大丈夫?な気になってくる。それでもスパイサスペンスが始まるのかと思いきや、お仕事内容は講演会の内容をペン型録画機で録画してくるだけで、スパイでなくても出来そうな簡単なもの(ほぼバイト感覚)。緊張感も何もないじゃん…と思って見てたら、謎の女性登場辺りからだんだんSFっぽくなってきました。
モーガンみたいな人でも雇えるのが今作のポイント(そのためのSF設定)。仕事は簡単。情報(データ)を運ぶだけ。データ運搬人(これをスパイと呼称)はデータの中身は知らないし、知らなくても勤まる。2003年の作品なのでデータはディスクで運ばれてます。この頃はネットはまだ大きなデータは扱えなかったし、フラッシュメモリが一般的になったのはもう少し後なので、その辺は時代を考慮して見るべし。
ただこのデータ運搬にライバル2社の抗争が絡んでて、二重スパイを使って互いに偽データの渡しっこなどをやってる。そこに第3のスパイとかも絡んでくるので、しっかり見てないと裏に裏があったり、今どこのスパイをやってるのか、話の流れが分かりにくくなるのでご注意。結末はこの手の展開に免疫のない人にはかなり衝撃度は高いと思われます。
<ネタバレ>
単なる講演会の録画だと思われたお仕事、実は講演会が"洗脳"の舞台になっていました。謎の女性リタに教えられて、モーガンはヘルメットのような装置で講演会に来た人全員が洗脳されるのを一部始終見てしまう。デジコープ社は洗脳した人間をサンウェイズ社に送り込んでスパイ活動させていたもよう。洗脳は別人に仕立て上げることでデジコープ社のスパイだと気付かれないようにするため。なるほど、これなら素人でもスパイ出来るわけだ…。
モーガンも洗脳されたことになってるので、ジャック・サースビーになりきったフリをしなきゃいけない。スパイとしてサンウェイズ社に行かされるモーガンですが、洗脳されてないことがバレてしまう。だがサンウェイズ社はモーガンを逆利用して二重スパイさせることにする。実はサンウェイズ社は洗脳されてない人材を欲しており、その要望に応えたのがフリーの凄腕スパイ、セバスチャン・ルークス。つまりモーガンが洗脳を免れたのはルークスの差し金で、謎の女リタはルークスの部下だった次第。でもややこしいスパイをやらされることに変わりはないよな…。
ここで謎のスパイ・ルークスがモーガン解放の鍵を握ることになるのですが、問題はルークスの存在感が薄いことですね…。姿は見せなくてもいいけど、影のラスボス感をもっと打ち出さないと、正体が分かった時の衝撃が大きくならない。それでもこの手に馴染みのない人には十分衝撃だとは思いますが。私なんぞは「トータル・リコール」などで鍛えていたおかげ?で、オチが来る前に「そうなんだろうな」と分かってしまい、衝撃を味わい損ねたのが残念(^^;。
でも今作の肝は、そこまで大仕掛けしてルークスが盗み出したかった情報が愛するリタのためだった…というところかと。それを思えばルークス正体の衝撃なんて小さいことだわー(と思うことにする)。モーガンのフラッシュバックも、南太平洋の本も無事回収。金庫室はSF感溢れててよかったです。