オールド

オールド BD

2021年
時間 108分
監督 M・ナイト・シャマラン

ガイとプリスカの夫婦は娘と息子を連れて一家で南国のリゾートホテルを訪れる。マネージャーにホテルのプライベートビーチを紹介され、ガイたちはそこで他の客たちとバカンスを楽しむが、女性の遺体が流れ着いたことで事態は一変。しかも6歳と11歳だったはずの子どもたちがいつの間にか成長していた!? そこは通常の何倍ものスピードで時間が流れるビーチ、1日で一生が終わる時間の檻に閉じ込められたガイたちの運命はいかに!?

時間を扱った設定に興味を引かれてレンタルして見てみました。この設定は面白い、このアイデアだけでもすごい楽しめる。問題のプライベートビーチに行ったのはガイ一家の他には外科医の一家(妻、娘、母も)、心理学者と看護師の夫婦、人気ラッパー。最初は皆普通に楽しもうとするのですが、子どもたちの急激な成長と、わずかな時間で白骨化した遺体でビーチの異常さに気付く。しかも怪我しても見る見る間に傷口が塞がり治ってしまうという、驚きの現象。怪我にはいいが、数時間で老人になってしまうのは困るぞ!

展開はシリアス。このビーチ、行きはよいよい帰りは怖い、らしくて何故か脱出が出来ない。時間はどんどん経つ、最初から老人だった人は数時間でもヤバい、病気持ちだった人も待ったなしのスピードで病状進行、どうなる!?どうなる!?で片時も目が離せません。皆さんの混乱や恐怖、狂気に襲われる人も出てきて、「閉ざされたビーチでパニックホラーサスペンス」を存分に楽しめます。

これ以上の展開はネタバレに譲りますが、ちょっと残念だったのは、大人の老いメークが甘かったところかな。子どもは役者を変えてどんどん成長していきますが、大人はそこまでの変化がなくて(低予算?)、ここをもう少しリアルにやってくれたらもっとホラー感が出てよかったかも。状況展開はなかなか厳しくて、見ていて辛いところもありますが、最後は観客の疑問にも答えてまとめてくれています。

<ネタバレ>

女性の遺体はラッパーの連れだったことが分かって、最初は殺人劇でもあったか?と疑心暗鬼になる皆さんですが、犯人はビーチの時間の檻だった。急激な時間の流れに慣れた体は、元の時間の流れに戻ろうとすると大きな負荷がかかるらしく、それで溺れてしまったのが原因。時間の速さはビーチを取り囲む岩が原因らしく、元来た道を引き返そうとしても途中で気を失ってしまい先へ進めないので、どうやってもこのビーチから出られない。

そうこうしてるうちに子どもたちは大きくなり、ガイの息子と外科医の娘が遊んでいたら娘が妊娠、あっという間に出産の流れはシリアスなのに滑稽。一瞬の青春。しかし赤ちゃんの体はこの時間の流れに耐えられなかったようで、残念でした。元から老人だった外科医の母はビーチに来てそこそこの時間で大往生となり、海から脱出を挑んだ心理学者も負荷に耐えられなくて失敗。心理学者、メンバーの中では一番冷静で頼りになりそうな人だったのに…(悲。結局大人たちはみな果てていくのですが、離婚を考えていたガイとプリスカが仲直りして最期を迎えられたことは救いでしょうか。

でもこのままでは終わらない、最後はガイの息子のトレントと娘のマドックスが中年になりつつも頑張ってくれました。ビーチに行く前に仲良くなったホテルの子どもにもらったメモをヒントに、珊瑚礁をくぐり抜けて脱出に成功。珊瑚は岩の影響を受けないらしい。そもそも何でマネージャーはガイたちをこのビーチに案内したのか?の疑問も解ける。このホテルは製薬会社の長期治験のための実験施設だったのですね。それで疾患のある患者を巧みにホテルへ誘い、新薬を投与して経過観察していたらしい。1日で子どもから中年にされたトレントたちは気の毒すぎですが、トレントがホテルに宿泊していた警官を覚えていたおかげで事件解決に結びつき、ラストの研究ホテル一網打尽は気持ちがスーッとしました。

ところで今作のジャンルって何かな? 私の感覚では時間の要素がある時点でSFかなと思うのですが、このビーチはたまたま発見されて利用していたと言うことで、時間に関するSF方面の説明はありませんでした。が、こういう状況に置かれた人々の恐怖ものとしては十分楽しめたので、SF風味のホラーサスペンスと言うことでいいのかな。

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