すずめの戸締まり

2022年
時間 122分
監督 新海誠

九州で叔母と2人暮らしの高校生・鈴芽(すずめ)は扉を探す青年・草太と出会う。廃墟で扉を見つける鈴芽だが、それは災害を引き出す「後ろ戸」だった。「後ろ戸」を封じていた要石が逃げ出し、鈴芽は草太と共に要石を追って、災害の扉を閉めながら日本各地を巡る旅に出ることになる。その旅の先に鈴芽を待っていたものとは──?

「すずめの戸締まり」見てきました。ほとんど前情報なしで臨みましたが、思っていたよりも素直なエンターテインメントでした。ただ、これはネタバレになるかもしれないけど、人によっては知っておいた方がいいかもと言うことで、震災のシーンがあることを最初に書いておきます。津波ではなく震災後のシーン、ですね。けっこう具体的なので、そのつもりで鑑賞された方がいいかと思います。

でもエンターテインメントとしては素直に面白かったです。鈴芽と一緒に旅に加わる「すずめの椅子」が予想外にキュートでこれは斬新だった。椅子がしゃべって動くって、よく考えたらすごくシュールなのにかわいいと感じてしまう。しかも足が1本足りなくなっているのに、3本足でめっちゃ走るわ、跳躍するわ、もうすごい! 正直、私にはネコより椅子の方が可愛かったです(椅子くんにはギャップ萌えみたいなところもあるし^^;)。

ひょんなことから「後ろ戸」を閉める「閉じ師」の仕事を手伝う羽目になる鈴芽なのですが、自分の責任ともしっかり向き合える子でよかったです。「天気の子」みたいになったらどうしようと一瞬心配したし。閉じ師の旅は鈴芽自身の旅にも回帰し、終盤はそうきたか!の展開になり、ちょっと泣けたので個人的には良かったかなと。少女の成長物語としても素直にまとまっていたと思います。

余談ですが、映画館で入場する時に「新海誠本」という小冊子をもらいました。監督の詳しいインタビューが載っていて、パンフレットとも合わせると、この2冊で作品の内容やテーマ・伝えたかったことが考察の余地がないくらい全部分かっちゃうと言う…。くれぐれも鑑賞前に開かないようご注意を。

<ネタバレ>

草太は閉じ師の家系で、代々「後ろ戸」を閉める閉じ師をやってきたのだそうな。草太も鈴芽が発見した扉を閉じに来たのですが、逃げ出した要石(ネコの姿になってる)に椅子に姿を変えられちゃう。と言うことで、すずめの椅子の正体は実は草太でした。椅子にされたら動けなくなるんじゃないか…って思うじゃないですか、それが動き出すんだもん、びっくりしたわー。しかも草太くん、椅子の姿で1人で閉じ師やろうってそりゃ無理でしょーがっ。鍵、どうやって掴むんだっ。鈴芽がついていって正解です。こうなったのは鈴芽にも責任の一端はあるんだしね。かくして「椅子と旅する少女」が出来上がったわけですが…。

やがて鈴芽の旅の目的は草太を救うことに集結して行き、それは鈴芽自身を救うことにもつながっていく。自分を救うのは自分と言うのがいい。鈴芽が東北大震災の被災者であることは徐々に明らかになっていきますが、震災を扱うシーンがあることを知っていたら、冒頭の鈴芽の夢や保護者が親ではなく叔母であることなどから早くから察しがつきます。過去の記憶に一区切りをつけて「戸締まり」できた鈴芽。草太とはラストからが始まりですね。

またこれは鈴芽の成長物語であると同時に、鈴芽と叔母の絆の物語でもありますね。今作には若い子だけでなく、叔母や神戸で出会ったスナックのママなど色々な年代の女性が出てきて、私にはこれまでの新海作品より入りやすくなっていたのは嬉しかった。彼女らのおかげで、私も鈴芽の物語を自分の物語としても受け止めることが出来たと思います。

後ろ戸や閉じ師の設定はファンタジーですが、焦点は現実を生きる人々に当てられている作品だと思いました。細かい設定には気になるところはありましたが、楽しめたので良しです。

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