囚われた国家

2019年
時間 109分
監督 ルパート・ワイアット

地球はエイリアンに侵略され、世界はエイリアンの統治下となった。だが抵抗運動を続けている者もおり、レジスタンス組織は反撃の機会をうかがっている。エイリアンに両親を殺されたガブリエルもレジスタンスの連絡員の1人として密かに活動をしていたが、彼の父の友人だったマリガンは統治者側についていた。マリガンは警察の特捜班ザ・ローチの司令官でレジスタンスを追っており、ガブリエルから情報を引き出そうとしていた──。

どこかでこの作品のことを知り、ちょっと気になったのでレンタルして見てみました。いわゆる侵略系? ただエイリアンは地下空間に居るらしく、ほとんど姿を見せません。そのためエイリアン側についた体制側とエイリアン支配に抵抗する非体制側(レジスタンス)との攻防がメインで、地道なスパイサスペンスふうの話になっています。

レジスタンスたちの連携はすごかったわー、ザ・ローチの監視の目をかいくぐり、アナログな手法で情報を次々と伝えていくのにワクワクする。レジスタンスのリーダーは「ナンバー1」と呼ばれていてレジスタンスたちもよく知らない謎の存在。しかし今作、エイリアン側のマリガンの描写にもけっこう時間割いてて、誰の視点で感情移入したらいいのか、迷うようなところがあります。マリガンはガブリエルのことを気にかけているふうなのに、ガブリエルの盗聴と情報収集も怠らないし、本心では何を考えているのかも気になるところ。

今作の世界設定、エイリアンを支持する人たちには「エイリアンのおかげで平和がもたらされた」と思わせて、裏では天然資源を搾取するエイリアン、それに対して反対意見や反対思想を持つ者は人間の警察を使って徹底弾圧するところは何かを彷彿とさせる気もしますが、改めてこういう状況は怖いなーと思いました。レジスタンスの計画は成功するのか、その先にあるものは果たして…? そう来たかーというラストが衝撃的。

<ネタバレ>

今作の主人公、ガブリエルと見せかけて実はマリガンおじ様だったー!! どうりで彼の描写が多かったわけです。レジスタンス組織は一度潰されたことがあるので、警察本部長などはもうレジスタンスなんていない、いつまでそんなのを気にかけてるんだ、という態度。マリガンだけが固執してるような描写がありましたが、マリガンにはそうする必要があった。

マリガンが足繁く通っていた娼婦の女性ジェーン。彼女は娼婦の立場を利用して政府高官などから情報を得てレジスタンスに流していた。つまり彼女がナンバー1だったのですが、真のナンバー1は他にいた。マリガンとジェーンの間に何かの決意が交わされたようなシーンがあるのですが、その時ジェーンはマリガンに携帯を渡します。携帯のカードの情報からジェーンはマリガンとガブリエルの両親との共通の友人だったと分かる。これはマリガンをエイリアンの居る地下に送るための遠大な計画だったのです。

レジスタンスを一掃したマリガンはジェーンに情報を抜かれていた本部長を追い落とし、本部長しか得られないエイリアンの地下に行く権利を手にする。レジスタンスはテロ用に透明化する爆弾を開発していたが、エイリアンの地下に向かうマリガンの背には透明爆弾が…。映画はそこで終わるけど、多分エイリアン基地爆破は成功したんだと思う。

振り返ってみると、全てはこの時のためにマリガンは心を鬼にして突き進んできたのだと分かり、胸に迫るものがある。仲間のジェーンを撃てと命令したマリガン、全て承知の上で覚悟を決めていたジェーン、人類のためにどうしてもやりとげるという彼らの強い決意に心を打たれました。マリガンのガブリエルへの心配も本物だった。カードの動画は私たちが散ってもガブリエルは未来に向かって生きていってくれ──と励ましているようだった。私もマリガンおじ様のこと、忘れませんわー、おじ様こそ真のナンバー1です!

エイリアンドンパチはないけれど面白かったです。こういう視点から攻められるのもSFの良さですね。

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