地球が静止する日
年 | 2008年 |
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時間 | 136分 |
監督 | スコット・デリクソン |
地球外生物学者のヘレンは亡父の連れ子ジェイコブと2人暮らし。ある日謎の物体が地球に接近しヘレンにも招集がかかる。物体はセントラルパークに着地し世界は大騒ぎになる。物体の中から現れた謎の生命体は人間の男性の姿に変異し人類の代表に会見を申し込むが…。彼の目的は何か、地球はどうなるのか? 今、人類への審判が下される時が刻々と迫る…。
これ、1951年の「地球の静止する日」のリメイク作品だったのですね。見た後で知りました。元作品は見たことないので、今作を見た範囲内での感想になります。
まず、地球外知的生命体との初コンタクトになるのに人間側が馬鹿すぎる…。考える前に攻撃態勢。あまつさえ現れただけでまだ何もしてない相手をいきなり撃つ。それでも相手は話をしたいと言ってくれてるのに、拒否してモルモット扱い。これでは人類見限られてもしかたないわと思えてしまいます。怪獣じゃないんだからさ、会話が出来て話が通じる相手なんだからさ、相手が国連で各国代表と話がしたいと言うならそうしようよ…。もうことごとく駄目な対応、無能な指導者で情けなくなります。
2008年の映画にしてはCGは大人しめでしょうか。球体はきれいでした。クラトゥと名乗る地球外生命体(演:キアヌ・リーブス)を守る巨大ロボット・ゴートは昔の少年漫画に出て来るようなシンプルで懐かしさのある形で、ロボットと言うよりは巨人のイメージ。しかしデザインはともかく、人間の武器なんか通用しない科学レベルの相手なのに、何の計略もなしに攻撃するだけの人間たちはやっぱり馬鹿にしか見えない…。
ヘレンはクラトゥとまともに会話しようとしますが、クラトゥはヘレンやジェイコブと話すことによってどう考えるのか。「地球を救いに来た」と言うクラトゥの言葉をいい方向に解釈したいヘレンですが…。
<ネタバレ>
初動の段階で地球外文明からの使者にまともな対応が出来ていればクラトゥの人類への印象も大分変わっただろうし、クラトゥと地球外文明についての正しい情報が流れていれば世界も動揺しなかったろう。今作の人類は自分で自分のクビを締めてますね。今作の人類に限ってはお灸を据えてもらった方がよかったかも知れん…。
ただ人類の対応が雑ならクラトゥの判断のしかたもちょっと雑。ヘレンは「地球を救いに来た」を人類の味方かと思ったが、実は逆で人類から地球を救うという意味だった。クラトゥはその決断をするために地球を訪れて「人類は処置する」と判断。が、ヘレンに反発していたジェイコブがヘレンに心を開き、ヘレンとジェイコブが抱き合う姿を見て判断を変える。そんな大きな判断を1組の親子の例だけで変えちゃっていいんですか…それとも1人でもそういう人間がいれば行われない処置だったということでしょうか。人類にはありがたい寛大な判断で助かりましたが。
「地球を大切にしないとこんなことになるかもよ」と言う警鐘SFなのだろうけど、雑さの方が目立ってしまって「宇宙人が来た時こんな対応したら処置されるよ・対話大事よ」と言う反省作品になってしまっております。それはそれで人間の傲慢さを皮肉ることになってはいますけどね。少なくともこんな馬鹿にはなりたくないと思わせてはくれます。
個人的には警鐘SFと言うよりは、ヘレンとジェイコブの心がつながる親子物語としての方が心に残った作品でした。SF方面が雑な分、ドラマの方に目が行ったとも言えますが。クラトゥが去る時、ジェイコブがクラトゥのことを宇宙人でも敵でもなく人間として見送ったのは良かったです。