宇宙戦争
年 | 2005年 |
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時間 | 116分 |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
離婚した妻から子どもたちを一時的に預かることになったレイ・フェリエ。ある日、地面の中から巨大なトライポッドが現れ、人々を襲い始めた。トライポッドから逃げるため、レイは子どもたちを連れて妻のいるボストンを目指すのだが…。
映画館で見られなかったので、レンタルで鑑賞。
H・G・ウェルズの書いた有名な古典SFの映画化。ラストにどうなるかは、子どもの頃に子供向けに訳された本を読んで知っていたので、どんなふうに映画化されるんだろうと思っていたわけですが。
さっそく突っ込んでいいですか!?
怪獣映画ですか、これは!?
ビルや街を壊す怪獣のような巨大なマシン。逃げ惑う人々! そして怪獣映画ファンにはお馴染みの(自衛隊を髣髴とさせる)戦車群!! トライポッドがゴジラでも違和感を感じない気がする…。
それはさておき、ドラマの作りは個人(主人公)の視点から真面目に描かれているので、じわじわと来る恐怖パニック映画としての見ごたえはあります。映像もさすがで迫力あります。一貫して一市民の目から描いているので(大統領とか軍隊の指揮官など被害の全体を見渡せる立場の人たちからの描写がない)、全体が見えない恐怖というのもよく描かれていたと思います。
そこはよかったと思うんですが、ドラマに比重が偏ったせいか、この物語のキモとも言えるラストの「オチ(トライポッドが負けた理由)」の部分がちょっと浮いてしまったような気がします。オチ自体は悪くないんですよ。子ども時代に読んだ時には「そ、そうかっ、その手があったか! それは盲点だった!」と感動したものです。
この手のSFにとって「オチ」は命です。「オチ」こそが全てであり、その「オチ」の効果が最大限に発揮されるような展開・演出がなされなければなりません。作品の全てはオチのために存在する。そうでなければそのオチで締めくくる意味がないからです。ところがこの映画ではドラマとオチのつながりが何もない…。これでは、原作がそうだからしかたなくあのラストを取ってつけたのだ、みたいな印象をもたれてもしかたがないかも。いい「オチ」だなけにもったいないです。原作だって、あのオチを最大に生かせる「手段」として火星人を登場させたのであって、恐怖やパニックを描くのが最終目的ではなかったのではないかと。でもこの映画の目的は明らかに恐怖やパニックであって、オチではないですよね…。
もっとオチに愛を持ってほしかったな。と古典SF大好き派としてはちょっぴり思うのでした…。