トゥームレイダー ファースト・ミッション

トゥームレイダー ファースト・ミッション BD

2018年
時間 118分
監督 ローアル・ユートハウグ

ララの父は7年前古代日本の女王卑弥呼の墓を探しに行ったきり行方不明になっていた。父の隠し部屋を見つけたララは父の残した資料を手がかりに卑弥呼の墓があるとされる"魔の海"へ向かう。資料によると、絶海の孤島に眠る卑弥呼が目覚めると恐ろしい力が解き放たれ、世界は危機に陥ると言う。ララは父を見つけて世界を危機から救うことが出来るのか!?

トゥームレイダーに最新作があった!?と知って、見てみました。今作は「ファースト・ミッション」の通り、冒険家になる前のララの最初の冒険、冒険家ララの誕生物語という面に焦点が当てられてます。だからか、ララも初々しくなってますね。アンジェリーナ・ジョリーの旧2作とはシリーズ的な関連性はなく、リブートして新しく作り直した感じ。アクションも旧2作とは大分雰囲気が異なっていて、よく言えば地に足の着いた、しかし旧作と比べると荒唐無稽さが足りない・やや地味?な感じに。アクションよりもアドベンチャーが主体で、冒険を楽しんで下さいという作りのようです。

びっくりしたのは今作の「お宝」設定。ヒミコってあの卑弥呼ですか!? え、でも卑弥呼ってこんな人でしたっけ…?(汗。卑弥呼が絶海の孤島に奉られたってのも新しい説ですなー、卑弥呼の珍説がまた新たに誕生…(違。ちなみに"魔の海"とは日本近海、伊豆諸島の南辺りの海域のことらしいです。ただし日本近海が舞台でも日本は出てきません。一瞬また変なニッポンが出てきたらどうしよう…?とビビったので、出てこなくてホッとしたような残念なような…。

今作のララは父の遺産を引き継ぐ前なので、金持ちっぽいところはなく、バイトで生計を立ててる貧乏女学生が何の武器も持たず父捜しの冒険に向かうという展開。お屋敷にも住んでないし、お約束の執事もいないし、派手な装備やメカもなく、世界各地を飛び回ることもなく、せいぜい香港のおっかけっこぐらいで、後はほぼ卑弥呼の島だけで展開します。ララもまだ「強いお姉さん」には達してないですが、その分親近感は旧作よりもあるかもしれない。ただ下手に現実に寄せちゃうと突っ込みどころが増えるので、キャラ設定周りにももうちょっと荒唐無稽さがあってもよかったかなと思います。

<ネタバレ>

このシリーズには世界征服を企む悪の組織が登場するのは定番なのだろうか…(ゲームはやったことがないので分かりませんが)。今作は「トリニティ」という秘密組織が卑弥呼の力を利用して悪事を企もうとしているので、それを阻止しなければ!というお話。が、敵の荒唐無稽さに対してララの生活ぶりが現実寄りに描かれてるところがちょっとアンバランスで気になりました。ここはやっぱり「超お嬢様(一種のスーパーヒーロー)」という非現実性があってこそ成り立つ部分というのがあると思うんですよね…。

現実寄りと言えば、卑弥呼の魔力の正体も超常ではなく現実っぽい方向に寄せてきてましたね。どんなすごい力かと思いきや、疫病だったとは…。いや、こういう展開、嫌いじゃないです。個人的には超常よりも疫病の方がまだいいです。でもネタがトゥームレイダー2と被ってる上、トゥームレイダー2では疫病とロマンが両立していたのに、今作では身も蓋もなく感じてしまったのは何故だろう…。

お父さんが生きていたのもびっくり。これもララを妙に現実寄りに描いてる部分があるせいか、展開が雑に感じてしまう。お父さんにも、7年間も正体の分からぬものを発掘し続けていたトリニティにも、突っ込みしか出来なくて困る。改めて現実的な部分と荒唐無稽のバランスは大切なんだなと思いました。

ラストの展開、トリニティの裏にいたのがクロフト社の子会社だったこと、そこに経営を任せているアナが関係してるらしいと分かるオチはよかった。だからなおのこと、物語のバランスがちょっと惜しく感じました。それでも滝壺の危機一髪とか卑弥呼の墓とか見所はあったし、私はけっこう楽しんじゃいましたけどね(^^;。