チャッピー
年 | 2015年 |
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時間 | 120分 |
監督 | ニール・ブロムカンプ |
近未来。南アフリカでは警察にロボット警官が導入されていたが、開発者のディオンが本当に作りたかったのは意識を持つAIだった。会社に試作を拒否されたディオンは密かに壊れたロボット警官に新AIを入れる。だがAIの入ったロボットはギャングに奪われ、ギャングが親代わりになってAIを育てることに!? チャッピーと名付けられたAIロボットにギャング親たちは悪いことを仕込もうとするが…?
AIが赤ん坊から成長していく話?くらいの予備知識しかない状態で鑑賞した作品。よくあるAIものかと思ったら、序盤でチョイ役にしか見えないギャングにさらわれるんだけど、チャッピーが育つためにはちゃんとした環境に戻らないといけないと思い、いつ助けがくるのかなと見てたら、何とそのままギャングがまさかの親化!! この展開は意表をついて面白かったです(笑。
開発者のディオンは生まれたばかりで赤ん坊状態のチャッピーを正しく教育して育てたかったろうに、チャッピーはすっかりギャングの女(ヨーランディ)をママと慕う始末。ギャングの男(ニンジャ)がパパになってしまい、盗みを教え込もうとするし、これどうなるんだ!状態で目が離せない。母性本能に目覚めた!?ヨーランディのママっぷりも意外性があって面白かったな。
監督が「第9地区」や「エリジウム」のニール・ブロムカンプなので、「見た目ではなく中身が大切」をテーマにするための舞台設定なのは分かりますが、この発想にはやられました。チャッピーもだけど、ギャングも見た目で判断してはいけないよね…(場合によりけりだとは思うけど^^;)。チャッピーの形状はメカっぽさ全開のデザインで、後半ロボットバトルもあるので、メカ好きな人にも楽しめるのではと思います。
<ネタバレ>
ディオンが勤めるテトラバール社には脳波で操作する攻撃ロボットを開発している研究者(ムーア)もいた。が、彼の研究はなかなか採用されず、ついにはディオンの警官ロボットを全てウイルスで破壊する暴挙に出る。ディオンのロボットには欠陥があったことにして、その代わりにオレのロボットを採用しろ!って魂胆ですね。こいつがラスボスと化して攻撃ロボット[ムース]でチャッピー達をやっつけに来るけど、ここでいつの間にかギャング側に感情移入してる自分に気付く。ニンジャ漢だ、ヨーランディ母の本気、魅せられてしまう。これだから"物語"は面白い。
ギャング両親の元で育ってしまうチャッピーだけど、AIの自我と知能はディオンの期待以上の生長を見せた。パパ(ニンジャ)に騙されて盗みを働きはしたものの、創造主(ディオン)のこともママ(ヨーランディ)の優しさも忘れなかったチャッピーはやっぱり悪い子にはならなかった。ムーアの脳波コントロール機から意識をコピーする技術を確立、重傷を負って瀕死のディオンとバッテリーが尽きそうなボディに入っている自分の意識を他のロボットに移転させることに成功する。
この辺はSF技術を云々するより、「見た目ではなく中身が大切(人種差別・格差社会への啓蒙)」を言うためのエピソードだと分かってはいるけど、ちょっと安易だったかなあと感じたところあり。「コピー&ペースト」と「カット&ペースト」は違うんですよね…。前者はクローンのイメージ。後者は脳移植のイメージ。ヨーランディがロボットの中で復活できてもそれはクローンであって、オリジナルの彼女が生き返ったことにはならないよね…と思ってしまう私はSF脳に侵されているのか;。
チャッピーの「大切な人を生き続けさせてあげたい」という思いは伝わってきたので、ここは立派に育ったチャッピーの心を見せてもらったと思うことにします。ヨーランディがクローン(これはあくまでも私の解釈ですが)であっても、中身は彼女に間違いないんだから、これからもチャッピーのママであり続けてくれると思う。ところでパパの名前は何でニンジャ? 服に日本語が書いてあったりしたので忍者のファンなのかしら??