ホビット 思いがけない冒険

ホビット 思いがけない冒険 BD

2012年
時間 169分
監督 ピーター・ジャクソン

ホビットのビルボ・バギンズは若い頃の冒険話を書いていた。それはビルボがどうやって指輪の所有者になったかの物語でもあった。60年前、まだ若かったビルボの所へ魔法使いのガンダルフが訪れ、ビルボはドワーフの冒険旅行に巻き込まれることになる。ドワーフの目的地は竜に奪われた故郷エレボール。だが旅の行く手にはドワーフたちを追うオークを初めとする様々な危機が待ち受けていた。

「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚であるホビット3部作の1作目です。原作小説では「ホビットの冒険」の方が「指輪物語」よりも先なのですが、映画でホビットシリーズが作られたのは「ロード・オブ・ザ・リング」の後です。だから公開順に映画を見ていれば、既に指輪物語の世界観がある程度頭に入ってからの観賞となるので、スムーズに楽しめるはず(と思う)。

今作では「ロード・オブ・ザ・リング」でフロドに指輪を渡したビルボが主人公。60年前のビルボはホビット庄の静かで穏やかな暮らしに満足しつつも心の底に冒険心を抱えていた青年だった。ガンダルフとドワーフの押し入り方はかなり強引でしたが、胸の中でくすぶっていた冒険心を刺激されたんでしょうね、旅のメンバーの一員に。メンバーはビルボの他にはドワーフ13人とガンダルフ。ホビットとドワーフが旅の仲間としてどうやってまとまっていくかもポイントでしょうか。

ファンタジーならではの見せ場は盛り沢山。トロル、オーク、エルフ、魔法使い、雄大なスケールで描く中つ国の広大な風景。大きなスクリーンでじっくり堪能したい。冒頭のエレボールの説明風景も見どころです。エレボールはドワーフの故郷なのだけど、火竜スマウグに襲われてドワーフたちはエレボールを追われた。旅の目的は「取り戻せエレボール!」なんですが、そこはトロルやオークその他色々な危機が襲ってきてすんなりとはいかないわけです。

今回は3部作の1作目なので、まだ目的地に辿り着けるところまでは行かず、冒険の始まりとその途中経過というところ。ロード・オブ・ザ・リングへつながるエピソードも盛り込まれているため、ロード・オブ・ザ・リングファンなら楽しめる部分も多いです。その分ちょっと説明描写的なシーンが多いように感じたところもあったけど、ファンタジーなんだから世界観描写も含めてまるっと楽しむが吉ですね。

<ネタバレ>

冒険旅行に立ちはだかる危機はトロルに襲われたりオークに襲撃されたり岩の巨人の戦いに遭遇したりゴブリンに捕まったりと色々あるのですが、冒険を引っ張っているのはドワーフの若い王子トーリン。そのままではこれはトーリンの冒険でありビルボは傍観者。それをビルボが「自分の冒険」にすることが出来るのかが1作目の要だったのかなと思います。冒険心を刺激されて旅の仲間に加わったけど望郷の気持ちもあり、一行の中での自分の役割もよく分からなくて迷いもあったビルボ。終盤でトーリンを助けに入って自分の決意を固め、ドワーフたちの信頼を勝ち取り、仲間の中での自分の居場所を得た。これからが本当の「ビルボの冒険」の始まりですね!

裂け谷ではエルロンド、ガラドリエル、サルマンが登場。この時からもう闇の力の復活が垣間見えていたようです。ゴブリンの地底湖ではゴラム(スメアゴル)も登場。ビルボはここで指輪を拾ったのか…。この時の確執がロード・オブ・ザ・リングでフロドとゴラムの関係につながっていくのですね。

クリーチャー危機の中では個人的には岩の巨人が一番面白かったです。巨大な岩の巨人どうしがバトルしてるところへ遭遇しちゃったからさあ大変! CGも見応えあってよかった。ビルボたちには一切かまわず(気付いてない?)好き勝手にバトルしてる岩巨人たち、話の進行には全然関係ないのに最高!って感じるって何でだろ(笑。あと、これは敵ではなく味方だけどガンダルフが呼んだ大鷲軍もよかった。オークを蹴散らしビルボたちを乗せてさっそうと飛んでいくのは爽快です。

異世界ファンタジーの冒険はやっぱり楽しい。また中つ国の物語を見ることが出来てよかった。まだ冒険は始まったばかり、次回はどんな冒険が待ち構えているのだろうとワクワクさせてくれます。