指輪物語(アニメ版)

1978年
時間 133分
監督 ラルフ・バクシ

ホビット族のフロドは養父ビルボから譲り受けた指輪が冥王サウロンのものだったと知り、指輪を破壊するため旅に出る。ホビットの仲間、魔法使いガンダルフ、エルフ、ドワーフ、人間、合計9人が旅の仲間となり、共にモルドールを目指す。しかしガンダルフはモリアで落ち、フロドを逃すためにピピンたちが囮になり、アラゴルンたちはオークと戦い、ローハンへ。フロドはサムと2人でモルドールを目指すが、その途中でゴラムと出会うのだった。

ロード・オブ・ザ・リングのアニメ版。実はこの作品、実写版が作られる20年以上も前にアニメ映画化されていたのですよ! しかも私はこれを映画館で見ていると言う…。当時はロートスコーピング技法を使った画期的なアニメ作品!と華々しく宣伝されていて、期待を込めて見に行った覚えがあります。ロートスコーピング技法(Wikipediaではロトスコープと表記)とは、実写フィルムをトレースすることで、アニメに実写のようなリアルな動きを持たせる技法。わあ、どんな動きになるんだろう! そりゃ期待も高まりますよ!

ところが。「何かうようよしている…」くらいの覚えしかなくて、絵も動きも話の内容までもほとんど印象に残らず、「見た」以外の記憶は忘却の彼方へ去るという残念な結果となりました。あの作品、私にとって何だったんだろ。が、つい最近DVDがあることを知り、じゃあもう一度見直してみようか…と思い立ち、再鑑賞にトライ。さて、見直した結果、どうだったのか!?

アニメについて

実写をトレースしただけあって確かにリアルな動きをしています。それも全方位で動くので、最近のセル画調3Dアニメを手書きにした感じ(線が常に揺れている)かな。複数のキャラが全員同時に細かく動いているのは当時としては珍しかったのでは。ただし。これは主要キャラだけで、オークは実写を白黒コピーして色をつけた感じで、アニメと言うよりは加工された実写という感じです。モブも同様。パンフには合戦のシーンは300頭の馬、1000人以上のエキストラを使って撮影…とあったが、そのまんまトレースし過ぎ?で、あまりに実写過ぎて、それならもういっそ実写にすればよかったんじゃ…と思ってしまうほど。

ただオークやゴラムや木の鬚などを当時の特撮でやったらスター・ウォーズになってしまっただろうし、トールキンの格調を保ちつつ予算の範囲内で作るとなるとこの辺が落とし所だったのか?とは思います。全体に「大人の絵本」テイストで、指輪物語らしい雰囲気は出てたと思うし、アニメと言うより動く絵本と思えばいいのかも。それでもやっぱりアニメデザインのキャラと写真人物が並ぶのは違和感があり、中途半端な感じは否めなかった。そんなこんなで全体の印象が「パッとしない」になってしまったのかなと思います。

話の内容について

有名なロード・オブ・ザ・リングなので今さらネタバレもないと思うので書きますが、実は今作は「前編」です。上のあらすじ通りの内容で「二つの塔」の半分くらいで終わってます。そして後編はありません…て、打ち切り!?(WikipediaによるとTVアニメで一部補完されたらしい)。

ところで、今回見たDVDではラストに「敵は倒され戦いは終わり指輪物語は終わった」みたいなモノローグが入ってて話を強引に終わらせてました。そんなの映画館で見た時、あったかなあ? パンフレットには第二部のストーリー予告も少し載っていたのでDVD化の時に入れた後付けなのだろうか。どちらにしろ、原作を知らないままアニメの動きに期待して見に行った人間には「何かよく分からないうちに終わった?」だったろうと思う。話の流れも筋を追うだけで精一杯なところがあったし、特に印象的なドラマもなくて、これでは記憶に残らなくてもしかたなかったですね…。

しかし中身を覚えていなくても、「この作品を見た」という記憶だけは強烈に残っていて、一風変わった作品だったのは確かです。単体作品としてはお勧めとは言い難いですが、ロード・オブ・ザ・リングの研究をしてる人・この当時のロートスコーピング技法を見たい人には参考資料になるかもしれません。