モアナと伝説の海

2016年
時間 107分
監督 ロン・クレメンツ
ジョン・マスカー

モアナは南太平洋モトゥヌイ島の村長の娘。幼い頃から海に惹かれていたが、父に珊瑚礁の外には出るなと言われていた。しかし島の周りから魚がいなくなり、祖母から先祖の秘密を聞いたモアナは世界を闇から救うために外海に旅立つ。かつて半神マウイが女神テ・フィティから盗んだ「心」を返すために。モアナはマウイを見つけることが出来るのか、無事女神に「心」を返すことが出来るのか?

これ、好きです。ポリネシア(南太平洋の島々)の神話を元にしたファンタジーですが、背景に歴史に伝わる史実が含まれており、冒険アニメとして面白いだけでなく、ポリネシアの文化を伝える映画にもなっており、知識を広げられるという意味でもいい作品。実際に伝わる伝承をモデルにしただけあって、頭の中だけで考えられた架空の設定では太刀打ち出来ない存在感と説得力がありますね。

モアナもかわいい。元気で健康的で力強くて気持ちが引き寄せられる。モアナは幼い時、海から緑の石を拾う。その石こそ、かつて半神マウイが女神テ・フィティから盗んだ「心」だった。テ・フィティが「心」をなくしたため世界には闇が広がりだしたと言う。石はモアナの祖母が保管していて、16歳になった時モアナは「女神の心」を持って珊瑚礁の彼方へと船を漕ぎ出します。

しかし見つけたマウイは神からもらった武器「神の釣り針」をなくして腑抜けになっていた!? テ・フィティの島には溶岩の魔物テ・カァがいて、テ・フィティの「心」を返すためにはテ・カァと戦わなければいけない。それにはマウイの協力が必要なのですが、モアナがどうマウイを動かせるかも気になるところですね。マウイの入れ墨はマウイの良心にもなっていて、マウイが自分の良心と会話する一人漫才?も面白い。

外界に出てからはほぼモアナとマウイの2人だけ状態ですが、ミュージカルを上手く組み合わせて冒険にメリハリをつけています。海にもキャラクターがあって色々演技してくれます。アニメだけど海や水に関しては実写CGと変わらないので、海洋冒険の迫力もあり。

<ネタバレ>

南太平洋のポリネシアの島々は遠い昔に船に乗った人々が開拓した地域でした。しかしある時期人々は海洋探検をやめ島から動かなくなってしまう。そして再び船を漕ぎ出しハワイまで到達します。そこに絡むのが本作がモデルにした伝承。モアナの中にはかつて船で島から島へ探索・開拓した人々の心が生きていた。モアナが外へ出たがるのは先祖の冒険心がモアナの中にあったから。洞窟に隠された船を見てモアナはそれを自覚する。私たちは海を渡る民族なのだ、海を渡っていくのが本来の姿──。

本作では島に留まった理由はマウイがテ・フィティの「心」を盗んだため闇が広がって外洋へ出ていけなくなったから…となっています。モアナが無事「心」を返せたので再び海へ乗り出せるようになった──という流れですが、実際にはその頃何があったかは分かりません。でもモアナのようにまた海へ出ようとした人がいたのは事実でしょう。彼らは沈黙の期間を経て再び海の彼方へと乗り出したのだから。これは冒険ファンタジーでありながらポリネシアの歴史にもなっているのです。

マウイがモアナとの触れあいで自分を取り戻していくのがいい。逃げ腰だったマウイが「神の釣り針」に頼らなくなり、モアナもマウイから船の操縦・扱い、星を見て進路を確認する方法を学ぶ。エイに転生したおばあちゃんが素敵です。あんなふうに見守れたらいいなー。テ・カァの正体は「心」をなくしたテ・フィティでした。これはモアナ、モアナの島の人々、マウイ、そしてテ・フィティが本来の自分を取り戻すお話でもありましたね。

市販BDで見ると特典映像でポリネシア方面のことが更によく分かります。南太平洋の島々に丁寧に取材を行っているので、特典映像お勧めです。

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