ラブリーボーン

2010年
時間 135分
監督 ピーター・ジャクソン

14歳のスージーは家に帰る途中で隣人の男に殺されてしまう。だがスージーはまだ天国に旅立てずにあの世とこの世の境にいた。そこから家族を見守り続けるスージーだが、彼女がいなくなったことでスージーの家族にも変化が。家族はどうなるのか、犯人は捕まらないのか、自分はどうするべきなのか、スージーが辿り着いた答とは──。

スージーが殺されることも犯人が誰かも冒頭から全開でネタバレしてるので、これはてっきり死者が生者に犯人を教えて捕まえてもらう話なのかと思ったら、そんな単純な展開ではなかった。スージーからは見守ることしか出来ないので、彼女を思う家族の側にずっと居続けようとするのですが、家族からはスージーは見えない。

あの世とこの世の境目の世界は幻想的できれい。これぞCGの出番!とばかりに、ファンタジックな世界を紡ぎ出してくれます。スージーの気持ちと連動することもあるようで、時には不安を醸し出すような描写になったりもしますが、永遠にあの世界で暮らせるなら、留まりたい気持ちも分かるなあ。天国へ行くとこの世を見ることは出来なくなるようだし、この世での記憶も消えるそうなので(作中設定です)。

犯人がどうなるのかが気になるところですが、ラストは納得出来る人と納得出来ない人に分かれるかもしれない。悪くはないんですけどね、私は別の方法でもよかったのになあと思う派。でも犯人がどうこうはおまけかもしれない。スージーと彼女の家族を通して、生者にも死者にも、死をどう受け入れるのか、前を向くというのはどういうことなのか、考えさせてくれる作品です。

<ネタバレ>

行方不明になったスージーは状況から死んだと判断されるけど、遺体が出て来ないので父は娘の死を受け入れられない。家族を見守るスージーの気配を感じた父は犯人探しに執着するようになる。母は夫のそんな姿が辛くて家を出てしまう。スージーも境の世界に留まることで家族に影響を与えてはいないかと悩む。

結局スージーは家族のために1歩前へ進む決心をします。でも天国に去る前にどうしてもやっておきたいことがある──とくれば、当然犯人を逮捕させて自分の遺体を見つけてもらうこと(金庫の中)だと思うじゃないですか~。ところが、犯人が金庫を捨てようとしているところにスージーがやってくるも、霊感のある友人に乗り移って恋人との果たせなかったキスを…ってそっちかーい! 自分の遺体はどうでもいいのかーい! 見つけてもらわなくてもいいんかーい! まあ遺体に関しては近所に聞き込みを行えば犯人が金庫を捨てたことは分かるだろうし、そこから発見の可能性もあるのでまだいいのですが。

納得できなかったのが犯人の最期。犯人はスージーの妹リンジーに犯行を暴かれて逃走(頭のいいリンジーは早くから隣人を疑っていた)。だが犯人は逃走先で事故死する。ここは死なすのではなくてちゃんと逮捕されて現世でしっかりと罪を償わせて欲しかったです。犯人はスージーだけでなくあちこちで連続殺人を犯してたのだから、全ての罪を白日の下に晒して裁かれるべきだったと思う。制作陣がそれをしたくなかったのなら、下手な結末は与えずに逃走中のままにしておけばよかったと思う。犯人の家に警察の手が入った時点で終わっておけば、「このまま逃走」も「やがて逮捕」も、どちらの可能性も残るので、「犯人に罰がないと納得できない人のために取って付けた事故死(にしか見えないよ)」をやられるよりは、その方がまだスッキリできたと思うのです。

ラストに不満はあったけれど、スージーが母が自分の部屋に来るのを待っていた、と言ったのにはぐっときました。スージーの部屋に入ることが出来なくなっていた母がついに娘の部屋に入る時──大切な人の死を受け入れて前を向くのはそういうことなんだな、と。スージーもこれで心置きなく天国に行くことが出来るでしょう。それが生者が死者にしてあげられる一番のことなのかもと。