レディホーク

1985年
時間 121分
監督 リチャード・ドナー

舞台は13世紀のヨーロッパ。呪いによって夜は狼の姿にされる騎士ナバール、昼は鷹の姿にされる美女イザボー。愛し合う2人が人の姿で会えるのは日の出と日没のほんの一瞬だけ。ふとしたことからこの2人に関わりを持った"ネズミ"ことコソ泥のフィリップはナバールとイザボーに協力していくことになる。2人の呪いを解くことは出来るのか、ナバールとイザボーが共に人間の姿で会える日は来るのか──。

ある日、気まぐれでふらっと入った映画館でやっていたのがこの作品でした。全くの偶然の出会いだったにも関わらず、すっかりこのロマンチックな物語に魅せられてしまい、お気に入りの作品になりました。何を置いてもまずは設定が切な過ぎる。愛し合うナバールとイザボーは悪魔の呪いで昼と夜で交互に姿が変わってしまう。ナバールが人間の時はイザボーは鷹の姿、イザボーが人間の時はナバールは狼の姿。2人は一緒にいても会話すら出来ない。もうこの設定だけで心がきゅんきゅん絞られる。

中世ヨーロッパ&呪いをかけられた恋人たちと聞けば、剣と魔法のファンタジーを連想するかも知れませんが、その手のファンタジーとはちょっと趣が違います。アクションもあるけど剣と武術が中心の普通の人間どうしの戦いで魔法なんか出てこないし、2人の変身シーンも光の効果とカットの工夫で乗り切る手法で下手な特撮は使われておらず、アクションや特撮がメインではないことが分かります。今作の柱はあくまでも切ない運命の恋人たちのラブストーリーなのです。

物語の語り手はコソ泥の青年フィリップ。まだ少年と言ってもいいくらいの若いフィリップはナバールに窮地を救われたことから彼らと行動を共にすることに。フィリップの軽さと調子の良さがナバールたちの呪いといいバランスになってる感じ。フィリップ目線で2人を見ることで、観客もナバールとイザボーのどちらも知ることが出来る。直接会話できない2人の橋渡し役にもなってます。

作中に出てくる城や僧院はロケによるもの。ヨーロッパの歴史的な名所が13も使われているそうです。鷹と狼も本物で調教師は大変だったらしい。パンフレットによるとナバールの狼用にシベリア狼を4頭輸入し訓練したとか。その辺もCGがない時代の作品ならではの見どころです。ちなみにナバール役は「ブレードランナー」でロイを演じたルトガー・ハウアー。イザボー役のミシェル・ファイファーも美しい。

<ネタバレ>

コソ泥のフィリップがアクイラの牢獄を抜け出すところから話が始まりますが、ここの司教がコソ泥ごときに躍起になる。わずかな気がかりでも摘み取っておきたいようで、こいつ圧制者じゃんと思っていたら、やっぱりナバールたちに呪いをかけたのは司教だった。イザボーを好きになったが彼女の心はナバールに。嫉妬に狂い悪魔と取引するとは司教として駄目じゃん。

司教に復讐したいナバールだけど、聖堂へは容易に侵入できない。そこで聖堂の地下牢から脱出したフィリップに目を付けた。せっかく抜け出したアクイラに戻りたくないフィリップはナバールから逃げ出したりもするが、ナバールとイザボーの秘密を知り、2人に協力することに。3人の心が結びついていく過程はやっぱりいいものです。ナバールたちの秘密を知る修道僧のインペリアスも仲間に。何故インペリアスが呪いのことを知ってたのかなと思ったら、司教に2人が恋仲だと酔って漏らしちゃったのが彼だったのですね。インペリアスは償いのために2年かけて呪いを解く方法を探していた。その鍵は日食に。

昼と夜が同時になる日食の時なら2人は同時に人の姿でいられる。これはなるほどと思いました。呪いをかけた司教の前に2人が同時に人である姿を見せれば呪いは解けると言う。でも当時の人に日食って分からないのよね。おかげでギリギリまでラストバトルがもつれ込む。ついに呪いを解き司教を倒し人間の姿で抱き合うナバールとイザボー。素直にああよかったねと祝福してあげたい気持ちになります。

今回のことはフィリップにもいい経験になったようです。誰かの役に立てたって素晴らしいことだよね。インペリアスもいい友人になってくれそうだし、フィリップの世界も広がったね。中世ヨーロッパの美しくて素敵なラブロマンスでした。