フラッシュダンス
年 | 1983年 |
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時間 | 95分 |
監督 | エイドリアン・ライン |
昼は溶接工、夜はナイトクラブで踊るアレックスの夢はプロのダンサーになること。バレエ団に入りたいが、オーディションに挑戦する勇気を持てないでいた。製鉄所のオーナー、ニックと知り合うことで挑戦のチャンスを得るが…。ミュージック・ビデオのようなスタイルで歌とダンスで繰り広げられるアレックスの青春模様。
公開時に映画館で鑑賞。音楽音痴な私でも主題歌の「ホワット・ア・フィーリング」が気に入ってレコードもCDも買ったくらいヒットしました。物語というよりは歌とダンスを見せるのが主目的のような映画ですが、登場人物たちが歌うわけではないのでミュージカルともちょっと違うかな。80年代ポップスが迫力あるダンスと共に次々と披露されていくスタイルはやっぱりミュージック・ビデオみたいな感じですかね。
ナイトクラブのダンスシーンは見せ場の1つ。主人公だけでなく、色々なダンサーが独自のダンスを披露していて、独立したパートみたいな描かれ方になってる。どのダンスも振り付けも演出も凝ってて制作陣の気合を感じます。セクシーさもあったりするけど、あくまでもダンスとして、近所のストリップバーとは一線を画している感じ。ナイトクラブでは親友のジーニーがウエイトレスのバイトをしていて、彼女はプロフィギュアスケーターになるのが夢。ジーニーの恋人リッチーもクラブでコックをしながらコメディアンを目指している。お金はないけど夢を持つ若者たちの明日は…?
アレックスが教会で悩みを懺悔する形で「本当の気持ち」を視聴者に示すシーンが何回かあるけど、懺悔というのもなかなかいいシステムだなと思いました。心の底を打ち明けることで自分を見つめ直すことが出来るものね。アレックスが時々訪れていたハンナはかつてバレリーナだった人で、アレックスのダンスの恩師。ハンナが勧めるバレエ団のオーディションとは「役を決めるオーディション」ではなくて入学試験みたいなものですね。正式に学んだことがなく独学のアレックスがどこまで太刀打ち出来るのか…。夢を持つ若者に勇気をくれる映画です。
<ネタバレ>
製鉄所のオーナー、ニックがアレックスのダンスに惹かれたことから2人の交際が始まりますが、ニックはアレックスのためにバレエ団にちょっと手を回してしまう。入団するにはまず願書を書いて、書類審査を通る必要がある。しかし願書にはダンス履歴(どこで学んだかどのバレエ団にいたことがあるかなど)を書く欄があって、ダンス履歴が何もないアレックスには厳しい。このままではたぶん書類審査に通らないと思われます。そこでニックはコネで書類審査をパスしてオーディションを受けられるようにしてしまう。怒るアレックスですが、ハンナの死でオーディションを受ける決意をする。
バレエ団のオーディションになぜあんなダンス?とは思ったけど、ダンサーの素質を見るための入学試験だと思えばそれでもいいのかな。アレックスがこれまでに知った・出会った・得たダンスの全てを渾身で踊るクライマックスです。パンフレットに載っていた舞踊家の評によるとダンスの独創性やアイデアが素晴らしかったらしく、アレックスが背中で回るブレイクダンスとか奇抜で魅力的だったそうで、公開当時はプロダンサーから見ても刺激的だったようです。
アレックスは夢を叶えてニックともハッピーエンドですが、脇役たちの描写がちょっと雑だったかなあ。アレックスは1人で頑張っているけど、ジーニーは両親も家もあるし生活も苦しくないようなのに、何故ストリップバーに行く…。フィギュアスケートのオーディションに失敗してリッチーにも去られたところにジョニー・C(ストリップバーの経営者)がつけ込んだということだろうけど、唐突感は否めないです。ジーニーとリッチーのその後も描かれてないので消化不良感があるし、その辺もう少し丁寧な描写が欲しかった気が。
それでも一歩踏み出す勇気をくれる作品なのは確かだし、音楽はお気に入りなので、私には思い出の作品の1つです。